帝京さんのこと
これを書くきっかけは、いぶきくんです。
2020年シーズン、帝京の1番を背負い続けた選手。そして、帝京の選手たちと私をつないでくれた選手でもあります。
彼を撮り続けることが、この数年の私の幸せのもとでした。
1 いぶきくんのこと
近藤芽吹選手は、新潟工業高校から帝京に進学したPR(プロップ)の選手です。
新潟工業といえば、日本代表の稲垣啓太選手の母校。花園常連の古豪です。
いぶきくんは5歳からラグビーをはじめたそうで、高校を通じて出場した花園では、3年間新潟県代表として花園でも活躍しました。
3年生のときには高校日本代表としてアイルランド遠征にも参加しています。
私が彼を見つけたのは、高校2年生の花園。
当時はFLでした。粘り腰のタックル、弾けるようなラン、倒れないボディバランス。芽吹=いぶきというお名前も素敵。春生まれなんだろうな、って思ったら4月21日がお誕生日でした。雪深い新潟の、春のよろこびをこめたいいお名前ですよね。
彼が高校3年生の花園は予選トーナメントの現地観戦は叶いませんでしたが、彼が帝京に進学すると聞いて大喜びしたものです。
私が彼の写真をUPしたことをきっかけに、SNSを通じて話をするようになりました。笑いのツボやアマプラで見ているドラマ、アメリカのプロレスWWEなど、好きなものがいくつか共通していて、話していて楽しかった。本当によくかまってくれてありがとういぶきくん。
帝京で活躍するのを楽しみにしていた矢先の1年生の春、彼は練習中に大けがをします。
入学してすぐの入院、手術。暑くなる季節、ずっと装着していた保護装具が臭くて!って話をしたっけ笑
その後も相次ぐけがに泣き、念願のファーストジャージに袖を通したのは、2019年の春季大会。
21歳のお誕生日のことでした。
しかしこのシーズン、彼が1年生の時に全人未踏の9連覇を成し遂げた帝京は、大学選手権3回戦で姿を消すことになります。いぶきくんはこの3回戦に急遽メンバー入りしました。
週末に発表された関東協会のメンバー表には名前がなかった。本当に試合直前、ギリギリでのメンバー変更でした。
熊谷でこの試合を応援していましたが、勢いに乗る流経大を相手に、流経だけじゃない、何か目に見えないものを相手に懸命にもがいてるような帝京の姿を見るのはつらかった。
4年生の引退試合になってしまったこの試合の後、彼は最後まで涙にくれていたと聞いています。
そして最終学年でのCOVID-19の感染拡大。あの日の熊谷を最後に、春季大会も夏合宿も見に行くことができなくなりました。
2020年秋、待ちに待った対抗戦の開幕でしたが、帝京は序盤無観客試合が続き、見に行けません。やっと秩父宮で開催される早稲田戦は…チケットがとれず。次戦も仕事でダメ。
やっと秩父宮でいぶきくんを見られたのは11月22日の明治戦でした。
確保できた席は明治サイド。明治にも箸本キャプテンをはじめ、けがでラストシーズンを断念した京平、ほかにも大切な選手がたくさんいるけど、いぶきくんが出る試合は特別な思いです。
この日の試合は、前半同点で折り返し、後半途中入替えまでがんばりましたが、後半に差をつけられ、敗れます。
それでも、久しぶりにいぶきくんの試合を見ることができて、本当にうれしかった。
2020年、大学のラストシーズン、いぶきくんは対抗戦7試合のうち6試合で先発1番を背負い、7試合すべてに出場しました。
大学選手権初戦となる3回戦は、同志社の出場辞退で不戦勝。準々決勝の東海戦では、フル出場を果たします。これは消耗の激しいスクラム第一列の選手には、大学トップレベルでは特に稀有なこと。そしてこの試合は、両チーム一歩も引かない、記憶に残る素晴らしい試合となりました。
こんな重要な、強度の高い試合で、最後までFW第一列を背負い続けることの意味を考えると今でも胸が熱くなります。それって一緒に闘う仲間たち、監督コーチ陣両方の信頼、そして80分間闘えるフィジカルがないとできないことだから。
