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【解説】大手化学メーカー平均年収ランキング(就職四季報2025)について

今回はタイトルの通り、最近発売された就職四季報2025を参考に、化学メーカーの平均年収ランキングの中身について解説していくよ!

毎年のように変わる平均年収の数字だけどさ、「これは間違ってる!」って言う人もいるけど、これって人事は真面目に出してるよ!

俺の同期の人事が、四季報の担当者にはちゃんと正確な数字を回答してたって言ってたし、色んな情報を駆使して中身を精査したことあるけど、特にメーカーは、合ってるね。

だから就活生は就職四季報が最もアテになる参考数値になると思う。

今回はメーカーの中でも隠れホワイトで注目されている化学メーカーの大手企業の数字を引用して、ランキングの見方の注意点も同時に書いていくから、是非とも参考にしてみてね!

ただ、ごめん!!

ランキングとは言ったけど、結構な大手企業を省いちゃってる!!

「この会社載ってないじゃん!!!」って怒られちゃうかもだけどさ、、、

まあそこは自分で就職四季報を買って、隠れ優良企業を発掘してみて!!あんまり全部引用しちゃうと四季報さんに悪いし。

じゃあ行くよ!


大手化学メーカー平均年収ランキング2025

1位:AGC 1,107万円(45歳)
2位:三井化学 1,076万円(44歳)

3位:住友化学 1,071万円(42歳)
4位:クラレ 1,070万円(40歳)
5位:三菱ガス化学 990万円(40歳)
6位:日産化学 980万円(40歳)
7位:東レ 969万円 (34歳)
8位:日油 964万円(44歳)
9位:帝人 945万円 (46歳)

10位:富士フイルム 928万円(43歳)
11位:三菱ケミカル 926万円(45歳)
11位:東ソー 926万円(39歳)
13位:デンカ 917万円(41歳)
14位:積水化学 913万円(44歳)
15位:住友ベークライト 901万円(46歳)

16位:UBE 890万円(32歳)
17位:旭化成 887万円(44歳)
18位:クレハ 879万円(42歳)
19位:信越化学 876万円(42歳)
20位:日本ゼオン 872万円(44歳)
21位:JSR 829万円(41歳)
22位:トクヤマ 823万円(40歳)
23位:ダイセル 796万円(42歳)
24位:日本触媒 782万円(39歳)※総合職以外含む
25位:カネカ 773万円(42歳)
26位:ADEKA 722万円(40歳)
?位:レゾナック NA(NA)


集計は2022年度分なので注意

四季報の数値をチェックする場合には、注意すべき点がいくつかある。

まず、この集計は2022年度集計の数字なので遅行指標である、ということだ。2022年4月~2023年3月ね。

2022年4月なんてさ、今が2023年12月だから、1年半も前ということになる。

んでさ、さらに気を付けないといけないのがさ、ボーナスの算定期間。

2022年の夏のボーナスってさ、2021年の下半期の業績に連動してるわけ。つまり、今から2年前の景気が、この平均年収に反映されてるってこと。

・2021年下半期業績→2022年夏のボーナス
・2022年上半期業績→2022年冬のボーナス

これってさ、だいぶ前じゃね?笑

半導体バブルが一旦終わって景気悪くなってきたのって、2022年下半期からだからさ、今回の就職四季報の数字にはそれが全く反映されていないよ!

だって、2021年の後半なんて、まだコロナでほぼ全員マスクしてたし、その頃って大企業でもテレワークが流行った頃で、テレワーク用にPCやモニター、スマホ、ポケットWifiなどなど、めちゃくちゃ需要あったからね。

Trading Economics:SP500チャート

アメリカ株価もさ、このチャートの一番高いところが2021年の下半期、12月だよ?

半導体バブルって騒がれて、全然勉強しない日本人の会社員でさえ、「TSMC」だとか「ASML」って会社を覚えるようになったくらいの時期。

それが2021年の下半期だ。

大企業が普通に海外出張に行けるようになったのって2022年下半期だし、俺だってコロナ明けで最初に海外行ったのって2023年の年明けだよ?笑

どんだけ前の話だよ!っていうことだね。

つまり、去年の冬から段々景気が悪くなってきて、今までの間の業績がどうだったかを確認するってのは非常に大事。

トヨタとかさ、この前の決算では過去最高益だったからさ、次の次の就職四季報ではかなり高い金額が反映されると思うよ!

