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雑談:日本におけるA&Mの資料でロジャー・ニコルズの名前を探す

A&Mというレコードレーベルがあります。1962年8月のアメリカで、ハーブ・アルパート(Herb Alpert)とジェリー・モス(Jerry Moss)によって設立されました。A&Mは日本では順にキング・レコード、アルファ・レコード、ポニーキャニオン、ポリドール、ユニバーサルと契約し、国内流通されてきました。そのうちのアルファ・レコード(1978年契約)とポニーキャニオン(1987年契約)の二つの資料を入手したので紹介します。

なぜ資料を探していたのかというと、執筆中の渋谷系本のため…。渋谷系という運動を象徴する洋楽として、ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズ(Roger Nichols & The Small Circle Of Friends)というグループは欠かせませんが、彼らが1968年に出した唯一のアルバムはA&Mからリリースされているのです。このアルバムは当時日本盤が出ていません。しかしマニアックなリスナーたちの密やかな支持を受けて、脈々と受け継がれてきました。日本語で書かれたA&Mの資料ではどのような扱いをされていたのかが気になってしょうがなかったんです。ロジャー・ニコルズの日本受容史を調べる作業の一環として、A&Mの資料が必要でした。

A&Mの歴史おさらい

先にA&Mがどんなレコードレーベルだったのかを解説しましょう。ハーブ・アルパートはもともとKeen Recordsという短期間存在したレコード会社の雇われA&Rで、Sam Cooke「Wonderful World」などをルー・アドラーと一緒に制作しています。アルパートとアドラーの二人はKeenを辞めた後、Dante & The Evergreens「Alley-Oop」(1960年)という曲をプロデュースします。この曲にフリーの宣伝マンとして関わったのがジェリー・モス。アルパートとモスはここで知り合いました。

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