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ChatGPTと学ぶ為替相場のランダムウォーク仮説と短期的為替取引

最近のツイートで、為替取引のプレイヤーが大きな損をする傾向があるというものがありました。ぶら下がっているリプライにもFXで大勝している人が一転して大損し退場に追い込まれるという話もありました。

わたしは自分の投資戦略としては『絶対に短期FXはやらない』と決めているのですが、米株や米国債には投資をしているので為替リスクからは無縁ではいられません。今回は数学的な観点から短期のFX取引についてChatGPT (o4)に質問してみました

テーマとしては、短期の為替相場はランダムウォークなのか、ランダムウォークの場合の値動きの特徴と確率論的期待値、そしてついでに行動心理学的観点からなぜ人が短期FX取引に参入するかです

ランダムウォークとは、次の動きが完全にランダムで、前の動きとは無関係に決まるプロセスです。具体的には、ある地点からスタートして、毎回ランダムに右か左、あるいは上下などに一定の確率で進む動きを繰り返します。


Q: 為替相場の値動きがランダムウォークなのかそうでないのかの実証研究はありますか?論文の出所を明確にして、これまでの研究と現在の研究課題について概説してください。

A: はい、為替相場の値動きに関するランダムウォーク仮説(RWH)については多くの実証研究が行われています。

  1. 初期の研究とRWHの支持

    • Adler and Lehmann (1983)、Roll (1979)、Darby (1983) などの初期の研究では、実質為替レートがランダムウォークを示すとされました。

  2. 反論と追加の発見

    • Kenneth Rogoffの研究では、RWHに対する挑戦が行われ、特に実質為替レートの長期的なステーショナリティが確認されました。これにより、単純なランダムウォークモデルに代わり、バラサ・サミュエルソン効果などの他のモデルが重要視されました。

  3. 近年の研究

    • RogoffとReinhartによる研究では、為替レートのレジームが経済の発展段階によって大きく異なることが示されています。初期段階では固定相場制が有利である一方、発展段階が進むと柔軟な相場制が成長に寄与することがわかりました。

  4. 現在の課題

    • 現在の研究では、為替レートの予測モデルが依然としてRWHに対して優位性を持たないことが多いことが指摘されています。これにより、新たなモデリング手法や経済指標の統合が求められています。

Q: 為替レートの予測モデルが依然としてRWHに対して優位性を持たないことが多いとはより具体的にどういう意味ですか?

A: 為替レートの予測モデルがRWHに対して優位性を持たないというのは、次のような状況を指します。

  1. 予測の困難さ: 為替レートは多くの不確実要因に影響されるため、短期的な予測は非常に難しいです。これにより、多くの予測モデルが実際の相場変動を正確に予測するのが困難です。

  2. モデルの性能: 多くのモデルは、ランダムウォークモデル(過去の値が未来の値に影響を与えないという仮定)と比較しても、予測精度において大きな改善が見られません。これは、実際のデータにおいてモデルが過去のパターンをうまく捉えられないことが原因です。

Q: 『為替レートの予測モデルが依然としてRWHに対して優位性を持たないことが多い』ことと、『実質為替レートの長期的なステーショナリティが確認された』ということとはどのような関係がありますか?

A: 為替レート予測モデルがRWHに対して優位性を持たないという指摘と、実質為替レートの長期的なステーショナリティが確認されたという事実は、為替レートの短期と長期の動きの違いに関係します。

  1. 短期のランダム性: 為替レートは短期的には多くの予測困難な要因に影響され、ランダムウォークのように振る舞うことが多いです。このため、短期予測モデルはしばしばランダムウォーク仮説と比較して優位性を持ちません。

  2. 長期のステーショナリティ: 一方、長期的には購買力平価や経済のファンダメンタルズにより、為替レートは一定の均衡値に戻る傾向があります。この現象は、為替レートが長期的にステーショナリティ(一定の範囲内で動く)を示すことを意味します。

この違いにより、短期の為替レート予測モデルは限られた効果しか持たず、長期的な予測や分析にはステーショナリティを考慮することが重要となります。

Q: 短期の為替市場のランダムウォークは何次元ランダムウォークとみなせますか?

