次に渡せ


「Pay It Forward」
邦題「ペイフォワード 可能の王国」
2000年にアメリカで製作されたこの映画を
金曜ロードショーで観たのは中学生の頃だったと思う。
「自分が受けた親切をその相手に返すのではなく
別の3人の人に渡していく。
みんながそうすればこの『クソみたいな世界』が
少しはマシになるかもしれない。」
この発想に心打たれ、本当にその通りだと思った。
けれど実行するのは難しかった。
映画のようにはいかなかった。
だから私の知る世界もそんなに代わり映えしなかった。
でもこの考えはずっと私の中に残った。
映画を観たのは1度だけ。
今でもはっきり頭の中に再生できる。
 
「次に渡せ」
それが一度もできなかったとは思わない。
数えたわけではないけれど何人かの人に対して
自分が受けた親切を糧に親切をする。
そういうことはしてきた。
大切なのはそこから先に繋がること。
自分の親切がまた別の3人に受け継がれていくこと。
そして更にそれぞれが別の3人に渡していくこと。
それが一番難しかった。
「次に渡せ」
映画ではそれを合言葉に親切が伝播していった。
私は合言葉を言うことができなかった。
次に伝わったかどうかわからない。
確認を取るようなものでもない。
けれど実感がないということは
きっと波紋が途中で消えたということなのだろう。
「次に渡せ」
それを実行するのが中学生のときからの使命であったと思う。
その手段として教師、国連職員、弁護士、保健師など候補を考えて
看護師、保健師の資格を取り、病棟で勤務した。
業務とは別に、私が渡せた「親切」は確かにあったと思う。
そこから先には行っただろうか。
ここでもやはり合言葉を言えなかった。
 
2021年にギフトエコノミーという考え方に出会い
「pay it forward 」の概念がより理解できた。
お金を介さないからこそ生まれ、得られるものの可能性を感じた。
世の中には「お金では解決できないこと」がたくさんある。
お金をなくすことはできないし
お金なしで生きることもできないけれど
お金では得られないものもたくさんある。
それを見つけたくて
「Buy Nothing Project にいみ」を立ち上げ、
「お金を介在させずに人と人との交流を生む」ことを目的に活動している。
その一環として「くるくるひろば」を始めた。
伊藤万季さんという方が10年以上前に東京で始めた活動を参考にしている。
https://ameblo.jp/millionseasons/ コミュニティ・マーケット くるくるひろば
これは各家庭に眠る不用品を持ち寄り、使いたい人が持ち帰る会。
生活の中に増えすぎたモノを利用して人と人が出会うきっかけをつくる。
焼却や埋め立てに回されるごみの削減にもなる。
営利ありきでないことを共感し、励ましてくれる人が現れた。
この会を通して縁がつながり友人ができた。
各会場で力を貸してくれる人たちがいる。
その人たちと参加者とで「くるくるひろば」を運営している。
私も、協力者も、みんなボランティア。
この活動に関わった人たちからいろいろな感想を聞いて
私の行動がなにかを変化させていると
ほんの少しだけ実感できるようになった。

家族をはじめとする多くの人に助けられて今の私が在る。
これからも多くの人と共に生きていく。
「くるくるひろば」がその恩恵を繋いでいくきっかけになりつつある。
私がずっと言えなかったのは
これまでに受けた親切に見合っていないと
引け目を感じていたからかもしれない。
20年越しに「次に渡せ」を言える兆しが見えてきた。

#映画にまつわる思い出
#ギフトエコノミー
#岡山県
#新見市
#buy nothing project



興味を持っていただきありがとうございます。励みになります。「分かち合い」によって解ける問題があると考えBuy Nothing Project にいみを立ち上げました。ご意見ご感想もぜひお寄せください。