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艦これRPG・ローカルサプリメント『とある俺達の電撃作戦-ブリッツクリーク-』

概説

このnoteは友人同士で『艦これRPG』をプレイしていた時に湧き出てきた自作ルールをまとめておくものだ。
君達の卓にそのまま輸入できるモノでは無いと思うが、アイデアの一助になれば幸いである。
もちろん、使えそうならそのまま使ってしまっても良い。
ベテラン提督諸氏の采配に、期待する。

「そもそも艦これRPGって何やねん!」という方はこちらから。

ついでに、俺達の艦これRPGは2015/05/31から開催されていない。(TRPGから離れたわけではない)
このnoteは当時の環境を振り返ってしたためたものでもあるということは、留意しておいて欲しい。

俺達の卓環境

・テキスト&ボイスチャット併用のオンラインセッション
・描写&ロールとデータ的宣言はテキスト
・作戦会議と雑談はボイチャ
・基本的なシナリオ構成は2サイクル+戦闘2回
・Lv6を超えるような高錬度艦娘4~6人による高難度戦闘のシナリオ多め
・1回のセッション時間は合計約8~10時間。長くも短くもなる。
・「PCのコントローラーを握っているタイプのPL」が比較的多め。
・鎮守府にアイテムの保管が効いた(前述の高難度の攻略に寄与していた要素の1つ)

あくまで俺の主観ではあるが、大体こんな感じの環境だった。
こういう背景から、「セッション時間の短縮」と「艦娘サイドの戦闘能力の増強/補強」に主眼を置いたローカルルールがいくつか生まれた。

それらのローカルルールの中で、発案者がBurnedAshであるものを抜粋し、以下に記す。
この他に、卓内面子発案のルールもあるが、それを書き記す権利は持っていないということだ。

(20/03/10追記)同卓した面子からローカルルールの追加要望があったので追加する。
協力に感謝する。

フェイズ処理簡易化

フェイズ処理簡易化は以下の2つのルールから成り立っている。

【特殊攻撃同時化】
【雷撃戦処理簡易化】

これらの説明を行うにあたり、艦これRPGにおける艦隊戦の流れを雑な図にまとめた。
その上で、それぞれについて解説する。

無題

【特殊攻撃同時化】
航空攻撃、開幕雷撃、雷撃のダメージタイミングは全てのキャラクターが一斉に行うものとする。

例として、航行序列6に存在する敵艦の航空攻撃で、航行序列5に存在するPCの空母が中破しても、同タイミングで航空攻撃を行える。
基本的には原作再現の趣が強いが、PCサイドに「先にサイコロ振ってて」が通用するようになる。
勿論実際は超対空のやり取り等があるのでそう簡単にはいかないが、敵空母(稀に潜水艦)の序列を気にしなくてよくなるため、作戦立案時の懸念点が減り、微量だがセッション時間の短縮に繋がる。

【雷撃戦処理簡易化】
雷撃戦フェイズを事実上の3ラウンド目から2ラウンド目終了時の処理に変更する

詳細な流れは以下のようになる。

無題

基本的には1ラウンド目と2ラウンド目の重みを等価に近づけるためのルールである。
また、ラウンド開始/終了に使用する一部の戦術アビリティの使用/判定回数の削減や効果期間の延長も狙っている。
ごく一部の強力なアビリティの組み合わせ(作戦カテゴリの戦術アビリティ《陣形変更》+鈴谷改の固有アビリティ《絶対領域》等)を制限する意図もある。

スペシャル値/ファンブル値

スペシャルとファンブルの発生条件を以下のように定義する。
(※出目はダイスの結果だけを考慮し、各種修正値は考慮しない。判定妨害によってダイスが取り除かれた場合、残ったダイスの出た目の合計を出目として扱う)

【スペシャル】
行為判定の結果、スペシャル値以上の出目が出た。
【ファンブル】
行為判定の結果、ファンブル値以下の出目が出た。

通常、スペシャル値は12、ファンブル値は2とする。
また、以下に示すルールやアビリティ、装備能力等に変更を加える。
"~"で表記される部分は、元の文言のうち、スペシャルやファンブルに関わらないものが入る。

