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【一級建築士試験】不合格をさけるために対策をはじめる時期と勉強時間

こんにちは、さよきすです。

今回は、いつ勉強を始めるべきかについて、書きたいと思います。

受験された方は、試験時間6.5H(11時~17時30分)は長いようで、いざ問題を解いているとあっという間という感覚だったと思います。

疲れようが、腹が減ろうが、まずは今年の課題を解くことに集中。

軽食どころか飲み物を飲む時間さえない、といった方もいらっしゃるかと思います。

初受験の方は、その状況を想定しておくに越したことはありません。

それなりの時間とお金をかけて対策する受験生の方々の緊張と不安がうずまく独特のヒリヒリ感が試験会場にはあります。

本noteは、私が一級建築士試験に落ちた年を振り返って感じた、この試験に取り組むにあたっての姿勢や勉強の方法について書いています。

受験されようと思っている方の参考になればと思います。

一級建築士試験の詳細については、試験元HPでスケジュール、科目、受験資格等を確認いただけます。また検索かければ、多くの方が記事にされています。

1.一級建築士試験は短期詰め込み、めちゃキツイ

学科も製図もそれぞれ違った大変さがあります。

学科も製図ともにつけやき刃では対応できず、相応の対策必要なため、時間がかかると思ってください。

また勉強の結果が出始めるのが遅いです。

個人差はあるかと思いますが、学科は3~4ヶ月みっちりやって、ようやく本試験を模した問題が解け始める、そんな感覚です。

製図は対策を学科終了後2ヶ月半で行う方が多数いらっしゃいますが、本番1週間前でも安定して解けずに不安を抱えていらっしゃる方も結構います。

大変な勉強だからこそ短期間で終わせる計画とすると、結局十分な対策ができずにもう1年勉強する羽目になります。

また対策の期間を短くするリスクは他にもあります。
短期間の対策で学科を終えて合格したとしても、次の製図は学科以上に体力を使います。

学科を短期間で勉強するのは不可能ではありません。ただ、1回の勉強時間が長くならざるを得ず、覚えることも増えます。その分、大変なエネルギーを使うことになります。

短期対策でめでたく学科合格できたとしても、すでに疲労がかなりたまっているため、勉強のペースは必ず落ちます。

合格したら、頑張ったんだから、と小休止を入れたくなるでしょう。一度ペースを落とすとペースをあげるのに、多くのエネルギーが必要になります。

製図試験は学科とは勉強方法が違います。成果がすぐには見えにくいため、はかどりくいです。

問題は解けないし、図面を書くのに体力がいるし、ランクもなかなか上がらないしで、自分がどのへんにいるのかわからないはで、本当に気力がいります。

普段建築関係の仕事をされている方であれば、業務量が多く日常的に体力の消耗がはげしいため、家に帰れば、体力を使いきっていることもざらにあると思います。

エネルギーは無限じゃありません。気力で机に向かうこともできますが、非常に効率が悪く、時間がかかる分やった気にはなりますが、内容はあまり身についていないのが実態かと思います。

