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掛川花鳥園スタッフのゆるゆる自由研究 【知られざる鳥の足の秘密】

花と鳥とのふれあいが楽しめるテーマパーク、掛川花鳥園のスタッフによる、園内の鳥たちのディープな情報や楽しい実験をスタッフブログから集めたよりぬき連載。今回は鳥の足の豆知識を紹介します。

足の指の秘密

さて皆さん、鳥の指ってよく見た事ありますか?
鳥の足の指は「趾(あしゆび)」と呼ばれ、向きやつき方によって名前が違っていて、使い方もさまざま!とっても観察しがいがある部位です。今回は鳥の指の魅力&秘密を、使い方とあわせていくつか観察してみましょう!

鳥の足といえばこれ!

レッドホークテールのアニ

まず、鳥の趾は原則として4本です。そして、写真のような3本の指が前に、1本が後ろについている足を「三前趾足(さんぜんしそく)」と呼びます。
この「三前趾足」、人間でいうなら人差し指、中指、薬指が前、親指が後ろ、という配置になります。
得意なことは木の枝に止まったり歩いたりすること。バランスのとれた足です。

スズメやカラスなどが属するスズメ目の鳥たちは大半がこの趾をしています。ペットで身近なのはブンチョウでしょうか。さらに、猛禽類はスズメ目ではありませんが,この足の鳥が多いです。
ただし、フクロウの仲間は違う足をしています。
猛禽類の足は木に止まりやすいことに加え、獲物を捕らえるために鋭く、長い爪をしています。そのため、ショーやふれあいで扱う際は専用のグローブが必要です。

似てるけど違う!三趾足(さんしそく)

後ろに足趾がない

この足の持ち主はエミュー。三前趾足との違いは、後ろの趾がないこと。

後ろの趾がないのは、エミューの生活を想像すると答えがわかります。枝に止まる必要がないのです。では、エミューに似た姿のダチョウの指はどうかというと、さらに趾が減って二趾足(にしそく)のうえ、爪は1つしかありません。蹴る力を一点に集中することで二足歩行の動物最速の約60km/hで走ることを可能にしている、地上生活に特化した足なのです。
ちなみに、ニワトリなどのキジ目は三前趾足ですが、枝にあまり止まらないので、後ろの趾は高い位置についています

インコやオウムの足は対趾足(たいしそく)

コガネメキシコインコの足

前と後ろに2本ずつ指がついて「X」のような形になっているのが「対趾足(たいしそく)」。オウム目、カッコウ目、キツツキ目などはこの形です。木や止まり木を掴む力が強く、片足で体を支える事ができます!また、物を掴んで持ち上げる能力も高いです。その代わり、地面を歩くのは少し苦手。オカメインコやセキセイインコを飼っていたら足をぜひ見てみてください。

片足で体重を支えるソデボウシインコ

掴む力の強さは当園でも見ることができます。その例が次の写真。天井にぶら下がるインコたちです。

逆さまインコ

たまにお客さんから「インコが引っかかってる!」とご心配いただくのですが、実はこれはリラックスして日光浴をしているところ。

基本的に1羽でのんびりしている事が多いですが、ときにはこうやって何羽かで固まっておしくらまんじゅうのようにくっついてることがあります。

変幻自在?可変対趾足(かへんたいしそく)

少し変わった動きをする足もあります。対趾足の後ろ向きについている趾のうち、薬指(外側の指)を前にも動かせる足を「可変対趾足(かへんたいしそく)」と呼びます。この足は猛禽類の中でもフクロウミサゴがもっています。ミサゴは魚
を、フクロウはネズミなどを上からがっちりと獲物を掴む狩りをします。しかし、食事や睡眠は生活は主に木の上なので、獲物を掴むときは対趾足」、木に止まっているときは「三前趾足」に切り替えているのです。

ファラオワシミミズクの足
アフリカコノハズク

水辺の鳥の足

次に、水辺で暮らしている鳥たちの指を見てみましょう。

サカツラガンの足

この平べったい足は「蹼足(ぼくそく)」といって水鳥に多く見られる指です。水をかくために面積が大きく、水かきがついています。

「前によせて…」

「後ろに蹴る!!」
こんな感じで、前から後ろに脚を一生懸命に動かしています。
カモの体形は「水面採食ガモ」と「潜水ガモ」に大きく分けられます。どちらも水面を泳いだり潜ったりすることもできますが、水面採食ガモは足が体の中央付近ついていて、歩くことが得意です。潜水ガモは足が体の後ろのほうについていて、泳いだり潜ったりするときに推進しやすい体になっているのです。

また、水鳥には趾の間が膜で繋がるのではなく、一本ずつ葉のように広がる「弁足(べんそく)」をもつものもいます。この足も面積が広く、泳ぐことに適した足です。

オオバンの葉のように広がった足(撮影:BIRDER)

鳥の足、いかがでしたか?細かくわけるともっといろいろな種類があるので、自分が好きな鳥はどんな足で、どうしてそんな足になったのか考えてみるとおもしろそうです。皆さんも掛川花鳥園に来た際や、身近にいる鳥類の脚に注目してみてください!

月刊誌「BIRDER」で「掛川花鳥園出張ガイド」を好評連載中!

BIRDERでは、さらに花鳥園の鳥たちについて、毎月いろいろなテーマで紹介する連載を掲載しています。楽しい漫画やイラスト入りで、会いに行きたくなること間違いなし!
BIRDER1月号の連載テーマは「賢い鳥」
器用な足からくり出されるイタズラや自室を施錠するなど、驚きの行動をするインコたちに迫ります!


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掛川花鳥園

掛川花鳥園は「花と鳥とのふれあい」が楽しめるテーマパークです。
広大な敷地の中に大温室やスイレンプール、池や牧場などを備えています。
冷暖房完備のガラスハウスは、夏涼しく冬は暖かく、全天候型なので雨の日でも安心。一年中快適な空間で花や鳥とのふれあいをお楽しみいただけます。

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