 ●夜戦(ルール):命中判定のスペシャル値に-2、回避判定のファンブル値に+2する。
 ●慢心(ルール・暴走):行為判定を行うとき、ファンブル値に+2する。
 ●徹甲(装備能力):種類が「主砲」の装備アビリティを使った命中判定のスペシャル値を-1する。~。
 ●夜偵(装備能力):~、その夜戦フェイズの間、自分の命中判定のスペシャル値を-1する。
 ●空中観測(戦術アビリティ・制空):~、スペシャル値を-2する。この効果は累積しない。
 ●集中攻撃(戦術アビリティ・攻勢):~。指定個性の判定に成功すると、その判定のスペシャル値を-2する。
 ●奇襲(戦術アビリティ・艦種):開幕雷撃戦と雷撃戦の判定を行う場合、スペシャル値を-1する。~。
 ●煙幕展張(戦術アビリティ・艦種):~。その判定のスペシャル値を-2する。
 ●溢れる自信(固有アビリティ・天龍):弱点を使って判定する場合、その判定のスペシャル値を-2する。
 ●不幸だわ(固有アビリティ・山城改):~。達成値が[スペシャル値+1]以上になった場合、その判定はスペシャルとして扱う。
 ●ソロモンの悪夢(固有アビリティ・夕立):自分の命中判定のスペシャル値を-1する。
 ●帰国子女(固有アビリティ・金剛):~、ファンブル値を+1する。
 ●本当に困るんですけどぉー(固有アビリティ・村雨):自分がX回目の再判定を行うとき、スペシャル値を-X(最大3)する。
 ●おっきな魚雷でち(固有アビリティ・伊58):~命中判定のスペシャル値を-1する。夜戦フェイズでない場合、さらに-2する。
 ●「夜戦」掛け軸(家具):~、夜戦フェイズ中に行った回避判定のファンブルを打ち消す(達成値は通常通り算出する)。~

複数のスペシャルに関するルールや能力が重なっても腐らないようにするためのルールである。
特に夜戦時の恩恵が大きく、これを利用した派生ルールもいくつか生まれた。(発案が他者のため掲載はできないが ⇒ 20/03/10追記 発案者許可により掲載できる運びとなった)
上記のリストが全てのスペシャル・ファンブルに関するルールをカバーしている保証はないため、穴を見つけたら心のメモ帳に書き記していただきたい。

夜戦スタート

《前提》【スペシャル値/ファンブル値】の導入
艦隊戦の間はすべて夜戦フェイズとして扱う。
また、艦隊戦のラウンド進行が特殊になる。(後述)
遭遇時に、通常の戦場表の代わりに夜間戦場表を振る。(GM任意)

無題

★夜間戦場表
(1)同航戦:効果なし
(2)大混戦:互いの陣形がもつれあう。こうなったら全滅させるしかない!どちらかが全員行動不能になるまで短距離砲撃フェイズを繰り返す。
(3)奇襲:敵の死角をとった!命中判定のスペシャル値が-1される。
(4)遭遇戦:至近距離で敵と遭遇!砲撃フェイズで発生したダメージはすべてラウンド終了時に適用する。
(5)漆黒:真っ暗でなにも目視できない……。装備種類が探照灯、照明弾、電探の装備を持たない艦は、プロットをランダムに行う。
(6)月光:今宵は満月。月の光が辺りを照らす。1ラウンド目の砲撃フェイズは中距離から行う。回避判定のファンブル値が-1(最低2)される。

原作の夜戦マスの雰囲気を再現するルールである。
戦場表の結果にもよるが、本家同様クリティカル率が激増する。夜戦の機会が少ない卓では、手軽に夜戦の興奮を味わうこともできるだろう。
ルール提供はドラグノフ氏から受けている。ありがたいことだ。

