バスケの魅力を余すことなく描かれた 『THE FIRST SLAM DUNK』【映画レビュー】
★★★★★
原作・脚本・監督:井上雄彦
声優:仲村宗悟 笠間淳 神尾晋一郎 木村昴 三宅健太
結論から言おう…
『井上先生は裏切らなかった!』
モーションキャプチャーを駆使して役者の動きや表情を3DCGに落とし込むことで試合中のキャラクターの動きがスムーズになり
よりリアルに描かれた 『劇場版 THE FIRST SLAM DUNK』
監督を原作者の井上雄彦氏本人が務めることで
監督本人の頭の中のイメージがより忠実に再現されている本作。
試合中の様々な視点から見た描写が
バスケ経験者の遠い過去の記憶が身体の奥底から蘇る。
SLAM DUNK の世界観を楽しむ以上にバスケを楽しめる。
原作では描かれなかった選手たちの回想シーンや
試合中にプレイを惑わす葛藤や微妙な心境の変化
試合中の選手の動き、連携、ボールの流れも臨場感があり
実際の試合を観ているかのようで、より一層スクリーンに…
否、試合会場に引き込まれてしまう、そんな錯覚に陥る。
井上先生の描く様々なシーンは躍動感が半端ない。
動画じゃないのに、画が動いて見えるような錯覚が起こるし
自分の頭の中で変換して繋げていた1コマ1コマが
実際の動画で鮮明に表現されていることに満足度も高い。
選手のコート内の視線、選手同士のボディーコンタクト
細かい足の運び方、ポジション取り、選手の威圧感等
バスケ経験者が体験した感覚がリアルに描かれているし
すべてにおいて違和感がない。
個人的に印象に残ったのが
激しい動きが多い試合中の選手たちの息遣い。
声優陣の技術も堪らない!
呼吸するのも忘れてしまうし
固唾を飲んで力が入る。 (マジでヤバい)
更にバスケは 『流れ』 のスポーツ。
試合が進むにつれて揺れ動く心境の変化
マークマンとの駆け引き、実力者の威圧感と対峙する恐怖感
両軍のベンチの動き、指導者の思惑、仲間の信頼感
目まぐるしく変わる試合展開、会場に漂う諦めムード…
残り時間は? 点差は?
あと少しのところで突き放されてしまうジレンマ… (あ~ もう~)
緊迫する試合に引き摺り込まれ一喜一憂してしまう。
ストーリー展開は知っているはずなのに…
はずなのに…
はずだのに~!
圧巻だったのがクライマックスシーン。
最高のシチュエーションで最大の見せ場…
観る人すべてがこの描写に注目し、このワンプレイに吸い込まれ
呼吸も忘れて心拍数すら邪魔になる。
まさに… 雑・音・厳・禁 ! (心臓を止めろ!)
映画館という非日常空間だからこそ生み出せて、より際立たせられる。
その芸術空間を遺憾なく発揮した 『THE FIRST SLAM DUNK』
何度観ても興奮と感動が共鳴する作品
間違いなく最高傑作!!
もう一度言おう!
井上先生は裏切らなかった!!
上映後に思ったこと…
早く次の試合が観たい。
安西先生…
バスケがしたいです…
(text by 書き人知らず)
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