円安で儲かってる企業は今回の四季報には反映されてないので、就活生は必ず、気になる企業の決算説明会資料を読んで、直近の業績を確認することをオススメするよ!

まあ、就活生が決算説明会資料を読んでも数字の比較でしか判断できないだろうけどね。そういう「数字の中身」についても、俺は支援者に解説しているよ。

今回のこの記事のような内容でさえ、解説してくれる大人は殆どいないんだから、本当に就活生の企業研究って厳しいよね!そりゃ思ったのと違って、3年目以内に辞める人が後を絶たないワケだ!


三菱ケミカルの数字は要注意

総合化学メーカーで業界での売上高が4兆円を超えてて、圧倒的1位の規模を誇る三菱ケミカルグループ。

でもね、これは注意が必要だよ?

まず、去年発売された就職四季報2024なんだけど、平均年収はなんと740万円だ。

【三菱ケミカル】
740万円(就職四季報2024) → 926万円(就職四季報2025)

これ、「何があった!?」って思う人が沢山いると思うけど、答えは「2021年の冬のボーナスがスキップされたから」ということ。

つまり、2021年冬のボーナスがカットされて、2022年の6月に一括に支払われるようになったってこと。ヤバいよね。

たぶんだけど、自己資本比率が低いし、キャッシュフローが厳しすぎたから社員のボーナスを半年後ろ倒しにする暴挙に出たんだと思う。外国人社長だし。

だから、今回の就職四季報2025の三菱ケミカルの平均年収926万円なんだけど、ボーナスの算定期間は2021年度通期の業績(半導体バブル途中)ってことになる。

【年1回まとめて支給】
2021年度業績 → 2022年夏のボーナスに一括支給(就職四季報2025反映)
2022年度業績 → 2023年夏のボーナスに一括支給(就職四季報2026反映)
※上半期まで半導体バブル中
2023年度業績(今年) → 2024年夏のボーナスに一括支給(就職四季報2027反映)

どう?めちゃくちゃ遅行指標過ぎて、全くアテにならないでしょ?笑

てか社員はさ、半年長く生きないと生涯年収少なくなっちゃうよね笑

あと、この会社は三菱ケミカルグループで、三菱ケミカル+田辺三菱製薬+日本酸素HD(大陽日酸)という会社構成になっているのも注意。

みんなが就活で入ろうとしているのは三菱ケミカルなので、ヘルスケアと産業ガスの業績はボーナスに反映されない。

最近の三菱ケミカルグループの決算見てみなよ。営業利益のほとんどがヘルスケアと産業ガスだから!笑

2022年3月期 通期決算資料より

んで、三菱ケミカルの場合は来年の就職四季報も数字は高く反映される。

来年の冬には「やっぱり三菱ケミカルがナンバーワン!!」って勘違いする人が続出すること間違いなしだ。その翌年からは落ち目って騒がれるだろうから、まあなかなかに評判の上下に忙しい会社だね。


平均年齢に注意すべき

これって、前の別の記事でも解説した気もするけど、やっぱりね。

平気年齢には注意すべきだよ。

もちろん従業員数にも注意。足りない分はいくらでも補充が出来るけど、余ってる分はクビにできず、下の世代が迷惑を被るよ。三菱ケミカルの場合、40代も多いのがキツイ。

50代は10年待てばいなくなるけど、これだけ40代がいると、10年後も大量の50代がいて、今の20~30代が働き盛りの時に非常に困るよ!

以下は別の記事でも書いた平均年齢のイメージだけど、もう1回よく確認してみて欲しい。

38歳以下:ベンチャー気質で若い会社。または離職率が高い会社。
・39歳:大手企業なら世代交代が成功しており(リストラが上手いか実力が付いた後に転職する人が多い)、若い会社ならベンチャー系。体育会気質がある。
・40歳:同上。ただし、39歳の会社よりもブラック企業体質の確率が下がる。優良企業で、業績も良い会社はこの付近が多い。
・41歳:優良企業、ホワイト企業はこの付近に多い。
・42歳:一般的な日本の大手企業。
・43歳:一般的な日本の大手企業。どの部署も少し年齢構成高め。
・44歳:一般的な日本の大手企業。ただし、社員の高齢化が顕著でリストラも下手。業績にも黄色信号が掛かりやすい。若手の離職率が高い可能性も。
・45歳:一般的な日本の大手企業。ただし、どの部署もアラフィフだらけで若手が馴染みにくい職場が多い。温厚で平和な部署なら良いが、癖の強い中高年が多い職場だと若手は一瞬で辞める。
・46歳以上:もはや若手は希少価値が高く、残っていれば出世も出来るし、丁重に扱われる。ただし、周りのレベルが高くなく、古い考え方をしている人も多いので、スキルの取得は自分でやらないと茹でガエルになるので注意。


