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君の膵臓を食べたい

出会いは自作の文庫


主人公「僕」とヒロイン「山内桜良」の出会いは病院。「僕」が偶然拾った文庫本、それは「僕」のクラスメイトである「山内桜良」の秘密の日記帳。内気で友人が少なく、学校でも一人の時間を好む「僕」が明るくクラスの人気者である「山内桜良」の重大な秘密を知ってしまう。「僕」はその秘密を知ったがために「山内桜良」のやりたい事に付き合うことになる。「山内桜良」に付き合ううちに、他者を必要としないはずだった「僕」に心の変化が現れる。同時に「山内桜良」にも・・・正反対の2人がお互いに憧れ成長していく物語。

青臭く切ない

この「山内桜良」笑い方が「うはは」と豪快なんです!!行動も一直線で思い立ったら吉日的。もちろん「何故そんな風に自由にするのか」には理由がありますが、それをのけても魅力的な女の子です。「向かうところ敵なし」なイメージとは反対に、十代の女の子の弱さや照れ隠し、強がりと意地を張る等の描写が細かく伝わってきます。「僕」の大人びた考え方、孤独じゃなくて一人が楽なんだ、という心情から「誰かに必要とされる喜びを知って」少しずつ変化していく姿にも心奪われます。

最期まで気を抜けない


読み終わる前に号泣数回しますが、最期まで気を抜いてはいけません。膝から崩れ落ちるぐらい持っていかれるので、しっかり立って(座るか寝転んで読みますけどね)踏ん張って読んで見てください。著者は最初「カンニバル」系のホラー恋愛かとおもってましたが、もっと純愛でした。題名は最初に出てくる会話では「何気ない」話で出ただけなのですが、後半では「君に送る言葉」に変化していきます。愛情あふれる1冊、最期にこの言葉が出るシーンは喜びで胸が詰まると同時に切なさで涙する瞬間になります。心に残る名作でした。


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