住宅の気密測定結果の見方
前回住宅の気密測定方法に説明しましたので、今回は測定結果の見方を書きたいと思います。
気密測定器で測定すると以下のようなグラフが出力されます。
このグラフは、気密測定器で測定した圧力差とその時の通気量(風量)をプロットしたものです。
このグラフのように通常は圧力差を変えて5点測定します。
このグラフは気密測定器から印刷されます。
このグラフを元に圧力差が1Pa時の時間当たりの通気量(通気率)を計算します。
通気率から総相当隙間面積(αA)計算します。
ここまでは気密測定器で計算してくれます。
αAを延床面積で割ったものが相当隙間面積(C値)です。
このように気密測定で最も重要なデータはC値です。
住宅のすき間の大きさを判断する場合、どうしてもC値に注目が集まりがちですが、気密測定のその他のデータを見ることで違った視点で分析することもできます。
総相当隙間面積(αA)
一般的に住宅のすき間の大きさは相当隙間面積(C値)で表します。
ただ、ここで忘れないで欲しいのは、C値は床面積当たりのすき間の大きさということです。
たとえばC値が1の住宅の場合、延床面積が100㎡であれば住宅の全体のすき間の大きさは100c㎡あり、延床面積が200㎡であれば全体のすき間の大きさは200c㎡あるということです。
同じC値でも住宅全体のすき間の大きさは延床面積で変わります。
αAは住宅全体のすき間の大きさを表します。
隙間特性値 n値
C値を計算する過程で隙間特性値(n値)が計算されます。
n値は気密測定のグラフにある直線の傾きです。
n値はすき間の状態を表す数値で、傾向としては大きな穴がある場合は2に近づき、小さな穴が分散している場合は1に近づきます。
n値は気密測定結果が理論的に正しいかチェックするためにも使用されます。
n値は1~2の間になければなりません。
n値が範囲外の場合はその測定値を採用することはできませんので、再測定が必要になります。
たとえば、窓や換気口の閉め忘れ、目張りのし忘れした場合にn値が範囲外になることがあります。
また、風や室内で人が動いたときはデータがばらつくため、n値が範囲外になることがあります。
n値は正しく気密測定器が行われているかのチェックにも重要な数値です。
データのばらつき
測定のグラフを見ていただくと、点とラインが表示されています。
点がライン上に乗っているのが理想です。
点がラインから離れている場合は、風や人の動きなどでデータがばらついた可能性があります。
風などの影響でばらつきが大きいと、本来の数値とは異なる結果が出ることがありますので、できるだけ風などの影響がない状態で測定します。
特に圧力差が小さい測定点では通気量も少なくなるため、風や人の動きの影響を受けやすくなります。
ただ、無風のことは少ないですし、現場の都合もありますのである程度風があっても測定しなければならないときはあります。
このような場合は、風が当たらない窓に気密測定器を設置する、圧力差測定用の外気ホースを風の影響が少ない場所に設置する、圧力差を高めで測定する、測定を安定させるために細い整流筒を使用するなどして、データを安定させる工夫が必要です。
国によって指標は異なる
日本では相当隙間面積(C値)ですき間の大きさを判断します。
ただ、C値は日本で使用されている指標で、国によってすき間を判断する指標は異なります。
たとえば、国によっては50Pa時の漏気回数ですき間の大きさを表すところがあります。
基本的な測定方法、計算方法はおおよそ同じなのですが、最終的に求める数値が異なっています。
測定原理がおおよそ同じなので日本の気密測定器を使用していても、測定データを元に50Pa時の漏気回数を計算することは可能です。