AGC, 帝人, 三菱ケミカル,住友ベークライトの年齢構成(高すぎ)

さっきの就職四季報2025の平均年収ランキングをもう1度見てみよう。

平均年齢が44歳以上のとこはね、ぶっちゃけ中高年の多さが目立つと思うよ。平均40歳のとことは確実に職場の雰囲気が違う。

ある意味落ち着いた職場とも言えるけど、若い感じの活気のある職場かというと、その確率はやっぱり下がるかな。

というか、最近の傾向だと、若手が辞めてるからこうなってるんじゃないかな。30歳前後の中途採用も少なく、人材の流動性が硬直化してる可能性が高い。これはこれからの時代、だいぶ負の遺産になるよ。

AGC 1,107万円(45歳)
三井化学 1,076万円(44歳)
日油 964万円(44歳)
帝人 945万円 (46歳)
三菱ケミカル 926万円(45歳)
積水化学 913万円(44歳)
住友ベークライト 901万円(46歳)
旭化成 887万円(44歳)
日本ゼオン 872万円(44歳)

もちろんだけど、平均年齢の高い会社は平均年収も高くなりがちだよ。

AGC, 帝人, 三菱ケミカル,住友ベークライト辺りはマジでヤバいと思うなあ。

AGCは2030年まで持続的に賃上げするって言ってるし、福利厚生も良いからまだマシだと思うけど、他は業績上がらなかったら一気に沈んでいく可能性があるから注意だね。


東レ,UBEの年齢構成(低すぎ)

東レ 969万円 (34歳)
UBE 890万円(32歳)

一方でこの2社。平均年齢が異常に低い。

まず、東レの場合はGコース(総合職キャリア)とSコース(一般職)がある。

昔の総合商社の一般職みたいで、給料は総合職の7~8割だけど、転勤や管理仕事が無いのが約束されてる感じだろうね。

この記事の無料版のところにも書いてあるけど、なんとGコースの総合職は2,000人しかいない。うち1,000人が管理職。

売上高2.5兆円の大企業なのにこの人数の少なさは異常だ。ただ、Sコース5,000人を入れても7,000人で、しかもSコースは大半が工場勤務者。

就職四季報の平均年収はGコースのキャリア組のものだと思う。去年の四季報も平均年収932万円でやたら高かったんだけど、かつての東レを知ってる人からすると、「そんなに高かったっけ?薄給激務で有名だったような。」という感想だ。俺もそう思った記憶がある。

これは、やはり最近の四季報にはGコースの総合職の数字を出すようになったからだと思うのと、あとは最近めっちゃ賃上げしたみたいね。

それで有価証券報告書の平均年収(Gコース+Sコース混同)では756万円(平均年齢40.3歳)になっていたから、だいぶ上がったみたいだね。

平均年齢はこっちのが適切で、職場は一般的な日系企業の雰囲気だろう。

今回の就職四季報2025の平均年齢は、Gコースだけの数字なのだとしたら、相当若い。ただし、さすがにこの若さは不自然なので、さっきの記事にもある通り、55歳以上を大量に出向・転籍させて、平均年齢を下げた可能性がある。

つまり、グループ会社の平均年齢は入っていないというカラクリのように思える。

これは、最近の東レは他の化学メーカーと同じで、総合職の若手がそこそこ辞めているっていう話を聞くから、Gコースだけで平均年齢34歳はあり得ない。

同じ理屈で、UBEも一般職が混じってるような気がする。


どこが化学メーカーの優等生なのか?

