伝香寺 法衣を纏う裸地蔵

 途中、自動車の渋滞に巻き込まれ、到着が閉門ぎりぎりになったので、今日はご縁が無かったかな、と思いながら場所をよく確かめもせずパーキングに車を停めました。時計を見ながら「伝香寺さんはどこでしょうか?」と、係の方に尋ねると、「ここです。」と云うお返事。これには、びっくりしました。なんと、ここは、伝香寺さんが経営されているパーキングだったのです。
 拝観のお願いをすると「お参りに来られたなら、駐車料金は要りません。どうぞごゆっくりお参り下さい。」と言われ、地蔵堂の扉を開けてくださいました。扉を開けて下さっている間、ふと、見ると、お堂のすぐ隣は幼稚園で、境内とつながっていました。子どもたちの元気な声聞きながら、お地蔵様はいつも子どもたちは見守っておられるんだなぁ、いいなぁ、と思いました。
 
 写真では拝見していましたが、それ以上に素敵な仏様でした。涼しげなお顔に思わず見とれてしまい、自然に手を合わせてしまいました。拝観しながら「今日お会いできたのも、このお地蔵さまのお導きだなぁ。」とつくづく思えました。

 実は、普段このお地蔵様は、裸のお姿の上に法衣を纏っていらっしゃいます。そして、毎年7月23日の地蔵盆の法要の後、新しいお法衣にお着換えになられます。拝観に伺った日も、写真で拝見していたのとは違う新しい法衣を纏っていらっしゃいました。その法衣がとてもよく似合っておられて、如何にこの仏様が奈良の街の人に大切にされているかが、良く分かりました。
 一目見てこの仏様のファンになってしまった私が、帰り際、先程の係の方に「必ずまた、伺います。」と言うと、「7月23日に来て下さい。」と大きな声でおっしゃって下さいました。帰り道、全く事故を起こす気がしない、不思議な安心感に包まれながら、車を走らせました。