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【誰もが悩む】小論文は何から書き出せばいいのか

(1)小論文では第一段落が大事


 小論文は「起承転結」の4段落構成で書きなさい。

 そして、結論が大事だと。

 学校や塾・予備校では必ずそう指導されます。

 このことは決して間違いではありません。

 しかし、見方を変えましょう。

 その結論が出ないから、受験生は悩むのです。

 まず初めに、どういうふうに書きだせばよいのかわからない。それで、小論文がなかなか書けない。

 このような受験生は多いのではないでしょうか?

 実は小論文では、「起承転結」の「起」が大切です。

 「起」、つまり問題提起、小論文を書くことになった最初の疑問・問いがが何より重要なのです。

 正しい問いからしか、正しい結論は出ません。

 それでは例を挙げましょう。

 【問1】人間はなぜ空を飛べないのか?

 この問いは正しい問題提起とは言えません。せいぜい、「神が人間が空を飛べないように設計したのだ」という神学的な(わけのわからない)結論になるのがオチです。

 「人間はなぜ空を飛べないのか?」と問い続けても、一生、空を飛べるようにはならないでしょう。

 正しい問は以下のようになります。

 【問2】鳥はなぜ空を飛べるのか?

 この問題提起から、次に「鳥の体には、空を飛べる秘密がある隠されているに違いない。」という話題が続き、「鳥の羽や全身の構造とこれを動かす筋肉や鳥の動きにその秘密を解く手がかりがある。」というように、考えを発展させることができるのです。

 そして、鳥の羽や全身の構造を分析・研究した結果、翼を持つ飛行機を開発し、飛行機や鳥が空を飛ぶために必要な揚力が発生する仕組みを解明する航空力学が生まれた結果、人間は空を飛べるようになるのです。

 それでは、応用問題です。

 「戦争をなくすことができるか」というテーマで出題された場合、第一段落でどのような問題提起をすればよいのでしょうか?

  「起承転結の」4段落構成で考えて、できれば、第2~第4段落の内容もメモ書きしてみてください。

(2)解答例

設問:戦争をなくすことができるか

【悪い解答例】

「戦争はなぜなくならないのか。」

 この問題提起では、導かれる結論は「人間は愚かだから」「人間は暴力が好きだから」というような、人間性に起因するものか「戦争は人口抑制などの効果を生み、人類にとって必要だから」という戦争肯定論につながってしまいます。この戦争肯定論は論理的には正しいかもしれませんが、倫理的には問題があります。倫理のうえで、「戦争をしてはならない」という前提でこの問題を考えなければ、高い評価を与えられることはできません。

【善い解答例】

「戦争はなぜ起こるのか」

 つまり、歴史上の戦争が起こった原因を考えることで、これからの戦争抑止につなげるという発想です。

 以下、起承転結の第1~第4段落の内容構成を簡単にメモ書きで紹介します。

第1段落:「戦争はなぜ起こるのか」

第2段落:「戦争は領土問題が原因となっている」

第3段落:「日本は中国との間で尖閣諸島をめぐる領土問題が発生していて、最悪の場合、戦争に発展する危機がある」

第4段落:「領土問題は、国際連合やアセアン地域フォーラムなどの場を用いて、国際間の連携の下で国際法の基づいて解決を図り、戦争を抑止するよう努力することが求められる」

簡単には答えることができない、難しい問題が出題された場合の裏技として、問題設定をし直すという方法があります。

今回の「戦争をなくすことができるか」の設問はまさにその好例です。

この問いを「戦争はなぜ起こるのか」というように、自分なりに捉え直して、問題提起をするのです。

そして、第2段落で「戦争は領土問題が原因となっている」といlったん答えを出して、第3段落で例を出します。尖閣諸島の問題はまだ戦争に発展していないので、例として適当でない、書きづらいと判断するなら、日露戦争の原因となった日本とロシアの満州における領土問題について取り上げてもいいでしょう。この場合は、伊藤博文などが主張した日露協商論を持ち出して、日本とロシアの戦争回避の道を模索する考え方もあります。

第4段落では、「戦争をなくすことができるか」という設問に戻って、戦争をなくす=抑止する具体的に提言をして結論とするのです。

この書き方では、日本史や政治経済の知識が必要になります。難関校の入試では社会科の学習が小論文に役に立ちます。

今日は初回ですので、この課題は第1段落だけ書ければよし、とします。

OK小論文・YouTube動画をUPしました。




小論文入門 §1基礎編‐Pre:序章「【誰もが悩む】小論文は何から書き出せばいいのか」終わり

小論文入門 §1基礎編‐Part1①「 大学では小論文入試をなぜ出題するのか (小論文ではどこが評価されるのか)」に続く

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