大学1年生の初めにけがをして、なかなかメンバー入りできずにいたいぶきくんは、最後の最後で帝京の一番になりました。
試合後、お疲れさま、ってメッセージを送ったら「ヘトヘトです。実は80分出たの帝京入って初めてなんです」って返信でした。うんうん、本当にお疲れさまでした。かっこよかったよ。
公式戦ラストゲームとなった1月2日の早稲田戦。秩父宮メインスタンドで、私の影響ですっかりいぶきファンになったオットと並んで観戦です。
早稲田は対抗戦で後半点差をつけられているし、修正力の高さには定評があります。スター選手も多く、セットプレーも安定しているから、帝京はどうやって対応するのか、ドキドキしながら見ていました。
試合が始まると、ラインアウトからのモールを押し込まれ、同じパターンでトライをとられます。これは厳しいかも、と一瞬思いましたが、前半終了間際に認定トライを勝ち取り、後半への流れをつなぐ形になりました。
ここで早稲田はお家芸でもあるバックスへの展開と、レベルの高い個人技で得点を奪います。それでも、前半見られた悪い流れを押し戻し、終わってみれば後半だけなら14-12と帝京が追い上げ、届かなかった形になりました。最終スコアは27-33。前年3回戦で姿を消した帝京が、前年王者の早稲田をワントライワンゴールまで追い詰め、大学選手権の舞台から去ることになりました。
初めて出会ったときはFLだったから、余計に「なんて大きくなったんだろう」って思う。中学生の頃はBKだったそう
去年の苦しい空気の中での敗退を見てきたから、負けは悔しいし引退もつらいけど、やり切ってくれたことに対する感謝の気持ちの方がずっと大きかったです。
この試合も、いぶきくんは前戦に続きフル出場。彼を応援してきた者として、本当に誇らしく思います。まだまだ帝京ジャージを着て闘いたかったと思うけど、彼の大学ラグビーはここで幕を下ろしました。
メインスタンドへの試合後のあいさつ。最後まで頭を上げませんでした
大学ラグビーの終了は、4年間寝食を共にしたチームの仲間との別れも意味しています。恩師やチーム関係者、応援団の方々へのご挨拶もしなくちゃだし、悲しんでばかりもいられない忙しさの中で、いぶきくんから長い長いメッセージが届きました。熱い、長い感謝のメッセージでした。
私が勝手に応援してきたことを、こんなに真摯に受け止めてくれていた。怪我をして、うまくいかない時もあきらめずにがんばり続けるいぶきくんの姿に、励まされ続けていたのは私の方なのに。秩父宮のスタンドでは泣かなかったのに、声を上げて泣きました。
いぶきくんを通じて、BCDチーム、そしてサポートスタッフとしてがんばる選手たちをたくさん知りました。彼らの役割、それがAチームをどうやって支えてきたのか。部員、スタッフ全員が対抗戦、選手権で戦う23人のために何をしてきたのか、どういうモチベーションでいるのかに触れさせてもらいました。
このことは、高校ラグビー中心に生きてきた私が、大学ラグビーやそれ以上の世界でがんばる選手たちをより理解するために、どれだけ役立ったか計り知れません。
いぶきくんの写真をTwitterやInstagramにアップしてきて、彼の魅力に共感してくれるフォロワーさんと多くつながることができました。
結婚してアメリカにいる親友も、すっかりいぶきくんファンになりました。家族でテキサスに遊びにおいで!と言いだす始末です笑
いぶきくんには感謝しかありません。これからもずっと応援していくし、次のステージでも追い続けます。
いぶきくん、そしてこっそり仲良くしてくださった大好きないぶきママ、本当にありがとうございました。
帝京の1番は、私の一番でもありました。
社会人としてどーよ?な私の通勤バッグ。いぶきーホルダーと日本橋にある「芽吹き稲荷」の勝守です
2 サインをくれたみなさま(順不同)
この写真は、いぶきくんが対抗戦開幕の日体大戦でMOM(マンオブザマッチ)をとったときに、チームからもらったTシャツです。それにサインをして送ってくれたの。
