WPF Puzzle GP ラウンド3出題パズルの基礎知識
この記事ではPGP Round3出題パズルの、過去の出題例や基本的な考え方などについて書いていきたいと思います。ルールの詳細は↓の記事を見てください。
なお、開始直前になってインストラクションが更新され、配点が公開されました。
作者について
第3ラウンドの作者は、セルビアの3名。昨年と同じメンバーです。
セルビアは国としてはそれほどパズルが盛んではないのですが、作者の3名に関しては別。昨年世界パズル選手権7位のNikolaを筆頭に、世界のパズル界で名前の通った人々が名を連ねています。
難易度帯にもよりますが、全体的には、ちょっとごりごりした解き味の問題が多い印象。手筋を連携してスマートに解くというよりは、軽い仮定を交えつつ、制約の強い場所を見つけ出して突破するパズルだと思います。ある意味、ヨーロッパの作家の典型的なスタイルです。
出題パズル
出題パズルは21種類21問。今シーズン最大のジャンル数です。
ここまでのPGPではおおむね1分10点(トッププレイヤー基準)の配点基準が守られていましたが、今回は一部のパズルへの配点の偏りが激しく、正確性が少々心配です。テストスケジュールにも余裕がなさそうなので、こちらも様子を見ながら出方を考えるといいかもしれません。
1. Palindrome or Not (10)
過去の出題は特にありません。今回一回限りの、軽い一発ネタです。
例題からは、大文字小文字の区別があること(E)と線対称が正解ではないこと(C)がわかります。本番では、何か他にも面白い引っかけパターンを用意しているのかもしれません。
2. Letter Weights (18)
ちょっとした覆面算です。2016R6Casual、2016R7Casual、2018R7で出題されています。
初めて登場したころは25分のラウンドいっぱいで26文字を解くパズルでしたが、GPでは小さめの問題が多いようです。
3. Scrabble / セルフスケルトン (34)
ワードパズルとしては突出して出題率の高いパズルです。2017R1、2017R7、2018R1などに出題があります。2018R1のように、ほとんどクロスワードのような問題もあります。
今回はセルフスケルトンとしては、配点が低めです。
4. Password Path (45)
ときどき見かけるパズルです。2018R2で出題されています。
一般的なループパズルのように、確定する場所を少しずつ決めて最後につなげる解き方が遠回りでも確実な気がします。自分はよく、当てに行って破綻します。
45点はこのパズルとしては高配点で、進行方向の法則が必要になるかもしれません。ざっくり説明すると、右上に2つZがあって、連続で通ることが分かるかと思いますが、左のZ→右のZ→Lという順序で通らないといけないという考え方です。
もし右のZ→左のZという順序で通ると、パスが閉じ込められてしまいます(そこまでの通り方に関係なく同じことが言えます)。
実際に使う場合には、原理と、どういうケースで使えるか(壁際が重要なポイントです)をよく理解したうえで使ってください。
5. Gaps(No Touch) (9)
前回も出題されたパズルです。前回の問題は理詰めで着実に解ける問題でした。
6. Masyu / ましゅ (14)
三大ループパズルのひとつです。2018R7などで出題されています。若干ごりごりした問題が好まれる傾向はありますが、むずかしめのましゅが解ける人であれば、対応可能だと思います。
7. Shikaku / 四角に切れ (21)
ニコリの定番パズルです。2017R3DivisionBや2018R3で出題されています。
8. Tetroscope (16)
レアなテトロミノ配置系パズル。裏返し禁止に注意してください(特に解答時)。こちらで4問解けます。
世の中には恐ろしく難しい試行錯誤問題も存在するのですが、だいたいは軽い仮定と微調整で解くパズルです(理詰めでわかる部分は埋めたうえで)。
9. Pentominous (23)
2016R6Competitive(同作者)や2018R7で出題されている分割パズルです。GMPuzzleにも大量の出題があります。
ルールは単純なのですが、ペントミノの形と名前(FILNPTUVWXYZの12種類)を覚えたり、ペントミノを移動させてはまり込む形を探すなど、基礎能力として要求されるものが多いタイプです。初めて解く人は、過去問で様子見してみるといいかもしれません。
なおこれらの能力は、鍛えておけばほかのパズルでも大変役に立ちます。
10. Kuromasu / 黒どこ (36)
