ぬいぐるみのお話






おじいちゃんとおばあちゃんのおうち。

おかあさんも、むかしすんでたんだって。


わたしは、きょうはじめてきたの。

おばあちゃんがむかしのだけれどって

おもちゃをだしてくれた。


おかあさんはどれも、これもなつかしいって。

わたしのしらないおもちゃばっかりで

たのしかった。


そのなかにあったクマのぬいぐるみ。

かわいくて、だきしめてみた。


おかあさんはそれをみると

ふしぎなかおをした。


かなしそうな、うれしそうなかお。

どうしたの?

そうきいたらね。


「このこはね、おかあさんのおともだち。

 ちいさなころ、ずっといっしょだったの」


そういうふうにいったんだ。

だから、わたしはおかあさんに

クマのぬいぐるみをさしだしたの。


おかあさんは、ありがとうっていって

おかおをみながら、ないちゃった。


かなしいの?

いやなの?


「ちがうよ、うれしいの。

 またあえて、ほんとうにうれしいんだ」


そういって、わたしみたいに

ぬいぐるみをだきしめた。


「このこのこと、つれてかえろっか」


わたしは、うんってうなずいたんだ。


         「ぬいぐるみのおはなし」

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