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ブラジルはノーガード?ーブラジルのコロナの影響は本当のところはどうなのか(その4)

今日も驚くべき記事を見てしまいました。「ブラジルの死者数、世界4位に
2万8834人、フランス抜く」だそうです。世界1-3位とか、5位6位とかもいるだろうけど、なんで”ブラジルが4位になったこと”が記事になるんでしょうか?

こうした記事の積み重ねで印象づいてしまったブラジルがノーガードだという誤解、実際には現地で様々な対策が取られています。効果的な対策が取られているのかどうか、という議論はあるでしょうから、今回はまず「結果」からデータでお見せしたいと思います。

ブラジル全体では約43%の人が家から出ていない

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上記のデータがSocial Isolation indexです。一日中家にいた人が何%か、という指標です。したがって、家の近くのスーパーまで出かけた、というレベルも自宅待機と考えると、自宅待機率は更に高いことになります。

Vivo, Claro, Tim, Oiという携帯キャリア大手4社が匿名性を担保した形でデータを収集した6000万件の携帯位置情報データを民間のinloco社が統計処理、グラフ化を含めてソースをオープンして提供しているもので、毎日アップデートされています。

ご興味ある方はこちらからご覧ください。

このグラフを見ると4月1日から自宅待機率が国全体であがり、現在も続いていることが見て取れます。

自宅待機の状況は州による差が大きい

ブラジルを考えるときにいつも注意をしなければいけないのは、国レベルで考えるには大きすぎる、多様すぎる国であるということです。この自宅待機の状況も州別に差異があります。最も自宅待機ができているのはアマパ州の51%で、最もできていないのがゴイアス州の38%です。サンパウロ州はちょうど真ん中で43%というところです。

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市レベルで細かくウォッチ

inloco社のデータを利用して、サンパウロ州では市レベルで細かく自宅待機状況を公開し、毎日アップデートしています。

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ノーガードでこのような自宅待機ができるわけもなく、行政もこうしてできるだけ情報をデータで確認して、開示しながらコロナ対策を進めています。

しかしながら、国民の半分くらいが家から一日中出ない状況でも感染者数、死亡者数が増えているとこ自体は大きな問題で、だからこそ、今取っている自宅待機や商業活動の停止という対策の効果が問われており、逆に経済活動再開の意向が強くなっているというのが政治的にもかじ取りが難しい状況だと言えるでしょう。


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