FF8、リノアル説否定で物語を解釈してみました。

未だに決着のつかないリノアル説。
ラスボス、アルティミシアが実は未来のリノアだったのでは、という説。
初めてこの説を知ったのは10年以上前になります。それ以来ずっと、この説について肯定寄りで考えてきました。
しかしシナリオライターの野島さんが、インタビューでこの説について質問された時に、「ファンの想像力が自分達のシナリオを越えた」という旨の発言をしたと聞き、リノ≠アルとしてもう一度考察し直しました。

本作がなぜリノ=アルともとれるシナリオになったのかというと、「スコールと会えずに闇堕ちしたリノアのせいで、魔女=悪者の印象が世界中に広まり、魔女対人間(主にSeeD)の戦いが何代も続く。そして世界を憎み全てを消し去ろうとする魔女、アルティミシアが生まれたから」ではないでしょうか。直接イコールではないけど、ミシア誕生のキーパーソンがリノアだった、ということです。

根拠は、ミシアに乗っ取られたイデアの演説。あれは要約すると「お前らの“魔女は悪い奴”って妄想に付き合ってやんよオラ‼︎それで満足かオラ‼︎バーカバーカ」です。ミシアを含む魔女達は、偏見に苦しめられてきたのではないでしょうか。
リノア前にも悪い魔女アデルはいたし、魔女に対する偏見もあったことはゲーム内でも言及されていたとは思います。しかし、ゲーム内の時代では、アデルは封印され人々の記憶からなくなりつつあったし、イデアも平穏に暮らせていました。アデル封印前の映画、「魔女の騎士」ですらも、魔女はあまり恐ろしい描かれ方はされていないように見えます。(ラグナ編で撮影風景の1シーンしか見ていないので、本当のところはわかりませんが、サイファーが魔女の騎士に憧れるような内容ではありました)
なので、闇落ちリノアが魔女の歴史の大きなターニングポイントになったのでは。
この説なら、リノアル説の反論で指摘されている、イデアの「ミシアは何代も先の魔女」発言に説明がつきます。

しかしFF8はハッピーエンドだというのも、公式の発言です。なので、EDでスコールと会えたことで闇落ちせず、ループから抜け出し、アルティミシアが生まれない世界線が発生した、と解釈しました。OPのラスト、黒い羽から飛び出すリノアと美しい朝焼けは、それらを表現しているのでは。

しかしそれでは、ミシアが生まれない世界になった事実を何らかの形で皆が知る必要があります。そこで、EDでスコールが倒れる直前のシーンに注目しました。様々な人物の顔が入り乱れる場面です。
スコールが迷い込んだ場所は時の狭間です。あの時、スコールはあらゆる過去や未来の映像を見たのではないでしょうか。なのでアルティミシアの顔も出てきた。スコールの顔が空洞になっているのは、スコールが未来の誰かにジャンクションしたという意味?そして、スコールは闇落ちしたリノアの因果が、アルティミシアを生み出してしまったことに気付いた。リノアの宇宙服が割れるのは、闇落ちして孤独死を迎えたことの暗喩。

しかし、再会できた。未来は変わった。
リノアとスコールが愛の力で乗り越えたことを未来永劫伝えていくことで、魔女がいても平和な未来へ向かっていく。それが、アナグラム「魔女の愛の継承」の意味なのでは。
ラグナは魔女の騎士を演じ、息子であるスコールは本物の魔女の騎士として生きていく。エモい。

これなら、SeeDという名前の意味も見えてきます。ずっと不思議だったんです。なぜ、兵士養成学校が「庭」で、兵士が「種」なのか。全然兵士らしくありません。
FF8では、花が重要なモチーフです。花は愛の象徴です。再会を誓った場所は花畑。孤児院の裏庭なので、シドとイデアの愛も含まれているかもしれません。OPでリノアは花びらを白い羽に変えて飛ばしました。スコールの母レインは花の心がわかる人でしたし、故郷ウィンヒルには花畑があります。SeeDは種。魔女との戦いを終えた彼らは、魔女の愛の継承をする(世界中へこの愛の物語を広めていく)役割を担う。
愛を花に例えるなら、種を蒔いて世界中を花で満たす、とも表現できます。拷問されたスコールの口から出まかせが、割と現実になります。
リノアル説の魔女がいなくなった解釈ですと、ガーデンの存在意義ってどうなるんだろう…と余計な心配していましたが、これなら廃校せずに済みますね!

(リノアル説では、アナグラムを「魔女の愛の継承」とするならアポストロフィが無いので、「魔女の継承」と「愛」は分ける、との解釈です。こちらも私は大好きです。)

なので、ゲーム内の以下のセリフにはこのような答えを用意できます。
・EDでミシアの力を引き継いだイデアの「これで…終わりかしら?」
→終わりましたママ先生!
・トラビアガーデンでのリノアの、「バトル…しなくちゃダメなのかな?」と、スコープの「戦わずにすむ方法、見つかるといいな」
→愛を広めていくことで争いのない世界を作れるよ!
・「アルティミシアを倒しても、アルティミシアが生まれたという事実は変わらない」
→愛のパワーで変わったよ!

ここからは、リノアル説で言われている根拠について、リノ≠アル前提での解釈をします。
①ミシア城での「はじまりの部屋」について。リノアル説では、「リノアの恋の始まりの場所」とされています。今回の説では、イデアの中に入ったミシアとリノアが初めて出会った場所、という意味での「はじまり」と解釈しました。OPにこの時のシーンが挿入されていることからも、物語の重要な場面であったことが伺えます。
②グリーヴァの名前をミシアが知っていたことについて。リノアル説では、「サイファーにスコールを拷問させたことからも、魔女に読心術や記憶を読む力はない」とされ、リノアルの大きな根拠となっています。しかし、イデアは「エルオーネの情報を渡さない為に、わざと自分を消してミシアに全てを乗っ取らせた」と言っています。つまり、これをしなければ記憶を読まれていた、ということです。リノアは、ジャンクションされた時も心の中でスコールを呼んでいますし、何も知らなかったのですから、記憶を読まれていても不思議はないかと思います。

以上です。

サイファー、リノアとお付き合い続けていれば、魔女の騎士になれたかもしれないですね。ドンマイ!

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