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令和元年改正会社法の概要(頭の中に目次を作る)

2019年12月4日に会社法の一部を改正する法律(以下「改正会社法」といいます。)が成立しました。これは同月11日に公布され、それから1年6月以内に施行するものとされています(株主総会資料の電子提供制度だけは3年6月以内)。公布から約半年が過ぎあと1年以内に施行されるであろうため、現在改正会社法の内容をキャッチアップして影響を確認しております。

そこで今回は改正会社法の概要を超ざっくりまとめました。端的に申し上げますと本記事は、法務省民事局の「会社法の一部を改正する法律について」を目次的に整理したというものになります。そのため、「 」で囲っている点は、上記ウェブサイトからの引用となります。

1 株主総会に関する規律の見直し

株主総会に関する規律の見直しとして改正されたのは大きくは以下の2点。

(1)株主総会資料の電子提供制度の創設

「株主に対して早期に株主総会資料を提供し、株主による議案等の検討期間を十分に確保するため、株主総会資料を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主に対し当該ウェブサイトのアドレス等を書面で通知する方法により,株主に対して株主総会資料を提供することができる制度を創設することとしています。」

(2)株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備

「株主提案権の濫用的な行使を制限するため、株主が同一の株主総会において提案することができる議案の数を制限することとしています。」

2 取締役等に関する規律の見直し

取締役等に関する規律の見直しとして改正されたのは大きくは以下の3点。

(1)取締役の報酬に関する規律の見直し

「取締役の報酬等を決定する手続等の透明性を向上させ、また、株式会社が業績等に連動した報酬等をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするため、上場会社等の取締役会は、取締役の個人別の報酬等に関する決定方針を定めなければならないこととするとともに、上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないこととするなどの規定を設けることとしています。」

(2)会社補償に関する規律の整備及び役員等賠償責任保険に関する規律の整備

「役員等にインセンティブを付与するとともに、役員等の職務の執行の適正さを確保するため、役員等がその職務の執行に関して責任追及を受けるなどして生じた費用等を株式会社が補償することを約する補償契約や、役員等のために締結される保険契約に関する規定を設けることとしています。」

(3)業務執行の社外取締役への委託及び社外取締役を置くことの義務付け

「我が国の資本市場が全体として信頼される環境を整備するため、上場会社等に社外取締役を置くことを義務付けることとしています。」

3 社債の管理等に関する規律の見直し

社債の管理等に関する規律の見直しとして改正されたのは大きくは以下の3点。

(1)社債の管理に関する規律の見直し

「社債の管理を自ら行う社債権者の負担を軽減するため、会社から委託を受けた第三者が、社債権者による社債の管理の補助を行う制度(社債管理補助者制度)を創設することとしています。」

(2)株式交付制度の創設

「企業買収に関する手続の合理化を図るため、株式会社が他の株式会社を子会社化するに当たって、自社の株式を当該他の株式会社の株主に交付することができる制度を創設することとしています。」

(3)その他

・社債権者集会の決議による元利金の減免に関する規定の明確化
・議決権行使書の閲覧謄写請求の拒絶事由の明文化
・会社の支店の所在地における登記の廃止
・成年被後見人等についての取締役の欠格条項の削除及びこれに伴う規律の整備



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