見出し画像

BUNKAI製ポーラス竹炭活用レポ

画像1

放置竹林整備で一番処理に困る「枯竹」。産廃場に持ち込むと高額な処理費がかかりますが、ポーラス竹炭(消し炭)の材料として有効活用ができます。

BUNKAI PROJECTは、水分量の少ない枯竹のみを材料として、無煙炭化器で短時間に800〜900℃の高温で焼き上げることで高品質なポーラス竹炭を作ることができます。野焼きで作るポーラス竹炭と比べて灰が少なく、未炭化のものが少ないのが特徴です。

また、炭を作ることで二酸化炭素を固定できることから、カーボン・ニュートラルの側面からも注目を浴びています!くわしくはこちらの記事をチェック!

画像2

画像3

このBUNKAI特製ポーラス竹炭の地道な広報活動によって、地元大府市で農業資材として採用してくださる農家さんが現れました!
自然栽培農家のつむぎて農園さんです。

大府の自然栽培農家つむぎて農園さんでの活用

つむぎて農園さんは無農薬・無肥料の自然栽培を愛知県大府市で10年以上続けられており、また農家と消費者の垣根をなくし両者をつなげる架け橋として、農家カフェ「はたけぞく」を営んでおられます。

自然栽培は日本においてとてもめずらしい栽培法で、日本の耕作面積のおよそ0.5%の有機栽培のうち、さらにその0.1%ほどでしか実施されていないとも言われています。

農薬を使わないうえに、肥料も使わないなんてどういうこと?

めずらしい栽培法なのでさまざまな条件でハードルが高いのはもちろんなのですが、このつむぎて農園さんでの光景を目の当たりにすると、そんな既成概念が崩されてしまいます。

画像4

まず野菜と雑草はあたりまえのように共生しています。雑草が養分を吸ってしまうのでは?と思わず考えてしまいますが、野菜に悪影響を与えないものはそのままでも大丈夫。またこの雑草も野菜を食べる虫を分散させるなどの重要な役割を担っています。

一番驚いたのが「無肥料」についてです。慣行栽培では、土に10の肥料を投入し、野菜が5を吸収して育った場合、また5を追加しないと野菜が育たないという考え方が一般的。野菜を収穫した後には、肥料を与えてあげなければいけません。一方の自然栽培では、太陽・空気・雨・土の構成によって野菜栽培にとって必要なものが満たされていると捉えるので、肥料は必要ないということなんだそう。

人工的なものを加えないで自然のままに育つ野菜は強くたくましく、慣行栽培の野菜と比べて小さく育ったとしても栄養価が高いのだそう。

画像5

©️ つむぎて農園 ( https://www.instagram.com/tsumugite_farm/ )

そんな自然の力を最大限に生かす農家の方でも、頭を悩ますこともあるのが土壌改良の問題。

自然栽培を始める農家さんにとって最適な土地というのは、雑草が生い茂り自然のパワーがたくさんこめられた土地。枯れた雑草たちは土にとって最良の肥料分となります。一方で人手が介入し耕された一見"キレイな"農地は、実は必要な養分などが不足していて自然栽培にとっては不向きなのだそう。土地の価値が180度変わるのが興味深いですよね。

土壌改良剤や肥料を使わず、自然の力だけで野菜を育てる環境に戻すためには、生えてきた雑草を抜いて畑に撒き、また雑草が生えてきたら畑に撒き...これをただひたすらに繰り返すのみ!その期間は10年以上にも及ぶこともあるのだそうです...!

画像6

土壌改良材の王者・ポーラス竹炭

そこで活躍するのがポーラス竹炭です。
竹炭が発揮する土壌改良効果は以下の通りです。

・微生物のすみかとなる
・吸水効果(水捌けをよくする)
・pH調整

ポーラスは「porus」、つまり多孔質であるという意味で、土中に入れることで通気性を保ち、またポーラス竹炭の持つ無数の穴が微生物の住処となり、彼らが土壌改良を促進してくれます。硬質の竹炭とは違い、手で握るとすぐに砕けるほどに柔らかく、土に馴染みやすいのが特徴です。

吸水性能がとくに優れており、作物への給水管理作業を緩和できるとのこと。土釜で焼いた硬質の竹炭や木炭は、水につけると自重の30〜40%まで吸水するのが限度ですが、ポーラス竹炭は100〜120%もの水を吸い上げます。それもそのはず、木炭の表面積は1gでテニスコート1面分といわれますが、竹炭はその10倍もあると言われているのです!

また竹炭はアルカリ性なので、pH調整材としても機能します。日本の土壌は放っておいても酸性に傾くので、アルカリ性を好む野菜を育てる前に土中に漉き込むことが有効です。

今回つむぎて農園さんでは、土壌改良が必要と判断された、水捌けの悪い土地をメインに竹炭を撒いてもらい、その効果を検証していただくことになりました。

ポーラス竹炭の地産地消

そんな高機能な土壌改良材ですが、その魅力を最大限に発揮できるポイントが、地産地消だと考えています。BUNKAIで作ったポーラス竹炭を地元の自然栽培・有機農家さんに活用していただくことで以下の様なメリットがあげられます。

・100%自然素材の土壌改良材を使う事で、化学肥料や農薬を軽減でき、環境にやさしい
・竹林整備で排出される未利用資材を活用できる
・使えば使うほど、地域の竹林整備活動を維持できる
・カーボン・ニュートラルに貢献できる

と、農家さん・竹林整備者・地域のみなさんにとっても、まさに3方よし。サーキュラーエコノミーの可能性を感じますよね!

ポーラス竹炭のその他活用例

竹炭はその表面積の広さから調湿効果にも優れており、住宅の調湿材としての有用性はこれまでも知られていましたが、巣ごもり需要が高まり、住宅環境改善の側面から再注目されつつあります。

床下や壁の中に敷き詰めることで、木造住宅の大敵である湿気を吸収、それだけではなく乾燥する季節には、保っていた水分を放出してくれるそうです。

床下の湿気対策になることから、有害な薬剤を散布することなくシロアリ対策にもつながります。またホルムアルデヒドなどの有害物質も吸着してくれることから、シックハウス症候群対策にも有効とも言われています。

そんな調湿材を、大府の竹林整備で排出される未利用資材で調達し、大府の住環境をさらに改善することに役立てたら、素晴らしいと思いませんか?

BUNKAI製ポーラス竹炭の調湿材についてご興味のある住宅メーカーさんや、施主さんからのお声がけ・または情報提供お待ちしております!

課題

2022年年春現在、毎週月曜日に炭焼きを行っておりますが、人員・整備費用の確保・保管場所の確保・整備対象の土地の状態などを整え、ポーラス竹炭を安定的に供給するシステムを構築するにはまだまだ時間がかかります。

また、一般的に農業資材や調湿材として「竹炭は良い」と言われつつも、確固たるデータも十分でないことから、ポーラス竹炭の普及活動を進める上で、第三者機関を通した科学的分析が必要であると考えています。それらのデータをもとに、竹炭を使った野菜やお米のブランドの価値向上、消費者への広報活動、行政へのバックアップを求めることが必要となります。

上記の課題をひとつひとつクリアしながら、地域に根ざした竹林整備活動を長く続け次世代につなげていくために、皆様のお知恵やご協力を必要としています!引き続きお付き合いよろしくお願い致します。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?