見出し画像

「えっ?!」 その2

「えっ?!」 その2

「加藤さん、そのまましばらくお待ちください」とアナウンス。
 
「お待たせいたしました。」という声とともにドアが開く。
防護服に身を包んだ看護師二名がストレッチャ―を押して入ってくる。
「はい、加藤さん、この上に横になってください」
「俺は、そんなに重病なのか?・・・」
 
かなりの違和感を感じるが、ここは言われるままにするしかない。
ガラガラと院内を移動し、途中エレベーターにも乗る。
「6階です」エレベーターの声。
特A、特Bと書かれた部屋を通過したところで部屋に入る。特Cということだろう。
「はい、加藤さん、着替えていただきますね」と防護服A。
実に手際よく着替えさせられる。
「じゃ、横になってください」と防護服B。
横になると、
「何か用事があるときは、そこのボタンを押してくださいね」
慌ただしく防護服が退出していく。
 
「なんだかなぁ・・・
考えても仕方ない。少し眠くなったな・・・」
加藤、すぐに眠りにおちる。
 
「う、うー・・・
な、なんか息苦しい・・・」目が覚める。
大きく呼吸をしてみる。
「な、なんだぁ・・・?」
いつもの7割程度しか呼吸できない。
「変だぞ・・・看護師を呼ぼう」
ボタンを押す。
「はい、加藤さんどうされました?」
「こ、呼吸がし辛いんですけど・・・」
「わ、分かりました!」

ものの数分でノックの音、と同時にドアが開く。
ガラガラと重そうな機械が運びこまれる。
ガチャガチャと枕もとで接続する音、プラスティックのマスクのようなものを装着される。
少し呼吸が楽になる。
「ふー、そんなにひどいのか俺・・・」
 
「先生、進行がかなり速いですね」
「うーむ、すぐに〇〇を点滴するように」
「はい!」
点滴が始まると急激に眠気が襲ってくる。
 
「また眠るのか俺は・・・
まぁ、呼吸が楽だからいいか・・・
ま、まさか死ぬなんてことはないだろうな・・・」
 
遠のいていく意識の中で・・・
 
「君は、付ききりで心拍、血圧・・・・を見ててくれ・・・」
といった会話がとぎれとぎれで聞こえてきた・・・
深い眠りに落ちていく・・・
というより無限の闇の中を転落していく感じが・・・するのであった。
 
つづく
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?