できるだけラクに試験に合格するためには、切り替えのストレスが少なくなるよう事前に手を打って、つまり長期(1年ターム)で計画を立てることです。

どんな試験でもそうですが、周りよりも出来の良い人が受かります。

きっと今までさほど勉強に時間をかけずに、大学受験や試験に合格してきた人の話を聞いたこともあるかもしれません。

地頭もあるでしょうし、負担にならないよう無意識でもコツコツやっていたのだと思います。

建築士の試験でも環境や習慣により、スタート時から差があります。


そんなできる人に勝つための方法は、その人よりも長く取り組み時間的なアドバンテージを得ること
です。

2.学校にするか独学にするか


 2-1.学科の場合

学科は5科目ありますが、範囲が広くかつしっかりとした理解が必要です。

学校に入学するとテキストと問題集を入手できます。
1科目であれば大したことなくても、5科目揃うと結構な厚みです。

大手は3校あり、資料請求すると営業さんから営業の連絡があります。
お金に余裕があるなら、入学すれば良いかと思います。

選び方ですが、あまり教材の多さや合格率を気にする必要はないかと思います。自分のペースにあった勉強ができるかどうかも選び方のひとつかと思います。

やることが多すぎると消化不良になりますし、合格率も参考にはなりますが(模試などを一度でも学校を利用すれば、学校の入学者としてカウントされています。)、結局学校入った後に時間をつくれず勉強しなかったり、学校任せの受け身の勉強となれば、不合格となる確率はあがります

学科は、独学でも学科対策は可能です。フォーカスすべきは、自分で勉強する時間を確保できるかです。

私は1年目は不安のあまり入学しましたが、教材の多さと計画の甘さから消化不良となりました。

そして2年目は独学に切り替えました。

独学とした理由は、以下です。
・通学と解説読むだけの授業に、時間使うのはもったいない。
・学校行っても問題解くだけで、自分で勉強してるのとさほど変わらない。
・自分のペースでできる勉強時間が削られてしまう。
・学科2年目の時に営業さんにその年の授業で使う問題を一部頂きましたが、内容を比べてみると前年度とほぼ変わりなかった。

そこで私は一刻もはやくテキスト・問題を終わらせること、お金を節約することを優先させ、2年目は独学で勉強しました。

 2-2.何を重点的に勉強するか

結論としては過去問です。

本試験の問題は過去問が6割程度、過去問応用が2割程度、新傾向が2割程度です。

満点125点のうち、足切りラインが90点前後(年による88~97点くらい)です。新しい問題がでるとは言え、過去問関係が合計8割程度なので、過去問の対策が合否に大きな影響を与えます。

合計点だけではなく、学科の各科目には足切り点があり、満たなければ不合格となります。

どの強化もまんべんなく、勉強が必要です。

学科の本試験では、テキストでは小さく扱われている内容や載っていないもの、テキストの情報とリンクしにくいものも問われます。

薄い1冊にまとまっているものは、入門書としては良いです。
しかし、試験本番にはもっと深い本質を理解していなければ解けない問題が問われます。

辞書的に使えるテキストとさまざまな出題形式と解説がはいった問題集が必要です。そういう意味では各学校で出版しているものが、その条件を満たしています。

毎年の問題ですが、出題の仕方は変わるものの、計画、設備、構造、施工は本質的に押さえなければいけない内容は基本的に変わりません。法規も、法律改正されますが、全体のほんの一部で、本質的にはあまり変わりません。

つまりテキストを入手できれば、その時点勉強は始められます。10分からでも良いので、習慣化することから着手します。

法令集の線引きですが、2〜3週間はかかると思ってください。単純作業ではっきりいってなんの面白みもありません。時間節約のために外注しても良いと思います。問題を解きながら、さらに線引きを充実させ、法令集の構成、各法文のつながりを理解し、使いこなすレベルにします。

最もつかいやすいのは、総合資格の法令集です。法文が横書き、および数値もアラビア数字(1、2、3、・・・・)表記で読みやすいです。漢数字表記のものは、非常に読みにくいので個人的にはおススメいたしません。最新版になったら購入ください。

ウラ指導さんの線引きも定番ですね。

現場に出ていないとイメージしにくい施工については、現場歴40年の「けんけんちくちく」さんのHPも動画充実しており、参考になります。

学科試験は、基本的に暗記です。
出題の仕方は
1)暗記した知識そのものを問う問題
2)得た知識を使って答えを導く問題

のどちらかです。

本試験ではまったく同じ言い回しやみたことのある形式で出題されることはあまりありません。大切なのは過去問を解きながら、正誤の根拠を示す訓練をし、実践力をつけることです。

