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翻訳学の修士課程って何を勉強するの?

大学院の中日翻譯課程では何を勉強するのでしょうか?
ざっくりと、ご紹介いたします。

※以下の内容は、2019年~2022年にかけて現地で体験したり、見聞きした話なので、現在の状況とは異なる可能性があります。

1.概要

中日翻譯の必修授業は「翻訳」と「通訳」があります。それ以外に「翻譯理論」、「翻譯研究」、「異文化研究」に関する授業があり、更に選択授業として「國際醫療翻譯」や「財經法律翻譯」といった特別課程があります。

時間割は以下のような感じです。
平日昼は日間部1、2年生の授業、18時以降と週末は夜間部の授業です。

2021年 前期 中日グループ時間割
出典:https://giccs.fju.edu.tw/content.php?key=16E05J3G6Y

日間部の学生は授業に加え「通訳練習」の時間があります。クラスメイトと3、4人で1組になって、1回2時間程度、1週間に2回程度の通訳練習をして、学期末の口頭試験に備えます。練習教材はTEDスピーチや政府の公式発表に関する動画などを使います。この授業は夜間部の学生は履修できないので、通訳のトレーニングをしたい方は日間部に入学する必要があります。

心が挫けそうになる通訳練習を乗り越え、前期の通訳試験に合格できた学生だけが、後期の通訳授業を履修できます。私はこの前期試験に合格できなかったため、後期は言語センターに通って中国語の勉強をしました。

通訳練習と口頭試験については、また別の機会にご紹介します。

2.必修科目と卒業単位

2019年度 必修科目

1年生の翻訳(一般翻譯と翻譯作文の2種類)と通訳の授業は必修です。1年前期の通訳試験に合格できなかった学生は、後期の通訳授業が選択できないため、選択可能な翻訳授業で卒業単位を取得していくことになります。
授業に欠席せず、宿題を提出していれば、おおむね単位が取得できます。

この翻訳の宿題は、可能な限り正確に翻訳する必要があります。理解できない語彙、文法、表現、コロケーションなどをはじめとして、主題の背景、専門用語、歴史や現状など、翻譯経験のない1年生は調べることが無限にあります。

いつまでやっても終わりません。しかし、このトレーニングによって得るものは多く、言葉と真剣に向き合うことのできる貴重な時間です。

机の前に貼られた 終わらない宿題のリスト

3.授業内容

通訳授業では、クラス全体で通訳の練習をします。1年生前期の授業では、30秒~60秒程度の動画が再生され、学生が順番に翻譯していきます。発音、文法、表現方法、コロケーションなどを先生に修正してもらいながら、通訳ノートの取り方などを学びます。
 
翻訳授業では、提出した宿題を元にクラス全体で検討を行います。正しい語彙、用語、文法、時制、表現、各文体、書式のルール、正しい符号の使い方などを学びます。課題の内容は、新聞、説明書、コラム、広告、小説、契約書、ラノベ、漫画、映像字幕など多岐にわたります。

その他の必修科目として、翻譯理論、多文化研究、翻譯研究があります。これらの授業では、英中組や言語学の学生と一緒にディスカッション、課題、発表などを行います。その他の選択授業である国際医療翻譯課程については、また改めてご紹介いたします。

跨文化研究所のある德芳大樓4階

こうした授業が2年生の後期まで続きます。
卒業単位を履修するだけで2年が過ぎ、卒業研究に着手するのは3年目以降…というのが、2019~2021年の状況でしたが、2022年以降はきちんと2年で卒業している学生がいるようです。
 
研究と卒業に関するお話は、また改めて解説いたします。

振り返ってみればこの2年間は、翻訳と真剣に向き合う貴重な時間でした。
輔仁大學跨文化研究所の翻譯學修士課程は、中日通訳と翻訳を仕事にしたいと考えている方にとって、必要なトレーニングができる研究所です。興味のある方は是非、挑戦してみてください。

授業のお話はここまで。ではまた。拜拜。





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