ニコリの過去の定番パズル 黒どこ(黒マスはどこだ)です。2016R6Competitiveに同作者で出題されています。標準的な日本の問題とは大きく違った解き方で、非常に海外パズルらしい問題になっています。
11. Doppelblock / ビトゥイーン・サム (31)
ドイツでは定番になっている数字埋めパズルです。2018R2にオーソドックスな解き筋の問題が出題されています。
24hPC2016(Round1.pdf参照)は以前にNikolaが作った問題ですが、標準的な問題とは一味違った面白い問題です。今回もこういう路線で来るかもしれません。
12. Statue Park (41)
2018R1で出題されているパズルです。幅広い難易度の問題が作れます。mellowmelonのパズルパックは難易度順に40問以上の問題が用意されていて、競技関係なくおすすめしたいパズル集です。
この手のパズルに共通することですが、途中までは理詰めか軽い仮定で進んで、最後の3、4個は一気に試行錯誤で決めるという展開がよくあります。どこで試行錯誤に行くかを考えるのも、重要なポイントです。
13. Skyscrapers / ビルディング (44)
ラウンド1でも出題されているパズルです。
14. Snake(with Ends) / スネーク (48)
ラウンド1でも出題されたスネークの、もっとも基本的なルールです。2017R8DivisionBや2018R3に出題があります。
個人的には、理詰めでわかることがないかを探りつつ、場合分けも使っていくパズルと考えています。正解ルートに入れれば、その先は一気に片付く問題が多いです。が、48点ですか……怖いですね……。
15. Cave / バッグ (61)
二コリのパズル バッグが海外で定番化したものです。2016R4Competitive、2016R5Competitiveなどで出題があります。GMPuzzleでの出題も多いです。
考え方のバリエーションはそれほど多くないものの、じわじわごりごり解く問題が作りやすいので海外パズラー好み……という印象。
16. Fillomino(Distinct Shapes) (34)
定番パズルフィルオミノの同形禁止バリエーション。
地味に重要な考え方として、 1マスのブロックと 2マスのブロックは盤面内に1個しか存在できません(形が一種類しかないため)。同様に、3マスブロックは2個、4マスブロックは5個(18番参照)が上限です。
17. Top Heavy / 頭でっかちナンプレ (28)
比較的地味な数字埋めパズルです。24hPC2017(ここのPB(1).zipからRound3_Puzzles_of_YunusBandSerkanY_17th_v2.pdf)に2問出題があります。2問目は大きくて難しい問題です。
18. Tetrominous(Second Seen) (58)
昨年の世界パズル選手権で出題されたパズルです。直接参考になる問題はありませんが、こちらのTetrominoesを解いてみると、基本ルールへの理解を深めるのに役立ちそうです(1ブロックに2文字以上入らないルールがあります)。
一度作ってみるとわかるのですが、テトロミノ分割ルールというのは非常に制約が強く、ちょっとした仮定から連鎖的に破綻を導けることがよくあります。
19. Slitherlink(Pentominous) (66)
三大ループパズル、スリザーリンクのバリエーション。久々の出題です。LMI Pento Parade(全部使うルールに注意)で出題されています。
5マス条件が非常に強力です。また、3も強いヒントになります。
20. Cross Ranges (49)
地道な解き味の数字埋めパズル。こちらで1~6の問題を4問解くことができます。とりあえず 1マスのところは忘れずに埋めてしまいましょうか。
21. Compass (149)
シンプルなルールながら、奥の深いパズルです。数字からは想像できないような、複雑な形のブロックができます。
2014R1で出題されています。たくさん解くにはトケタ?vol.2&vol.3……と言いたいところですが、本は除くと、CrocoPuzzleのアーカイブ(各年度をクリックして、Kompassを検索)などにも問題があります。
全体を大局的に見ることが重要です。例題であれば、右上のマスをどのコンパスに引き取らせるかと、DとEによるマスの取り合いが見どころです。ただ、149点ということは、その程度でどうにかなるものなのかどうか……。
以上です。間違いの指摘や疑問点などは、コメントやtwitterアカウントなどへお願いします。
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