「脚本解釈から演技までの過程を実際の作品を使って学ぼう」マガジンについて

 すごく良い演技は認知されやすい時と認知されにくい時とあると思います。そして私の感覚では認知されにくい場合の方が多いのではないかと。
 
 まず、認知されやすい時。主要な登場人物で、かつ、普通程度の演出力でよい演技をしたとき。これはだいたいの人が「お」と思います。
 ただ、それでさえ。実は多くの人は深い所で自分が何を感じているか知らずに過ごしているように。例えば、主演以外の目立たない容姿の役者が主演を持ち上げるいい演技をしている時、脚本や演出の効果で「主演」がうまかった、とその評価を持っていかれる事もあると思います。
 また、単純に劇中に「リアリティ」をもたらす事に完全に徹している時、自然すぎて見過ごされる事もあります。

「そんな節穴じゃないわよ、いい演技くらい、わかるわよ、感動してんだから」と思うかもしれません。そうです、以前に他の記事でも話ましたが、演技の評価は老若男女誰でもできます。単純に、意識にのぼっていないだけで。「え? じゃあ、素人のあんたが言葉にできる事ってなによ」ですよね。

 こんな記事を書いていこうと思った理由はいくつかあります。

 一つ、若い役者さん達があまり「いい演技」の話をしない。役者を目指しているのに、他の役者の何がいいのか、具体的な理由を探求しようと思ってない、ように感じる。どこがどううまいか感じていなければ、人のいい演技を見ても何のインプットになってないわけです。

 もう一つ、基本、私は「一般人」て俄然私より賢いなー、という気持ちで一杯の人間です。たまに難しい本が急にベストセラーになってたりするのが好きです。みんな賢いな、尊敬する。夏目漱石の作品が日本の文学史上に圧倒的に輝いているのも「民意」のセンス抜群だなー、恰好いいなあ、と思ったりします。
 しかし、演技についてだけは、ネットや雑誌の多くの意見、感想に、あらあら、あら? という想いで一杯になります。今日(2020/5/29)、改めて、ためしにちょっと検索してみました「うまい演技」と。ランキングとかあるんですね。おお、その順番の意味の無さよ。確かに実力がある人達もバラバラと混ざってはいますが。皆が皆のアンケートをとってないだけでしょうが、にしても偏っている。「演技力ランキング」というタイトルを付けるには、まあ、フェアじゃないなあ、と感じます。

 映像なんだんだから、限度はあれど、見た目が好きな人がよく見えるに決まっている。愛嬌や所作や声がいいと有利に決まっている。「演技力」ではなく「魅力的役者ランキング」「人気役者ランキング」ならいいのになあ。まあ、そのタイトルならあんまり興味わかない人が多そうです。

 演技の評価って普通は難しいです。それでもドラマを作る実力のある人達は、世間評と関係なく良い役者をきちんと見ていますから、意外と地味でも良い役者がちゃんと売れて行くなあ、という感じもあります。(そうでない人の方が多いですが)プロの人達と世間の大きな声が大幅にズレている分野、と感じます。そういうランキングやなんかをこれから役者を目指す人が真面目に受け止めていたら、嫌だなあ、と思う訳です。

 「そんな上から目線いらないわよ、ただの、あんたの好き嫌いでしょ」という人もいるでしょうが、ええ、それその通り、の部分もあります。だけどそれだけじゃないから書こうと思います。

 もちろん、役者の魅力は様々な角度から見る事ができますし、実際にばりばり必要な側面ですからそれを否定するつもりはまっったくありません。容姿(私の完全に個人の感想ですが、正面から見てキレイな役者さんより、地味で横顔がキレイな役者さんの方が売れてる、気がします。正面から見てキレイすぎると役の幅を狭めますが、横から見て美しい人達はちょっとした「発見感」もあり、どんな役も発注されやすいのかしらん、と)やら。「発声」「セクシーさ」「所作」「かわいらしさ」やら。

 さあ、ここで。脚本を(今は趣味で)書く私としては、生理的好き嫌いと別に、明らかな「演技力」の判断基準があります。

 それは多くの「研究の浅い」役者は、ここはこう表現しちゃうよね、というところを、こうやるのか! とやってくれている事です。表現を「こする」事が最悪だと考えているのは私の価値観です。(おもな主張は『君に俳優を志すのをやめさせたい』を読んでやってください)だからこのマガジンの中でも、多くの役者はこう表現しちゃうだろう所、を指摘する事が出来ます。それでも「肌が合わねえ!」の場合は残念ながら役に立てないのですが。

段取りはこうです。

 状況と脚本の確認、ありがちな、やってしまがちな演技を創作、それよく見るわ!となったところでその解釈と作り方を想像。そして実際のすばらしい演技を確認。その解釈と作り方を想像。

 なんてわかりやすいんんでしょう、と自分では思ってます。

 他の記事でも書きましたが役者さんの名前で検索した人に申し訳ないので、基本は日本人以外で、メジャーすぎない所でやっていきたいと思います。すぐに再生しながら確認できる、という意味で「ネットフリックス」から引用していきます。狭めちゃって申し訳ないですが、実際のドラマを見なくても半分くらいの情報は得られるように心がけて行きたいと思います。

  いつ、初めの記事が書けるかわかりませんが「ドクターマーティン」を見て、よい演技を探してみてください。

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