既出か新傾向の問題かを問わず、答えがわからず勘で選んだものは、だいたい間違っていると思った方がよいでしょう。

答えがわからない問題を少なくし、いかに確信をもって解答できるかが、非常に重要です。その対策のために、過去問が非常に役に立ちます。

 2-3.勉強時間は人それぞれ。テキスト5周やる。

入手したテキスト・問題は、まずは5周が目標です。

勉強時間は記録をするうえではよいですが、他の人の勉強時間を参考にしないでください。

ネット検索かけると、「2ヶ月で一級建築士学科に合格した方法」「合格に必要な勉強時間」など出てきますが、筆者とあなたはベースがそもそも異なります。

効率的に勉強する方法を探すのはよいですが、例えば400時間勉強すればよいから、逆算してこの時期から始めればOKという思考で取り組むと、直前で余裕がなくなったとき苦しむことになります。

テキストや問題に取り組むと、1周目は思うように進みません。

問題を解くのに理解は不可欠ですが、テキストや解説で使われる言葉は聞き馴染みのないものが多く、理解、イメージがしにくいからです。

1周目は言葉と書かれている意味を理解しながら記憶していくため、想像している以上に時間がかかると思ってください。

2周目以降は少しずつスピードは上がってきますが、やはり時間がかかることを想定しておいた方が良いかと思います。

不合格をさけたいなら回数をこなすしかありません。それでも試験でテキストや問題集以外のことが問われます。持っている知識で解けるものもあれば、そうでない問題もあります。そんなときはダメ元で解答するしかありません。

あきらめる問題は必ず出てきます。他の受験生が解ける問題は落とさないよう、かつ+αの正答率をあげるようにしましょう。

私は1周目は1科目あたり1週間~10日かかりました。1科目の過去問が150問~300問程度なので、1日20~30問を目標にこなす計算です。2周目以降は、理解の時間が短くなるため、こなせる問題数が少しずつ増えていきます。

テキストと問題集をベースに勉強しますが、空き時間は以下のようなアプリを使うのもひとつです。

私が学科試験を受けた時には、まだ主流ではありませんでしたが、ランダムに問題を出すことで、理解度を測れます。

学校の問題集は各科目の各項目ごとに問題がまとまっているため、問題の前後で枝が似てしまい、理解が浅いのに解答できてしまったり、前の問題がヒントになってしまうことがあります。

そういった意味では、ランダムな出題により効率的に記憶の定着ができます。出題内容が勉強済みでも未着手でも、アプリか問題集上でみたことあるなと脳が認識する度、重要な情報として記憶に残りやすくなります。

どの科目にも言えることですが、各科目ごとの各分野を完ぺきにしてから、本番形式で解くのではなく、1周目が終わったら、まずは本番形式の問題に取り組むことをおススメいたします。

本番形式で解くと、問題集で見る問題とはまた違った見え方になり、解答を導くにあたっての理解度がわかります。

また問題集の過去問は各枝が同項目、同テーマで関連するもので構成されます。しかし本試験では、問題4枝がすべて関連しないバラバラの項目から出題されます

そのため、4枝それぞれの項目を正確に理解していないと答えをだせません。手を抜いてよい項目、テーマなどないと思っておいた方がよいです。

 2-4.製図試験の対策

学科の勉強をクリアしたら、次はいよいよ体力のいる製図試験です。

学科試験でさえ手強いのに、製図試験は受け慣れない試験のため想像がしにくり試験です。本番では、受験者の気持ちを揺さぶる”何かしら”があり、ミスを誘ってきます。

製図試験が終わった後、ネット上にはねぎらいの言葉とともに、悲痛な叫び、あきらめの言葉であふれかえります。

そんな製図試験の対策として学校・独学どちらにするかですが、やはり誰かにFBをもらう環境が必要なため、独学だけで進めるのは難しいです。独学は可能だが、+αでFBをもらえる講座を併用するのが現実的です。

