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【「正しく恐れる」ために~情報入手の要点】シリーズ/リスクコミュニケーションを学ぶ②

(1)はじめに

今回は、「シリーズ/リスクコミュニケーションを学ぶ」の第2回目です。

リスクコミュニケーションの専門家、放送大学の奈良由美子さんの動画をもとに、新型コロナウイルスのような新しいリスクに対して「正しく恐れる」にはどうすればよいか、を考えてみました。

(2)リスク評価の問題点

地震、原子力発電所の事故や放射能汚染、食品添加物やBSEなどの食の問題、そして今回の新型コロナウイルスといったリスクに対して、人々は様々な反応を示します。

新型コロナウイルスを例にとってみれば、「新型コロナウイルスはただの風邪」と主張する、古い政党から国民を守る党の立花孝志党首や、またコロナに感染するのが怖くて、一日中、家に引きこもってしまう人など、両極端の反応については、問題です。

立花氏のように、コロナを軽視して緊急事態宣言が発出されても、不急不要であるにもかかわらず積極的に遠方に移動すると、自身が感染したり、人からヒトから感染させられたりするリスクが高まり、場合によってはクラスターを引き起こします。

逆に引きこもりが続くと、特に高齢者などは筋力の低下を起こして転倒や怪我につながります。

ほかにも、コロナ鬱(うつ)と呼ばれる精神疾患の原因ともなります。

コロナウイルスというリスクを回避するあまり、別のリスクを呼び起こすことにもつながるのです。

このような、リスクに対する過剰な恐れや、過小評価は社会に混乱を招き、人の健康を損なうなど様々な面で悪影響を及ぼすことになる、ということを忘れてはなりません。

これらの課題への対処法は、「正しいリスク評価をする」ということ、言い換えれば「正しく恐れる」ことの一言に尽きます。

リスク評価については、定性評価だけでなく、定量評価をすることが重要なポイントとなりますが、今回はこの問題については触れません。

(3)「正しく恐れる」には、情報の入手がカギ

地震や今回の感染症拡大などの非常事態には、デマや間違った情報が特にネット上で見られることが多くあります。

たとえば、昨年(2020年)新型コロナウイルスがWHOによってパンデミックと認定された、国内でも患者が急増した際、マスクが品切れとなり、入手が困難となりました。このとき、「トイレットペーパーもなくなる」という誤った情報がネットで拡散し、買い占める人が続出して、本当に店頭から商品が消えたことがあります。

また、2016年4月の熊本地震のあと、「動物園からライオンが逃げた」という情報をTwitterに写真付きで投稿し、動物園の業務を妨害したとして、神奈川県に住む20歳の会社員の男が逮捕された事件を思い出します。

これは非常時に限ることではありまぜんが、特に人の健康や安全に関係する問題については、科学的な根拠に裏付けられた確かな情報を入手する必要があります。

情報源(ソース)としては、公的機関、専門機関が公式ホームページで発表した情報が確なものとなります。

新聞社などのマスメディアの情報についても間違いはあります。

複数の情報源にあたって比較してみることが大切でしょう。

(4) 適量な情報を得る

 情報が多すぎると、何が正しい情報かがわからなくなって、かえって混乱します。

 自分の興味や関心に応じて、テーマを絞ることも時には必要です。

 また、情報源によっては、一次情報の解釈や加工によって情報の内容が異なる場合があります。

 適切な情報源を絞り、継続して情報を入手することで、ある事象に対して、ブレのない一貫した定点観測ができるというものです。

(5)新しい情報を得る

 新型コロナウイルスについては、感染者の数、死者数、政府の感染対策(法律)、医療機関の状況、ワクチンの情報など最新の情報を集めることが求められます。

 WHOや新聞社などの報道機関、内閣府や厚生労働省、国立感染症研究所のホームページ、各自治体の新型コロナウイルス特設ページなどで最新の情報をチェックすることで、「いま、日本で、世界で起こっていること」を確認することができます。

 特に新型コロナウイルスは、イギリス型南アフリカ型、インド型など変異株が次々と現れました。ウイルスのタイプによって感染力や毒性(重症化率や死亡率)が異なります。したがって、その対策や心構えも若干違ってくる場合も生じてくることが予想されます。

 ワクチンについては、アレルギーなどの副反応情報も最新のものをチェックしておくほうが安心でしょう。

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(6)まとめ

①「正しく恐れる」ことの重要性

・新型コロナウイルス感染拡大のような未知のリスクに対して、過剰に恐れたり、逆に過小評価をして、楽観的になりすぎたりすることが問題である。

・未知のリスクに対して、「正しく恐れる」ことが重要。

②情報を集めるときのポイント

・「正しく恐れる」ためにどうすればよいかというと、情報を集めることに尽きる。

・情報の集めるときのポイントは3点。

 1)適切で 2)適量で 3)新しい 情報を得る。

③適切な情報

④適量な情報

⑤新しい情報

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