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「オリンピックの商業化の功罪」日本体育大学スポーツマネジメント学部スポーツマネジメント学科H31年度AO入試

(1)問題

1984 年のロサンゼルスオリンピック競技大会は、それまでのオリンピック競技大会(以下、「オリン ピック」という。)とは違い民営化された大会であり、ここからオリンピックの商業化が進展したとい われています。このことを踏まえて、以下の問に答えなさい。

問1.資料 1 を参考にして、モントリオールオリンピック競技大会及びロサンゼルスオリンピック競技大 会の各々の大会開催の特徴を説明しなさい。

問2.資料 2 及び資料 3 にみられるように、これまでオリンピックの商業化が進展してきました。オリン ピックの商業化の功罪(よい点、悪い点)とはどのようなものかを示したうえで、今後のオリン ピックの商業化について、あなたの考えを述べなさい。




(2)解答例


問1

省略

問2

 1984年のロサンゼルス大会での放送権料はその3倍以上に跳ね上がり、さらに2016年のリオデジャネイロ大会では、ロサンゼルス大会の約10倍となった。1964年の東京大会で初のテレビの衛星中継が行われて以降、テレビの普及や衛星中継網の拡張という背景により、オリンピックは世界中の人から注目を集めるようになった。これに伴ってオリンピックの広告収入も莫大になり、結果、放送権料がうなぎのぼりとなった。

 これに比例して、オリンピックの収入も増加の一途をたどり、オリンピック商業主義が批判される事態に立ち至った。その功罪の功の部分、すなわちよい点を考えてみたい。第一に、国民生活や経済に与える影響である。スタジアムなどのインフラの整備に巨額の資金を投入する財政政策は国内経済の需要を喚起し雇用の面でも大きな経済的な効果を生む。第二に選手の十全な環境確保と結果としてのメダル獲得機会の上昇である。

 一方、オリンピックの商業化の「罪」の側面、つまり悪い点を指摘する。第一に関係者の汚職や政治家と企業の癒着を生み、不正な資金の授受が行われる。オリンピックの招致活動やオリンピック関連の公共事業の工事を巡る事件が発生している。第三に国民の税金の無駄遣いという批判が挙げられる。新東京国立競技場の建設プランが一度白紙になったのも

 建設費が高騰しため世論の批判を浴びたことによる。第四に、商業化はスポーツの価値を毀損する。巨額の報奨金はスポーツを「普遍的で根本的な倫理規範の尊重」の基盤であるとするオリンピック憲章に反する

 私は商業化そのものを否定するものではない。汚職や癒着を無くすには、資金の流れを透明化し、不正を防止するシステムや手続きを構築することが先決である。選手やスポーツを応援するファンにとって真に必要な費用を惜しむべきではない。昨今の新型コロナウイルスなどの感染症予防のための資金は必要であるし、これは国民の税金ではなくスポンサーを募って民間から集めた方がよい。要は、どこに資金をかけ、どこからどのように集めるかという基準を明確にし、ルールを整備したうえで厳正に適用するという、法の支配を徹底することが最優先課題であると考える。

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