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「桜」日本大学芸術学部放送学科小論文2020年

(1)問題


桜(600字以内)

(2)考え方


普通に「桜」からワードを連想する。

「卒業式」「入学式」「別れ」「出会い」「花見」「はかない命」等など。

ここを入口として、何かワードをひとつに絞って考察を深める。

題材は身近なものでよい。

今回の解答例は、高校の古文で習った 『宇治拾遺物語』の「田舎の児、桜の散るを見て泣くこと」から着想を得て書いた。

書くときには独自の考察を必ず加えること。


(3)解答例


 現代人は桜を見て卒業式、入学式を思い浮かべ、学生時代の思い出とともに「別れ」や「出会い」を想起するかもしれない。3月下旬から4月上旬にかけて人々は花見に興じる。公園等にシートを広げ、学校や職場の仲間で新入生や新入社員等と酒食を共にして、静かにあるいはにぎやかに春のひとときを楽しむ。

 『宇治拾遺物語』にはこんな話がある。田舎の児が比叡山延暦寺に修行に出された。春先に見事に桜が咲いていたとき、風が激しく吹いていたのを見て、この稚児がしくしくと泣きだした。一人の僧が子どもに近寄ってわけを訊ねると、「桜が散ることはつらくありません。私の父が作った麦の花が散って、実が入らないのではないかと思うのがつらいのです。」と答えた。この話は、桜を見て和歌を詠む都人の心性とは別のものを物語っている。

 普通私たちは、桜を美しいものとして考える。鑑賞の対象、酒食の添え物として扱う。平安貴族の桜に対する美意識も現代人とはさほど変わりない。しかし、『宇治拾遺物語』の田舎人は、満開の桜を豊作の予兆と捉える。おそらく本来の花見はその年の豊作を祈願する予祝儀礼として行われたものだろう。その名残がこの説話からうかがえる。

 稲作文化で培われた日本人の精神は既に平安貴族には忘れられ現代人では跡形もなく消え失せた。食料自給率が40%を割り込み農業が衰退した現代、この稚児の精神をもう一度見直す時期に来ているのではないだろうか。(600字)
 
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