『暑寒を制す』⑥想像してみて下さい。家庭にはどれだけの熱源があって、その熱を制して快適空間にするのに必要なエネルギーはほとんど必要ない、ということを。
つづいて家族5人の自宅です。自宅なら熱源はほぼヒトだけですね。
調理をしていたり入浴していたりすればその熱が加わりますが、エアコンの適ではないでしょう。
基本的に家庭での熱源は水回りに集中します。キッチンや風呂場、ですね。一般家庭での照明器具からの発熱は計算要素に入らないぐらい小規模なものだと考えられます。
人間5人の発する熱だけで室内がいられなくなるほどアツくなりますか?
5人分の熱量なんて普通のルームエアコンで十分冷やせると想像できますよね。
風呂上がりの火照った体でもエアコンの前に立てば、たちまち体は冷やされることは誰でも体験しているので、家庭内の熱源など対したことがないことは容易にイメージできるでしょう。
でも酷暑日はかなりキツいんです。ルームエアコンの性能評価も室内の熱源と建物が鉄筋か木造かぐらいしか考慮していませんが、室内の熱源だけならルームエアコン十分能力を発揮するはずなんです。ちゃんと設計されているんです。でもそうならない。なぜでしょう?
やはり外部からの影響を受けているとしか考えられないのです。
夏は室内でも壁に触れると熱を感じますが、犯人はその熱でしょうか。それとも窓から射し入る直射日光のせいでしょうか。
窓からの直射日光は間接的に関与していますが、もっと大きな要因があります。
木造住宅なら断熱材が入っているので外気熱は遮断できそうなものですが、そうはならないのです。
いろいろ調べたり実験したりして得たこたえは、室内温度に影響を与える最大の要因は、室外からの熱、「外来熱」とよんでいますが、この外来熱が大きな影響を及ぼすということでした。
外来熱とは、その名の通り外から来る熱、です。そのまんまですね。
でもここでまた不思議が芽生えます。
真夏にエアコンを止めて外出すると、室内はものすごく暑くなりますよね。たとえば外気温が40℃でも室内は40℃以上になっていることもよくあります。
これは、どうしてでしょう??
状況的には箱を密閉して高温下に放置している状態です。この状態だと外気温より室内温度が高くなる逆転現象が起きることがよくあります。それはなぜなんでしょう?
原因のひとつには、建物が熱を溜め込む性質にあるといえますが、それがすべてではありません。大きな要因ではありますが。もっと根本的な課題があったのです。
次回は外来熱を中心に熱の正体に迫っていきたいと思います。