WPF Puzzle GP ラウンド7出題パズルの基礎知識
(重要)ラウンド7の開始と終了時刻の延期が告知されました。新しい開催期間は以下です。
2019年7月 6日(金) 8:00:00 ~7月10日(水) 7:59:59
制限時間:90分
念のため、各自で注意を払ってください(特に終了時刻)。
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この記事ではPGP Round7出題パズルの、過去の出題例や基本的な考え方を書きます。ルールの詳細は↓の記事を見てください。
作者について
第7ラウンド担当はチェコとスロバキア。それぞれ2018年と2016年の世界パズル選手権の開催国です。両国は過去のPGPでハニカムオンリーラウンド、大きい盤面5問だけのラウンドなど、かなり癖の強いラウンドを出題しており、今回もテーマ性の強いラウンドになっています。
出題パズル
第7ラウンドでは、基本ルール7種類それぞれに3タイプの盤面の問題が出題されます。基本7ルールのうち、6種類は定番パズルです。
1. Battleships / バトルシップ(25)
定番パズルです。2018R2や2017R4Aに出題があります。
多くのバトルシップでは、長さ4x1隻、3x2隻、2x3隻、1x4隻の戦艦セットで出題されます。今回もこのセットでしょう(8にはわざわざ、標準セットではないので注意せよ、と書いてある)。
標準セットの黒マスを合計すると全20個(4x1+3x2+2x3+1x4)。タテ列の和を取るなど、中級問題でよく使います。
2. Fillomino / フィルオミノ (25)
ラウンド3で出題されたFillomino[Distinct]の基本ルールです。出題頻度は高く、2018R3や2018R5に出題があります。
海外のフィルオミノでは、直感寄りの最密充填タイプ(ギリギリの大きさのブロックを詰め込む)もよく出題されます。
3. Yajilin / ヤジリン (31)
ラウンド1で出題されました。
4. Endpoints (45)
見慣れないパズルですが、世界パズル選手権スロバキア大会でほぼ同じパズルが出題されています(当時の名前はRailroads)。2016年大会の全パズルはWPFのページで買えます(20ユーロ)が、それ以外にはなさそうです。
5. Easy As... / ABCプレース (23)
ラウンド2で出題されました。
6. Thermometers / サーモメータ― (33)
時々出題されるパズルです。かつての名はONDO-K。2014R5に出題があります。また、Puzzle Picnicには40問ほどあります。
タテ列左端の 1から左上のマスが白マスになる、などが入り口です。難問では複数列の連携を見ましょう。
7. Futoshiki (25)
時々出題されるパズルです。こちらもPuzzle Picnicにあります。
意外に難しいパズルで、例えばある列で 1の入るマスはどこか?など、キーになるマスを積極的に探しに行かなければならないことが多々あります。
8-14. キューブ盤面
8-14はキューブパズルです。約半分は、キューブ盤面で出題されるのは初めてのパズルです。LMI MagicCubeにまとまった量の出題があります。
8. Battleships(Iso) (47)
バトルシップのキューブ版です。それほど差はないと思われますが……。
9. Fillomino(Iso) (15)
フィルオミノのキューブ版です。先述のLMI MagicCubeに出題があります。こちらもそれほど違いはありません。
10. Yajilin(Iso) (18)
ヤジリンのキューブ版です。矢印の先がキューブの辺をまたぐ場合は折れ曲がって進むので、見間違いに注意してください。
11. Endpoints(Iso) (5)
Endpointsのキューブ版です。 3方向すべてで重複禁止が発生します。5点ということは、例題と同じサイズでしょうか?
12. Easy As...(Iso) (41)
ABCプレースのキューブ版です。このパズルには、強力な定理があります。
(定理)nを一辺のマス数とするとき、各面にあるA,B,Cの個数はそれぞれ n/2個になる。nが奇数の盤面は成立しない。
※例えば4x4x4なら2個ずつ、6x6x6なら3個ずつ、各面にA~Cがあるということです。
(証明)まずは①の方向に沿って考えてみます。①の方向の列はn本あります。ひとつの列に沿ってAがひとつずつ入り、これらの列でキューブの上面と左面の全マスを1回ずつ覆うことから、次の式が成立します。
(上面のAの個数)+(左面のAの個数)= n ・・・(1)
同様に②列から
(上面のAの個数)+(右面のAの個数)= n ・・・(2)
③列から
(左面のAの個数)+(右面のAの個数)= n ・・・(3)
ここで(1)~(3)の和をとって 2で割ると、
(上面のAの個数)+(左面のAの個数)+(右面のAの個数)= 3n/2
・・・(4)
最後に(4)から(1)を引くことで、(上面のAの個数)=n/2を得ます。他の面や B, Cも同様です。(証明終)
これは列ごとに個数の条件がついたパズルで成立する定理で、キューブスターバトルや14のキューブナンプレでも成立します。使えるかどうかは問題しだいですが、作意解に使われることもあるので、覚えておいて損はありません。
13. Thermometers(Iso) (77)
Thermometersのキューブ版です。
14. Futoshiki(Iso) (64)
Futoshikiのキューブ版ですが、ブロックルールが入って、キューブナンプレ(LMI MagicCubeにも出題があります)に近くなっています。
15-21. ハニカム盤面
15~21は、1~7のハニカム盤面パズルです。ハニカム盤面にはナナメ接触の概念がなく、となりあうマスはすべて辺での隣接関係になります。こちらはLMI Classics : Hexed & Remixedや全問ハニカムのラウンドPGP2017R5(チェコ制作)があります。
15. Battleships(Hex) (20)
バトルシップのハニカム版です。LMI Classics : Hexed & Remixedにあります。
16. Fillomino(Hex) (48)
ハニカム版のフィルオミノです。こちらのQualifikationにあります。
17. Yajilin(Hex) (37)
ハニカム版のヤジリンです。WPC選抜大会2018にハニカムループであろーの名前で出題されています。
18. Endpoints(Hex) (27)
Endpointsのハニカム版です。初出題です。
これも3方向に重複禁を見る必要があります。
19. Easy As...(Hex) (31)
ABCプレースのハニカム版です。ハニカムパズルの中では出題が多く、前出のLMI Classics : Hexed & Remixedや全問ハニカムのラウンドPGP2017R5Aに出題があります。
とにかく見落としやすいパズルです。ある程度埋まってきたら、ABCのどれか一種類に絞って残りマスの候補を洗い出してみるという戦法も有効です。
20. Thermometers(Hex) (29)
ハニカム版のサーモメータ―です。
21. Futoshiki(Hex) (115)
ハニカム版のFutoshikiです。不等号ルール抜きでもむずかしいパズルです。とにかく基本ルールの制約が強く、多少追加ルールが違ってもだいたい同じようなパズルになりがちです。2017R5AのSkyscrapersなども参考になるでしょう。
以上です。間違いの指摘や疑問点などは、コメントやtwitterアカウントなどへお願いします。
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