制空戦

《前提》【スペシャル・ファンブル値導入】
0.航空戦フェイズ前に制空戦フェイズを行う。
1. 制空戦フェイズに参加する艦は参加を宣言する。
2. 宣言した艦は、[艦載機アビリティの超対空の数値合計]D6をそれぞれ振る。これをすべて合計した値を「制空支配値」とする。
3. 制空支配値算出後、不参加艦は参加艦に声援を送ることで制空支配値に[感情値]D6追加できる。
4. 成否を決定する。敵艦隊は「制空目標値」が設定されており、制空支配値が制空目標値以上であれば成功。公開されていなければ制空目標値を公開する。
5. 1~4を二回行い、成功回数によって下記の制空状況に変化する。

制空劣勢(0回):自艦隊の航空攻撃、超対空、艦載機の火力が-1される。敵艦すべての判定妨害が+1される。
制空均衡(1回):変化なし
制空優勢(2回):自艦隊の航空攻撃、超対空、艦載機の火力が+1される。艦隊戦の間、自艦隊全員は《観測射撃》を取得する。
《観測射撃》
個性:なし 形式:サブ カテゴリ:特殊
装備種類が「艦載機」の装備アビリティを取得している時に使用できる。
装備種類が「主砲」の装備アビリティによる命中判定を行った後に使用する。
スペシャル値を-1し、その命中判定のサイコロから一つ選んで振り直す。
この効果によりサイコロの目の合計がスペシャル値を超えた場合、その命中判定はスペシャルとなる。
ファンブルした命中判定にこのアビリティを使用することはできない。

原作の航空優勢と弾着観測射撃を再現するルールである。
優秀な艦載機を運用する空母と、主砲と艦載機を両立できる巡洋艦の重要度が上がるため、導入する場合は事前の詳細な告知を推奨する。
俺達の実プレイ時は、事前の勧告と、下記看破判定の併用でセッションに臨んでいた。

★制空目標値の公開条件
・1回目の制空支配値算出後に制空目標値は公開される。
・GMは鎮守府フェイズ中に看破可能としてもよい。

★看破判定
鎮守府フェイズ中、シーンプレイヤーはシーン中一度だけ《索敵/航海3》または《指揮/航海10》で判定を行える。
成功した場合、2d6を振り「看破値」として加算する。
看破値が一定値に達すると次の艦隊戦の制空目標値が公開される。
看破目標値は、制空目標値の半分である。

ルール提供はドラグノフ氏から受けた。実にありがたいことだ。

防空拡張

全てのキャラクターは「防空0」の装備能力を持っているものとして扱う。
全てのキャラクターは「防空X」の装備能力を合算して使ってよい(防空1を2つ持っていた場合、防空2として扱ってよい)。

概ね「同じ序列にいる味方艦に対する<対空X>の使用を許可する」ルールとなっている。
敵艦が特殊な編成でもなければ価値が低くなりがちな<対空X>の利便性の向上を狙って設定したと記憶している。

陣形

プロット前に、自艦隊は以下の陣形の中から1つを選択する。
●単縦陣:自艦隊が与えるダメージに+2
●複縦陣:命中判定の振りなおしで減少する行動力に-1(0以下にはならない)
●輪形陣:対空/超対空で減少する行動力に-1(最低0)、敵艦隊の航空攻撃/索敵の値に-1
●梯形陣:回避判定の振りなおしで減少する行動力に-1(0以下にはならない)
●単横陣:マークに関わらず潜航艦に対して総合火力+1で攻撃可能、敵艦隊の雷撃の値に-1
陣形の効果はその艦隊戦中、陣形を選びなおすまで継続する。
また、戦術アビリティ【陣形変更】に以下の効果を加える。
「また、プロットを行う前に自艦隊の『陣形』を選択しなおす。」

原作の陣形システムを艦これRPG用に逆輸入した、原作再現用ルールである。
艦隊戦における戦術寄与度の向上や、今後控える『強力な敵艦隊』との交戦も視野に入れている。
各効果や数値に関して最適化されているとは言いがたいので、各自アレンジしての利用を推奨としたい。

