slowdive『Pygmalion』を視る
slowdive『Pygmalion』は1995-02-06にCreation Recordsからリリースされた彼らの3rdアルバムです。発売された当時は完璧に無視、または「このアルバムを聴いたラジオ局は一曲もオンエアする曲がなく困惑するだろう」と『NME』に酷評が載る程度の扱いでした。翌月、1995-03-27にCreationから出たThe Boo Radleys『Wake me Boo!』がその年のイギリスで最もオンエアされた楽曲になったのと比べて、slowdiveは本作で契約を打ち切られます。バンドはそのまま解散しました。
しかしエレクトロニカの項目で書いたように、2002年夏にmorr musicから出たカバートリビュートアルバム『Blue Skied an' Clear』(『Pygmalion』収録曲からとられたタイトル)が出てから、シューゲイザー文脈とエレクトロニカ文脈の実験的な融合がじわじわと評判を呼び、昨今の再評価につながり、彼らも2014年に再結成を果たした……というのが21世紀的なslowdiveヒストリーになります。
『Pygmalion』をWarpからリリースしていたらすぐ最高傑作と呼ばれていただろう、と言われていますが、oasis『Definitely Maybe』を1994-08-30に出し、ブリットポップの流行の渦中にいた1995年のCreationに理解を求めるのは酷だった、というところでしょうか。
が、今回は音の話ではない。
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