A: 学問的には、為替市場のランダムウォークを「3次元」と見なすことは一般的ではなく、通常は「1次元ランダムウォーク」としてモデル化されます。これは、時間の経過に伴う価格変動のみを追跡するものです。

1次元ランダムウォークとは、数学的なモデルで、ある点からスタートし、時間の経過とともにランダムに一方向に進む過程を表します。具体的には、現在の位置から次のステップで左右どちらかに一定の確率で進む動きを繰り返します。この過程では、各ステップの方向は独立しており、前のステップとは無関係に決定されます。このモデルは、金融市場の価格変動や分子の拡散など、多くの自然現象のシミュレーションに使われます。

Q: 1次元のランダムウォークの場合、充分な試行回数のあとで原点に戻る再帰確率は100%ですよね?

A: はい、1次元ランダムウォークの場合、無限の試行回数を考えたとき、原点に戻る再帰確率は100%です。これはポリヤの再帰定理(Polya's Recurrence Theorem)によって証明されています。

再帰確率(再帰性)とは、ランダムウォークにおいて、ある点(例えば、スタート地点)に再び戻ってくる確率のことを指します。1次元ランダムウォークでは、無限に続けた場合、スタート地点に戻る確率は100%(1)です。

例えば、1次元ランダムウォークでコインを投げるように右か左に進む場合、時間が無限に続くと、最初の位置に必ず戻ってくることが保証されています。これが再帰確率です。

Q: 短期的な為替市場で短期的に繰り返して為替益を狙って通貨を売買する行為の期待値はどうなりますか?これも数学モデルや実証研究を紹介してください

A: 短期的な為替市場で短期的に繰り返して為替益を狙って通貨を売買する行為(デイトレーディング)の期待値については、いくつかの数学モデルと実証研究があります。

  1. 効率的市場仮説(EMH):

    • EMHによれば、全ての利用可能な情報が既に価格に織り込まれているため、システマチックに市場をアウトパフォームすることは不可能です。この仮説の下では、短期的なトレーディングの期待値は0です。

  2. ランダムウォーク理論:

    • 為替レートの動きがランダムウォークに従うとすれば、次の価格変動は独立しており、過去の動きを基に未来を予測することはできません。この場合も、短期トレーディングの期待値は0です。

実証研究:

  1. Meese and Rogoff (1983):

    • 短期的な為替レート予測モデルが実際の市場でのパフォーマンスにおいてランダムウォークを超えないことを示しています。つまり、短期的に利益を得ることは難しいという結果です。

  2. Studies on High-Frequency Trading (HFT):

    • HFTの研究では、取引コストやスプレッドを考慮すると、一般的なトレーダーが短期的に利益を上げ続けるのは困難であることが示されています。特に、取引手数料が利益を大幅に削ることが多いです。

実際の期待値:
短期的な為替取引の期待値は理論的には0に近く、実際には取引コストやスプレッド、情報の非対称性などを考慮すると、期待値は負となることが多いです。プロフェッショナルなトレーダーやアルゴリズムを使用する大規模なHFT業者は例外かもしれませんが、一般的な個人トレーダーが持続的に利益を上げるのは難しいとされています。

Q: それにもかかわらず、個人トレーダーが短期的為替取引に参入するのはなぜでしょう?行動経済学的観点からその行動を説明してください。

A: 個人トレーダーが短期的な為替取引に参入する理由は、行動経済学の観点から以下のように説明できます。

  1. 過剰自信:

    • 多くのトレーダーは自分の予測能力を過信し、自分が市場を上回ることができると信じています。

  2. 代表性バイアス:

    • 直近の成功体験に基づいて、今後も同様の成功を期待しやすくなります。成功体験が記憶に残りやすいため、失敗のリスクを過小評価します。

  3. ギャンブラーの誤謬:

    • 過去の結果が今後の結果に影響を与えると誤って信じ、連勝や連敗が続くとそれが逆転すると期待します。

  4. 損失回避バイアス:

    • 損失を回避しようとする心理が強く、損失を取り戻そうとするためにリスクの高い取引を続けることがあります。

  5. 即時報酬バイアス:

    • 短期的な利益を追求する傾向が強く、長期的な視点を持つことが難しいため、短期的な取引に惹かれます。

これらの心理的要因が相まって、多くの個人トレーダーは短期的な為替取引に参入し続けます。


以上が為替相場のランダムウォーク仮説と短期的為替取引についてのQ&Aです。このブログ記事が、為替市場の動きやトレーディング行動の理解に役立つことを願っています。

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