大演習

●本シナリオ中の轟沈によるロストは無いものとする。
●行動不能に陥った艦は轟沈とみなす。
●《身代わり》による装備損失は無いものとする。但し、セッションの間その装備の使用及びアビリティ等による対象指定は不可となり、その装備の改装も不可とする。
●戦闘終了毎に発見、補給、入渠、改装の機会を一度ずつ設ける。この時の入渠は即座に修復されるものとする。
●戦闘に敗北した場合も、撃沈した敵の戦果表を振ることができる。
●戦闘中のNPC側の挙動は基本的に深海棲艦に準ずる。但し、以下の裁定を用いる。
 一、戦闘開始時にNPCは全データを公開する。
 一、各NPCは固有アビリティ及び戦術アビリティを持つ。また、一部能力を変更する可能性がある。
 一、各NPCは個性を持つ。
 一、NPCは損傷によるペナルティを受ける。
 一、NPCは感情値を持ち、声援を行う。この感情値は本シナリオ中限り有効とし、終了後削除される。
 一、NPCは航行序列フリーによるボーナス(火力、全体攻撃)がない。
 一、アビリティの判定妨害を行わない。
 一、偵察回数制限がない。

艦娘同士の戦闘の他、轟沈によるキャラロストのない『演習』を再現するルールである。
深海棲艦ではない『艦娘』との遠慮のない戦闘を楽しむための考慮が随所にされている。
NPCの個性やアビリティの選択で同卓したPLをニヤリとさせることも可能だろう。
ルール提供はドラグノフ氏から受けた。ヤツには頭が上がらんな。

艦娘カード(アイデアノート)

各鎮守府に存在するNPC(あるいはシナリオ不参加PC艦娘)を「シナリオ中に(基本的には)1回だけ使える強力なリソース」として運用するルールである。
各艦娘カードの機能/性能について正解は存在しないため、提督諸氏は自身の手で魅力的な個性の再現に挑戦してみて欲しい。
参考程度に、俺達の倉庫から引っ張り出したアイデアをいくつか記しておく。

【鈴谷】
プロット公開時に使用できる。1~6の数を選択し、その数の序列にいる敵艦全てを目標に選ぶ。目標に損傷を1つ与える。このカードは2回まで使用でき、同タイミングで1度のみ使用できる。

【金剛】
いつでも使用できる。味方艦全員は好きなキャラクター1人への感情値を2点上昇する。

【明石】
いつでも使用できる。味方艦1人を目標に選ぶ。目標の行動力と損傷状態を全て回復する。

【龍驤】
航空戦フェイズに使用できる。潜航していない敵艦全てを目標に選ぶ。目標に15ダメージを与える。

【熊野】
いつでも使用できる。好きなアイテムを3つ入手する(別個に選択してもよい)。その後、このカードの使用回数を1回回復し、効果を以下に変更する→「いつでも使用できる。声援2を行う」。

【利根】
プロット中に使用できる。敵艦1人を目標に選び、そのプロットを公開する。さらに、この艦隊戦中、目標の装甲力と命中力と回避力がそれぞれ2点減少したものとして扱う。このカードは2回まで使用できる。

【時雨】
誰かが回避判定を行った時に使用できる。その判定の達成値に+10する。このカードは2回まで使用できる。

NPCの運用については『抜錨ノ書』でいくつかのルールが追加されたが、本ルールはそれに先駆けて連合艦隊戦を再現するために作成されたものであることも併記しておく。

NPCの数がある程度以上にいるのなら、艦娘ではなく『艦隊』にアビリティを持たせることもできる。(この案はドラグノフの脳から出ている)
気炎を上げている提督諸氏は、挑戦してみてはいかがだろうか。

結び

以上が俺達の艦これRPGで利用されたローカルルールの一部だ。
君達提督諸氏の卓に彩りを添える一助になれれば幸いだ。
そのときには、このnoteにアレンジメントの結果や使用感、反応等書いてもらえると助かる。
その軌跡がきっと、後に続く者達の道となるだろう。

Special Thanks
とあるさくらのジェネレータ
ドラグノフ

君が実に酔狂な、その辺の一般人をつかまえて月一で飯を奢るような人間なら、そこの『サポート』というボタンを押してみてもいいだろう。