【R4年一級建築士製図】『事務所ビル』エスキスを計60分で終えて作図に至る手順

当noteをご覧いただきありがとうございます。

このnoteは、
・一級建築士製図試験のエスキスがうまく解けない。
・目標タイムをオーバーする。
・一刻も早く終わらせ、作図に時間を取りたい。
そんな方に向けて書いています。

エスキスは繰り返し練習することで、必ずはやくなります。試験会場で誰よりもはやく製図にとりかかるとき、きっと合格を確信しているはずです。

このnoteを通して、解答案の骨格をはやく組み立てるための考え方と手順を知ることができます。

投稿している一連のnoteを通してエスキスが得意になり、満足感と達成感を持って試験を終えるための一助となれば幸いです。

今回のnoteでは、R4年度課題「事務所ビル」を解きます。

これまで投稿してきた手順を基本とし、かつ案を決定づける条件を考慮することで60分程度でプランは作成できる課題かと思います。

解答案として骨格ができたら、建築としての必要な知識、試験元が問題文に書かれていることを肉付けしていけば完成します。

まずはグリッド出し、その後につづくゾーニング、部屋のレイアウト、、、
グリッドとゾーニングが適格だと、その後の計画もするすると解けていきます。グリッド出しとゾーニングが適当でないままプランを進めると、矛盾が生じ始め、再調整のためにグリッドをいじることになり、すると今度は別のところが破綻して、またグリッドを再調整というループにはまります。そうなると時間を浪費し、作図に充てられる時間が削られます。

尚、このnoteは骨格組み立てのプロセスを知るための参考としていただき、本試験向けの知識や対策は最近の過去問や試験元HPを参照しながら進めていただければと思います。

noteを読み進めながらご自身でも課題に挑戦してみて、改善できるところは自分なりに良くしていってください。

過去の投稿の繰り返しになりますが、一級建築士製図試験は課題文を図面にする試験です。課題文が全てですので独自解釈やひねった理解はせずに、素直に図面に反映させていきます。

「わかったつもり読み」は、プランの破綻を招きます。何が書かれてているのか、1文ずつしっかり理解しながら、丁寧に進めていきましょう。

課題文を読み進める前に、次のことを身に着けておくとスムーズかと思います。
①課題文の読み方:こちらの記事を参照ください。
②建物のグリッド・ボリュームの出し方:こちらにまとめてあります。
③面積の考え方:こちらです。

まず問題を通して① ② ③を繰り返し練習します。やり方は簡単なので、すぐに手順は覚えられます。手順を覚えたら、出題年を問わず過去問を解いてみてください。受験年の課題とは異なる用途でも、発想の練習にはなりますし、傾向・クセが学べます。実力向上につなげられるので、まずは自信の理解度を確認するためにも、解答案の骨格づくりまでチャレンジしていただければと思います。

※注意ポイント 最近の問題の中には、一連noteに投稿しているルールを逸脱してしまうケースもあります(例:美術館の面積など)。基本ルールを守ると破綻してしまう場合には、逸脱をOKとして解き進め、納めて完成させることを優先させてください。

それでは手順にしたがって進めていきます。

目次

  1. Ⅰ.準備-利用者確認、建築面積算出

  2. Ⅱ.アプローチ決め

  3. Ⅲ.へり空き確認と外構施設に必要な寸法の仮定

  4. Ⅳ.建物のグリッド出し

  5. Ⅴ.ボリュームだし

  6. Ⅵ.ゾーニング

  7. Ⅶ.要求室のプランニング

Ⅰ.準備-利用者確認、建築面積算出

Ⅰ-1. 主文を読んで利用者を確認

主文には、

・都市の市街地にある、近隣住民に親しまれている緑豊かな公園に隣接する敷地
・レストランを併設
※省略しています。原文は課題文を確認ください。
・収益性、可変性及び快適性に配慮
・最上階に屋上庭園+シェアオフィス
・省エネルギーおよびCO2削減に配慮 

とあります。

主文からメインの利用者は
①オフィス入居者
です。(用途からも明らかかと思います。)

また近隣住民に親しまれる公園+レストランを併設との条件から、近隣住民の利用も想定されます。

オフィス利用者以外に対するセキュリティ対策が重要なオフィスですが、レストラン部分はオフィス利用者以外にとって入りやすい、アクセスしやすい計画となると使いやすそうです。

次の手順に移ります。

Ⅰ-2. 敷地及び周辺条件

  •  近隣商業地域及び準防火地域 → 道路斜線勾配1.5

  •  建蔽率の限度 90%

  •  容積率の限度 500%

まず、建蔽率から建築面積を求めましょう。単純な計算で、考えることはありません。

敷地面積×建蔽率=1,536㎡×0.9=1,382.4㎡

建蔽率は、敷地面積に対して建物が建てられる割合です。↑で算出した面積を超えないことが大前提です。

Ⅱ.アプローチ決め

次に、敷地図から利用者とサービス動線のアプローチを考えます。

利用者動線のメインアプローチの候補は、西側12m道路が第1候補となります。メインアプローチは、敷地に入ってくる利用者動線から、どこが建物の正面にあたるのか考えて設定します。
まず利用者のアプローチの絶対的なルールは「歩道に面していること」です。歩道がない道路から利用者がアプローチすることはないと考えてOKです。

次に候補の優先順位として高いのは「長手の中央」となります。ただし周辺環境によっては、短手がメインアプローチとなるケースもありますので、敷地周辺にどのような情報、条件が盛り込まれているか注意します。

今回の敷地は南・北面ともに歩道に面しています。
どちらをメインアプローチにすればよいでしょうか。

南面の道路に「駅」表記があります。電車を使って来るオフィス利用者(いわゆる通勤と訪問です)を考慮すると、最短でアクセスできる南側にメインアプローチを設けると良さそうです。

サービス動線のアプローチの候補は、南面西側と北面となります。歩車分離により利用者と管理のゾーニング分けが明確にできるようなアプローチを考えます。

  • 利用者動線のアプローチ候補:南側正面 1か所

  • サービス動線のアプローチ候補:南面西側、北面 2か所

以上をまとめると、アプローチは以下案が考えられます。

アプローチ案

Ⅲ.へり空き確認と外構施設に必要な寸法の仮定

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