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改正個人情報保護法案の説明(第三者提供記録の開示請求)


2020年3月に個人情報保護法の改正法案が閣議決定されました。改正法案では、本人の権利保護を強化する方向での改正がされ、その一つとして個人情報取扱事業者が第三者提供をした際の記録の開示請求が新設されましたので、その内容をまとめました。


◆改正法案概要

個人情報保護委員会は改正法案に加え、改正法の概要を一枚にまとめた改正法案概要も合わせて公表しました。その中で第三者提供記録の開示請求について以下のようにまとめています。
「個人データの授受に関する第三者提供記録について、本人が開示請求できるようにする。」

◆改正法案概要の説明

事業者は個人データを第三者提供する場合および第三者から受領する場合に確認・記録を義務付けられています(法25条)。
改正法案は、個人情報の流通に係るトレーサビリティを重視し、その提供時・受領時の記録(以下「第三者提供記録」といいます。)を本人開示請求の対象としました(改正法案28条5項)。

◆改正法案概要に対する事業者の対応ポイント・注意点

第三者提供記録について開示請求が認められるようになった以上、事業者は、第三者提供記録について開示フローの設計をしなければなりません。
この時に、問題となりますのが、実務上、契約書を保存することをもって受領時の記録作成義務を代替している場合があるという点です。開示請求を受けた際に、契約書をそのまま開示できるという事業者は少ないと思います。
そのため、契約書で代替する対応をしている事業者は、契約書で代替することをやめ別途記録台帳等を作成する、または契約書で代替することは維持し開示の際に契約書のマスキングをどうするかを設計する、といった運用変更の対応をする必要が生じます。

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