音楽室から聞こえる音②

ようやく4年生になり、クラブ活動は器楽クラブに迷わず入りました。3歳の時から決めて、待ちに待った鼓笛隊へさらに近づきました。

さて、何の楽器をやりましょうか?3歳の頃からまずグロッケン、別名ベルリラがやりたかったんですね↓。

音色と見た目。両わきのタッセルが揺れるのが子供心に魅力だったんです。それか、小太鼓かアコーディオン。管楽器はまるで考えてなかった。管楽器は難しそうだし、自前になるし、どうせ買ってもらえないと思っていました。

で、父にそう話したらムス〜っとした表情で「グロッケン〜?ンなもんやるな。つまらん。アコーディオンは親父(私の祖父)が若い頃タンゴに夢中の時にやってたし、太鼓はお前はリズム感がないからダメ。どうせやるなら俺も親父もやらなかった楽器をやれ」

ちなみに父はジャズドラマーでしたから、たぶん私に教えると、たかが鼓笛隊の小太鼓でも本気になって熱血指導になると思ったから、単にめんどくさかったんだと思います。小さい頃から、日常的にリズム感を試される場面があり、ご期待に添えられなかったので、私も辞めといて良かったなーと思っています。でも今はちょっとドラムが叩けたらいいなーと思うことがある。

「おまえは、クラ(リネット)をやれ。ベニー・グッドマン好きだろ?アーティ・ショウ好きだろ?ならやれー」

「いやー、でも好きとやるのとは別…」

「いいからやれーー。これは命令だ。楽器は買ってやるから、次に必ずクラのカタログをもらってこいよ」とゴリ押しされてしまいました。

うー、好きだけど〜、ベニー・グッドマン。でも、クラリネットにはさほど思い入れもないし、すぐに吹けるのかなぁ?と困ってしまいました。 

クラブの初顔合わせの日に、新入生はやりたい楽器を先生に告げ、打楽器とアコーディオン希望の子は音楽室で専用の楽器を手にして、管楽器希望の子は先生から楽器のカタログをもらうことになっていました。

私を含めた新入生がどんどん希望の楽器を決めて行きます。管楽器はトランペットとフルート、クラリネットのいずれか。男子はほぼトランペットか打楽器、女子はほぼフルートかアコーディオンで、クラリネットをやりたい人が誰もいません。クラリネットのパートの上級生たちは新入生の楽器が決まるたびに落胆の声をあげていました。

ええー?私しかいないの?迷う〜。

オドオドしてるうちにいざ自分の番になったら、血迷ってフルートって言ってしまいました。心が弱〜い。「えー!今年はクラリネット志望ゼロ〜?」って上級生たちがさらに落胆しているのが申し訳なかったのですが、その場の雰囲気に巻かれてしまい、心にもないフルートのカタログをもらってきてしまいました。学校から帰ってから父になんて説明しようかと、仕事から帰って来る父をビクビクしながら待っていました。

案の定カミナリを落とされてしまい、「あ?なんでフルートのカタログなんかもらってきたんだ?クラのカタログもらってこいって言ったよな?誰もやる人がいないからだー?誰もやらないからやるんだろーが!オレはそーゆー考えがでェーっ嫌いだ!自分のやりたいことが貫けないなら、クラブ活動なんか辞めてしまえ!明日、先生にわけを話してカタログもらい直してこい!もし、もらってこなかったら、家に入れねーぞ!!」

あの〜、自分で決めたわけじゃないんですけど〜、とは口がさけても言える雰囲気ではなかったですが、確かにあの場の雰囲気にのまれて、やりたいことが貫けなかった自分が嫌だったのは確かです。次の日、顧問の先生に正直に家で父に怒られたことも話してお詫びをしたら、先生はケラケラ笑ってクラリネットのカタログを改めていただくことができました。

その年たったひとりのクラリネット志望を上級生たちはうれし〜!と温かく迎えてくれました。全然上手くならなかったけど、3歳から憧れたことができた3年間、練習や鼓笛隊や各種音楽コンクールに演奏会、6年生の時には副部長もやらせてもらい、楽しい時間を過ごしました。どーも、この頃からあまり人がやらない楽器を選びがちだったのかな?

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