サインをしてくれた選手たち、Teamまりこですって( ´艸`)
もーほんとにうれしすぎる。選手のみなさんありがとうございます。
彼ら以外にも個別にやりとりしてた選手は何人かいるけど、ここで紹介できなくてごめんなさい。
Tシャツの送り主欄にはこんな表記が↓
近藤芽吹くん(新潟工業)。対抗戦開幕戦でのMOM表彰のテレビ画面です。卒業後の進路は愛知電機(ラグマガ情報)。中部電力系の会社で競技を続けます。
木村朋也くん(伏見工業)1年生から帝京のWTBとして活躍しました。代表歴は2015U17、2016高校。高いランニングスキル、得点能力を持つ選手です。卒業後は近鉄へ。
上山黎哉くん(大阪桐蔭)。2017高校日本代表。花園は準優勝でしたが、大会を通じて高いキャプテンシーを見せた大阪桐蔭の主将。花園決勝で敗れたときの涙が今でも思い出されます。めちゃくちゃ熱いキャプテンでした。帝京では菅平合宿でいぶきくんと同室(小ネタ)。刺さるタックル、力強いボールキャリーが魅力です。
最上級生として、これからもがんばってね。
神座立樹くん(専大松戸)。速さ、トライをとり切る嗅覚を持ったWTB。百草Gで見た相手チームの選手を飛び越えて取り切ったトライは忘れられないなあ…本当に楽しそうにプレーするので、見ていて幸せになれる選手です。笑顔がマジ天使。卒業後はセコムへ。
北村将大くん(御所実業)。2015U17,2016,2017の高校日本代表候補。高校1年、3年で花園出場、高校3年時は御所のキャプテンでした。
帝京では1年生からAチームのSOとして活躍しました。かわいい顔してすごいんです。
名前が同じという理由だけでオットと泡盛「まさひろ」を送り付けたことあります…(/ω\)
卒業後はトヨタへ。
李承爀くん(大阪朝高)。2016高校日本代表候補。高校ではキャプテンを務めていました。神戸製鋼の李承信選手のお兄さんとしても知られます。正確なスローイン、機動力のある突進が魅力のHOです。卒業後はHONDAへ。
ニコラス・マクカラン/Nicholas McCURRANくん(ハミルトンボーイズ)NZの名門高出身のCTB。神戸製鋼のNo.8ブロディ・マクカラン選手はお兄さんに当たります。ニックが入るとバックスの空気が変わると評した方も。推進力に優れ、得点力のあるセンター。卒業後は東芝へ。
細木康太郎くん(桐蔭)2017年高校日本代表。花園準優勝を牽引したパワーとスピードに恵まれた世代最高峰PR。これからの日本ラグビーを背負って立つ逸材です。そしてこの愛くるしさです!
ベンチの記録、190kgまでは聞いたけど、その後どうかな?伸びてる?
大学ラストイヤー、帝京をそのパワーで引っ張ってくれるでしょう。私もサポートがんばるよ💪
龍野光太朗くん(佐賀工業)2015、2016年高校日本代表候補。SO/FBでキッカーも。セブンズのTIDスコッドにも度々名前が上がります。
佐賀工業キャプテンであり、オフロードバイク乗りであり、EXILEのバックもつとめたことのあるダンサーでもあり(!!!)、カメラも上手いです。私にとってはいちご師匠でもあり←
卒業後はマツダへ。
古田勇作くん(深谷)私の最愛チーム、深谷高校ラグビー部で京平と同期。越境で深谷に来てくれた世田谷ラグビースクール出身の選手です。中学、高校でセブンズアカデミーメンバー、花園でも活躍したNo.8、FL。帝京ではPRも。
4年時は主務補佐としてチームを支えてきました。
私の深谷高校に対するヘビーな思いを一身に受けとめてくれてありがとう😭✨
卒業後は富士ゼロックスへ。
1/3のインスタSTORYにあげたもの。やっぱり声かけるの無理でした。ほんとにごめん。ありがとう😭
高校ラグビーで出会い、憧れてきた選手ばかりです。
みんなこれからも応援してるね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?