今までの情報を踏まえて、どこが化学メーカーの優等生なのか。俺の主観ではあるが書いていこう。

結論は、富士フイルム、AGC, 三井化学、三菱ガス化学、日産化学の5社かな。

クラレ、東ソー、積水化学も良いとは思う。

東レは条件付きで良い。

信越化学は大穴かな。業績は圧倒的だけど待遇がイマイチ。でも本気出したらすぐ1番の待遇に出来ちゃうからね。経営側が人材確保のために決断したら一瞬で名実ともに日本一の化学メーカーになれる。

たぶん、今組合が一生懸命に主張してると思うよ。「俺たち圧倒的な業績なのに待遇が低すぎるだろ!!!」って。組合がストライキしちゃえば、一発でAGCの平均年収くらいには出来ちゃうんだけどね。

以下、俺のコメント。

【総合化学】
・住友化学:今年の業績がヤバすぎる。こっからボーナスカットなど不可避だろう。
・三井化学:石化以外は安泰の決算内容(営業利益率10%前後)
・三菱ケミカル:下がることはあっても待遇は上がらない。石化はダメ、機能材料も注力してる割にダメ(つまり、日本酸素HDに入ろう笑)10~15年我慢できる忍耐力のある若手はOKかな
・旭化成:これが総合化学の実態(石化がキツイから、こんなもん)

無理してるのはこの辺の総合化学だね。


【人気のAGC】
AGC:先行投資で賃上げしたので、ここから業績上がらないならキツくなるけど、福利厚生もいいし、まだ業績が伸びる商材を持ってるのが総合化学メーカーとの違いかな。平均年齢が高いのが気になるけど、新卒入社ならそれよりも福利厚生が良くて、若いうちから賃上げを約束してくれる会社の方がいい。

【繊維組】
・帝人:だいぶ無理してる。ヘルスケア部門なんて営業はMRのキツイ版だから、ポジションとしてもキツイ。繊維も炭素繊維も東レの下にいる。
・東レ:業績的にはずっと横這いかなー。低利益率だし。でもGコースの総合職で入れば、世間的に見れば非常に良い。住宅手当が異常に高いらしい。駐在も多いから、海外志向の人はここだ。アパレル繊維・炭素繊維・水処理膜と専門に特化してるから、これからの時代はこういう分かりやすく専業でやってる会社の方が世界で埋もれずに済むんじゃないかな。ちゃんとやれば(笑)


富士フイルムはチェキが売れてるし、最近の決算見ても信越の次に断トツで良いからさ、めっちゃオススメ。

積水化学も業績良い。三井化学もね、三菱・住友とは比較にならないほど順調に機能材料を育ててる。

日産化学は言わずもな。規模は小さいけど技術力があるから利益率が高い。

三菱ガス化学と東ソーは地味だけど堅実。東ソーは総合化学メーカーに分類されるけど、割と独自路線だから、まあ大丈夫だと思うよ。

クラレはポバール(PVA:ポリビニルアルコール)に頼ってる感否めないけど、今までニッチ戦略で来てるから、高利益率で安定してる。

やっぱりこの辺の企業は手放しで優良企業、優等生だと言えるなー。


総括

今回、化学メーカーの就職四季報の平均年収と平均年齢をピックアップして並べてみたけど、どうだった?

中にはガラスや繊維みたいな素材メーカーも入ってたと思うけど、

まあ化学メーカーに分類してもおかしくない会社かな。

DICとか日東電工を入れるのを忘れてたことに今気づいたけど、ごめん許して!!

まあ全体的にはね、川上の石油化学分野がキツイし、これからも他国の企業の設備稼働でどんどんキツくなるからさ。

なるべく総合化学よりも川中~川下に機能材料にシフトしている会社を選んで入った方がいいと思う。

信越化学みたいに、「世界で1番大規模に、安く塩ビを供給できる会社」になれれば良いけど、あの会社は亡き・金川千尋会長のカリスマ手腕があったからそんな大胆な意思決定が出来たわけだし、ちょっと特殊な事例!

それよりかは、富士フイルムのチェキ事業みたいに、川下でドル箱となる商材を発掘してビジネスしていった方が、割と簡単に高利益率でビジネスが出来るかな!

でも、これからは日本の人口は減るからね、川下でビジネスするならグローバル。特にアジア市場の堅守は大前提だよ!

一方で、米中の衰退でアジアシフトが進み、海外の投資マネーが一定日本の優良企業と国策企業に入ってくる。

そういう意味では、川中の素材メーカーも高付加価値品を中心にまだまだチャンスはありそうだよね。

というわけで、就活生は是非とも参考にしてみてね!

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