最近活発になっているWebによる指導や通人講座を利用するのも手かと思います。

それぞれのメリットとデメリットをあげてみます。

【学校に通うメリット】
・自ら資料や問題を集めなくてよいところ
・他の人の図面が見れること
【学校に通うデメリット】
・人数が多いため、埋もれてしまう可能性があること
・先生により成長度が変わること。先生が選べないこと。
・通学と授業に時間がとられること
【ネットなどの通信講座のメリット】
・拘束時間が短く、勉強時間を確保しやすい
・マンツーマンで指導を受けられる
・学校に比べて価格が安い
ことです。
【ネットなどの通信講座のデメリット】
・資料や問題の質が学校に劣る可能性がある
・他の人の図面が見れない

メリットとデメリットがほぼ真逆ですね。

大手3校以外にもネット・通信講座は多くでてきており、選択肢は広がっています。

価格の安い通信講座を使って指導を受けて基礎を作ったあと、学校を利用するのも手かと思います。

というのは、製図試験の傾向や分析力や、その年度ごとの問題はやはり学校の方が優れています。年々難しくなる問題や求められるレベルからすると、基礎をつける段階、応用力をつける段階の2つの期間が必要かと思います。

 2-5.製図対策を始めるタイミング

学校では通常、学科試験後に製図試験の勉強を始め、スケジュール的には

①8~9月は製図の基本の対策(図面の書き方、トレース)
②9~10月は課題ごとの対策(エスキス、様々な出題形式への対応)

で進められ、合計約2.5ヶ月で対策を行います。

製図の重要な基本のひとつであるエスキスを本格的に練習するのは、②9月以降となります。

問題が難しくなりつつある傾向にも関わらず、対策期間が同じだとすると負担も大きくなりますし、不安要素を抱えたまま製図試験に臨まなければいけない可能性が高まります。

そのような現状に対し、再受験確定の方は製図試験に欠かせないエスキスの勉強は一旦年内に終わらせる、もしくは切羽つまっていない3月までに触れておくのが良いのではと思います。完璧でなくても良いので、エスキスの作業を事前に予習・インスールしておくことで、製図対策を始めた後のストレス・負担が軽くなります。

一級建築士試験の照準は学科試験ではありません。学科試験を終えた後も、走り続けなくてはいけません。

学科終わったらすぐにある程度エスキスができる状態にしておいて、あとは製図と調整や更なる知識の肉付けに時間をかけることが、合格に近づく方法だと思います。

 2-6.エスキスは誰から学ぶのが良いか

エスキスには手順があります。誰かが作った効率的なノウハウを学ぶところからスタートします。

通っている学校の先生、合格された方、Web情報等を通して、自分のものにしていきます。(内容が薄いもの、解けないものは、参考にしないでください)

そして、身に付けた手順をつかって過去問を実際に解いてみるのです。

学科試験が終わるまでは1/200の図面にしなくても良いので、1/400(半コマ)で、課題文を図面化する練習をします。まずは手をつけて慣らしておくと、学科試験⇒製図対策への移行がスムーズになります。

3.まとめ 対策は今すぐはじめる

既受験された方の中には学科・製図の試験1週間前に、もう少し、たとえばあと1週間の時間が欲しいと思った方いらっしゃらなかったでしょうか?

あと1週間あったところで、結果が変わるかはわかりません。しかし、自分のなかで合格ラインの7~8割まで到達している実感があり、あとの2~3割は時間があれば達成できるという感覚があるのです。

ここから言えるのは、大変ありきたりなことです。

スケジュール的に余裕をもって対策をしていたら、自信をもって臨めたということです。

時間は有限です。受験される方は、明日や年明けからじゃなく、すぐに対策を始められることをオススメ致します。

サポート頂けましたら幸いです。サポート頂けましたら、みなさんの役に立つ建築の資料を購入したり、もっとわかりやすいnoteとするための設備費用として使わせて頂きます!