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【志望理由書】学校で教える志望理由書の書き方は間違っている

(1)学校で教える志望理由書の書き方は間違っている

過激なタイトルをつけたが、今まで多くの受験生の志望理由書を見てきたなかで偽らざる感想を書くと、このような刺激的な、挑発ともいえるものになる。

学校(これは塾や予備校で教えるものも含まれる)の教師が教える指導は以下のようなものだ。

①説明を過不足なくきちんとする。

②自己PRをする。

③正直にありのままの自分を書く。

学校で教わったことを鵜呑みにして、この通り書いて出すと、推薦入試・AO入試は落とされる。

どういうことか。

それをこれからゆっくり解説してゆくことにする。

(2)志望理由書は駆け引きの道具

小論文では、読者にわかるように、過不足なく丁寧に説明して書く、というのは鉄則になる。

しかし、志望理由と小論文は違う。

大きな違いは、志望理由書は面接とセットになっているところにある。

志望理由書は面接の資料として使われる。

だから、説明していない部分、説明できない箇所は面接のときに詳しく話すというスタンスでよい。

むしろ、大事なところは志望理由書で全部吐き出さないで、あえて抑えて書くという方法がある。

全部書くと、ほかの部分とのバランスが悪くなり、ほかに書くべきことが書けなくなる。

しかし、本当の理由はもうひとつある。

それは、面接でアピールするために、本題は面接に半分取って置くためだ。

志望理由書で一番大切なところは、スペースを多くとって書くのはもちろんだが、あくまでもコンパクトにまとめて書く。

そして、ここが極めて重要な点だが、

志望理由書の一部をあえて臭わすように、ぼかして書く。

大学の担当者は志望理由書を読んでいて、ひっかかり、面接で突っ込んで聞いてみたいと思わせるような仕掛けをつくる。

こちらの思惑通り面接で相手が質問してくれれば、しめたものだ。

あらかじめ用意してきた「イチ押しネタ」をそこで披露する。

つまり、面接でこちらのペースに面接官を引き込むための釣り餌をつける。

これが上級者の志望理由書の書き方になる。

面接での「駆け引き」を意識して書く、というのがコツだ。

志望理由書を書くときから駆け引きは始まっている。

学校(塾・予備校)の教師はここがわかっていない。

(3)志望理由書は未来の自分をつくる作業

志望理由書で自己PRをする、というのは間違いではない。

高校時代に他の受験生を引き離すような圧倒的な成果を挙げていればいい。

インターハイ出場、高校総体で優勝、日本記録更新、数学オリンピック入賞、スピーチコンテスト優勝など、自慢できる成果や成績、表彰・褒賞があればスペースを割いてどんどん書けばいい。

だが、大半の受験生は平凡な高校時代を送っていて、見るべき成果や成績が少なく、書くことがなくて難しい。

それなのに、表現を工夫したり、性格や特技をことさら強調したりしたところで、あまりアピール材料にはならない。

このような理由で、(さしたる成果・成績のない受験生が)過去の自己PRを志望理由書の中心に据える作戦はとらないほうがよい。

高校の先生が生徒に自信を持たせるために「お前にはこんな長所(いいところ)があるじゃないか。これをたくさん書け」と指導を受けても、あまり真に受けないほうがいい。

そんなのは、その教師と生徒の間の気休めの話であって、第三者の大学側からは厳しく査定される。

書くべきなのは、過去の自分のPRでなく、未来の自分を見てほしいという、

未来の自分のPR、大学卒業後の展望になる。

受験生の未来に投資するというのが大学の使命になる。

したがって、志望理由書の書き方としては、「問題解決型」の内容になる。

自分が志望する学部学科の分野について、現代社会が抱える問題のなかで、どのような位置づけになるのか。

課題解決に向けて、卒業後の自分に何ができるのかを具体的にイメージして考えて書く。

そして、その活動のためには大学での学びはどのようなものになり、何をすべきかを考えて明確に書く。

「将来何をやりたいかは、大学に入ってからゆっくり考えます」

このような答えでは、推薦入試・AO入試は確実に落とされる。

今現在何をやりたいかわからない受験生でも、志望理由書でははっきりと書くように。

これは、嘘を書いてもよい、作って書いてもよい、ということを言いたいのではない。

志望理由書を書く段階で、現在の世界のこと、日本で何が起こっているかを調べる過程で、自分の将来が少しづつ見えてくる。

そのビジョンを明確にする作業が、志望理由書を書く、という行為になる。

誤解を恐れずに言えば、自分が書く未来はいまの本心・本音でなくてもよい。

大学に合格して入学してからの学びを通して、真実に転化させればよい。

志望理由書は未来の自分をつくる作業である。

(4)多少の誇張や脚色はOK

初心者に多いのが、いまの自分をありのままに馬鹿正直に書く生徒だ。

基本的には、志望理由書に虚偽を書いてはいけないが、あまりにも正直に書いても書くネタが平凡でつまらなくなることが多い。

大学にアピールするためには、多少誇張して書いてもよい。

たとえば、勉強やスポーツの成績(順位や偏差値など)を故意に事実を捻じ曲げて書くということではない。

表現をオーバーに書く、という意味においての誇張になる。

ただ「感動した」と書くだけでなく、どのように感動したのかを具体的に書く。

エピソードを交えて、読み手に情景が伝わるように書くこと。

友人や教師、家族などの印象的な言葉を添えるのもいいだろう。

その言葉の内容をドラマ仕立てに、多少、脚色して書く、というのは文章テクニックのうちに含まれる。

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(5)高校教師の言いなりになってはいけない

これから志望理由書を書く受験生が大いに違いない。

学校の教師は、教科書や勉強のプロではあっても、文章のプロではない。

また、高校入試で受験生の面接を担当することはあっても、やはり大学入試とは違う。

大学教育は「社会人の養成」を念頭において為される。

したがって、推薦・AO入試では大きな社会的文脈で受験生の資質やひととなりを判定する。

あなたがこれからしなければならないのは、あなたの専門とする学部や学科の分野の現在の社会における意義や位置づけを調べて考えることにある。

そして、

課題解決のために自分には何ができるのか、何をすべきなのか、何をやりたいのか。

それを書く。

高校教師は忙しく、そこまで面倒見てはくれない。

志望理由書を書くときには、高校の教師の言いなりになってはいけない。

OK小論文では、自分が将来やろうとしていることを大きな社会的文脈のなかで書かせる。

こうした志望理由書の書き方を指導をしている。

現在、自然科学系の学部を受験する生徒の指導をしているが、『林業白書』を読み込んでいる。

気候変動が深刻な問題となるなか、いま林業にスポットライトが当てられている。

生徒との対話を通じて、仕上げていく予定であるが、面白い志望理由書が書けそうな予感がする。

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