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鉄道の疑問「各駅停車と普通は何が違うのか?」

みなさんは,普段鉄道に乗るとき,駅の案内版に「各駅停車○○行き」とか「普通列車○○行き」と表示されているのを見て,「各駅と普通って何が違うの?」と疑問に思った方はいませんか?

確かに,各駅停車と普通列車はどちらも,その路線の全ての駅に停車します.別にJRの社員の気分で適当に決めているわけではなく,ちゃんと明確な理由があるのです.今日はそのことについてお話しましょう.

電車と列車線の違い

各駅停車と普通の違いを説明する上で,電車線列車線の違いが重要となります.JR線には「電車線」と「列車線」の2種類に分けられます.このことについてはWikipediaに詳しく書いてありました.

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E8%BB%8A%E7%B7%9A%E3%83%BB%E5%88%97%E8%BB%8A%E7%B7%9A

要するに,電車線とは,近距離の快速や各駅停車の系統のことを言うのに対して,列車線は主に長距離の特急や急行,中距離の普通列車,快速列車,貨物列車のことをいいます.

電車線と列車線に区分された経緯としては,かつての国鉄時代に遡ります.かつては東京と大阪の近距離列車は電化区間を走行し,長距離運用の旅客列車は客車を用いて蒸気機関車または電気機関車が牽引して運行していました.そのため,電車と列車というように区別されたのです.

このように近距離列車か中距離・長距離列車かで線路名が区分されるわけですから,種別の呼び名も変わってくるわけです.電車線で全ての駅に停車する種別を各駅停車列車線で全ての駅に停車する種別を普通というようになったわけです.ただし,関西圏では電車線の場合も普通と呼ばれています.

実例として,宇都宮線・高崎線とそれと平行して走行する京浜東北線の場合,列車線である宇都宮線や高崎線は,全駅停車する種別を普通,京浜東北線が全駅停車する種別を各駅停車というように区別されています.

停車する駅にも違いがあります.宇都宮線や高崎線は普通といいながらも赤羽,浦和など主要駅にしか停車しないため,電車線の京浜東北線から見たら快速電車的な役割を持っています.京浜東北線も昼の時間帯は快速運転をしますが,それでも宇都宮線や高崎線,東海道線に追いつくことはできません.関西地区でも同じようなことが起きています.京都線・神戸線の場合,新快速・快速は列車線ですが,全駅停車の普通は電車線となっています.したがって,列車線は電車線に対して快速電車的な役割を持っていることになります

関東圏では各駅停車と普通と区別されるのが一般的ですが例外もあります.例えば外房線の場合,列車線でありますが駅の案内表示を見ると普通とは言わずに各駅停車と呼ばれています.僕の解釈ですが,朝の時間帯に外房線から電車線の京葉線に直通する東京行きの各駅停車があり,普通列車だったのが途中から各駅停車に変わるのはおかしいからということでしょうか.

ダイヤの設定方法が違う

列車線と電車線ではダイヤの設定方法が異なります.列車線は全ての駅で発着時刻が設定されています.しかし,電車線は一部の駅しか発着時刻が設定されていません.途中駅の多くは発着時刻の目安となる標準時刻で設定されています.これは時刻表を見ればよくわかります.長距離・中距離の列車線は,全ての列車に列車番号が定められており,全ての駅の発着時刻が書かれています.電車線は時刻表の後ろの方に早朝と深夜の数本が掲載されていますが,「標準時分」と書いてあり,列車番号は記載されていません.

電車線と列車線を共同で走行する

始発駅が電車線でも,かなり遠方まで運用するものがあります.そのような運用には列車線区間に入る場合があるため始発駅が電車線区間でも列車番号が定められています.いくつか実例を紹介します.

中央(快速)線・・・電車線区間は東京-高尾.高尾以西は列車線区間となります.東京から列車線区間の大月まで行く運用があります.

京葉線・・・列車線の内房線,外房線に直通する運用があります.

常磐(快速)線・・・電車線区間は上野-取手.取手以北は列車線区間となります.上野東京ラインの品川発着,上野発着の運用には快速取手行きや快速我孫子行きなど電車線区間内で完結する近距離運用と快速土浦行きや快速勝田行きなど列車線区間まで行く中距離運用があります.快速であれば,電車線完結運用と列車線直通運用で上野-取手間は停車駅は同じです.


今回は,各駅停車と普通の違いを列車線,電車線の違いから説明しました.今後も鉄道に関する疑問についても紹介していきたいと思います.

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