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まっさらな場所 ~ep.1~

私はこの場所を訪れていた。

夜雨があったのか空気は澄み切って、
息を深く吸うとまるで溶けてしまいそうになる。

まだ陽は覗かず夜でも朝でもない、何にも縛られないこの時は格別だ。

澄み切った空に揺蕩うように歩いていると、ふと足裏にやわらかな草の感触の隙間から敷石のようなものが触れている。

その上を辿ってみると、少し先にぽつんと小さなおうちが見ている。

そう、私のお城である。

正面の扉は木製で小窓と、少し錆び付いているが肌馴染みの良さそうなドアハンドルがついている。
その横には窓枠があり、何かの花を象ったデザインのステンドグラスが上品に収まっている。
(ちなみに扉の小窓とおそろいのものだ)

家の左手、横には小川が流れ少し林になっていて、その手前にカフェテーブルが1つと椅子が2脚おいてある。
…だがテーブルと椅子は違う種類のものだ、その理由はまた後日にでも。

扉を軽く引くとまるで境界線があるように空気が変わる。

熟知している温度と匂いが、身体を労るかのように包み込んでくる。
軽く土をはらい、そのまま中に入ると廊下が続いている。 

左手前の部屋はバスルームだ。
薄いピンクの貝殻のようなタイルが足元一面に広がっている。
壁は白よりのベージュのタイルで、目線の高さの一部だけ青い蔦のタイルで装飾されていて、
洗面台とバスタブがおもむろに配置されている。

と、まずは足を洗う。
当たり前のように言うがここでは裸足でいる。

その方が心地よいから。
何も危険はない。
安心してほしい。
(貴方が考えたようにすればいい)

用意しておいたこの家で一番柔らかいタオルで丁寧に拭きあげる。

暖かい空気に、暖かいシャワーで眠気が戻ってきたようで、ふわふわとした足取りで部屋を出る。

廊下を進み、右手一番奥の部屋に入るとオークの優雅なレリーフが彫られたベッドのある寝室だ。
沢山の植物が囲んでいる。

大きなクッションと、マットレスから溢れてきそうな寝具達が今か今かとこちらを伺っている。
その誘いに抗えるはずもなく沈んでみると、暖かくて、手触りの良い寝具にくるまり、右足を少しだけ外に出す。

そうすると、朝のひんやりとした空気が肌を伝って私の脳に広がって…

そうして陽が上り、窓から漂う空気が変わる頃、私も動き始めることだろう。

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