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プロがひもとく、鳥探しの虎の巻

Author:髙野丈(編集部)

また一緒に本をつくろうか。
石田光史さんと企画を考え始めたのは2021年の秋。『ぱっと見わけ 観察を楽しむ野鳥図鑑』以来、数年ぶりのコンビ結成でした。
石田さんは野鳥観察のツアーでお目当ての鳥を探し出して、参加者に見てもらう仕事に25年ほど携わっているプロのバードガイド。いつ、どこで、どんな鳥が見られるかを熟知していますし、鳥を見つける能力の高さは誰もが絶賛するほど。その石田さんのスキとスキルを活かした本をつくろうと、わたしは考えました。

旬の鳥がわかり、憧れの鳥を探せる本を

春と秋の季節移動、冬鳥の越冬など、野鳥には季節性があります。だから、いつ、どこで、どんな鳥が見られるという、いわば「旬」がわかれば、計画的に観察することができます。また、誰しもいつかは出会いたいと願う、憧れの鳥がいるもの。いつ、どこで、どうやって探せばお目当ての鳥に出会えるのか、その方法がわかれば、具体的に挑戦することができます。バードウォッチングは、誰かに教えてもらって楽に観察できてしまうよりも、苦労しても自力で見つけられたときのほうが、喜びが大きいものです。その助けになる本なら、きっと読者に重宝されることでしょう。こうしてコンセプトがかたまり、本づくりが始まりました。

憧れの鳥の筆頭、アカショウビン

人気の野鳥観察ツアーを誌面に

旬を伝えるには12か月のカレンダー形式にするのが最適ですが、ある鳥を観察するのに適した時期を何月と決めるのはなかなか難しいもの。この課題を解決するカギが、石田さんの仕事にありました。

野鳥観察ツアーは野鳥の季節性や生息地に応じて計画され、およそ半年先まで組まれています。そしてお目当ての鳥をテーマに、観察できる可能性のある探鳥地へのツアーが毎月何本も催行されています。鳥たちのカレンダーは毎年大きくは変わりませんので、ツアーのラインナップも同じ時期に同じテーマになることが多いものです。これら野鳥観察ツアーのテーマを誌面にすれば、12か月各月の旬の鳥が決まることになります。こうして各月4~6本、計64種をメインの紹介種として選びました。サブで紹介している種を含めて、掲載種は141種となります。

これで野鳥の「旬」がわかり、鳥見の計画が立てやすくなる!
各月の最後には、鳥探しの達人である石田さんならではのコラムを掲載

探し方を徹底解説!

本文の各テーマは、憧れの◯◯を探す!、◯◯を見つけ出すといった課題に挑戦する形になっていて、5段階で難易度を示しています。また、お目当ての鳥を探すために好適なフィールドを紹介。従来、市街地から山まで、さまざまな環境にそれぞれ生息する鳥を紹介する構成の類書はありました。でもそのような一般的な情報だけでは、お目当ての鳥を探すときにさほど役立ちませんでした。本書ではその課題を解決すべく、野鳥観察のツアーと同じようにお目当ての鳥をはっきり定め、有望な探鳥地も紹介することで、より具体的な探し方を紹介する本を目指しました。

本書の肝となる鳥の探し方、見つけるコツについては、時間帯や環境、位置や動きなど、鳥探しの達人である石田さんが長年の経験で培ってきたノウハウを惜しみなく投入。とくに伝えたい要点を各テーマ3つ挙げています。鳴き声が手がかりになる場合は、二次元コードで音声データを聴くこともできます(NPO法人バードリサーチ提供)。

コマドリを探すには、地鳴きを覚えることが重要

石田さんは野鳥写真家ですので、わたしは編集から印刷までいつも以上に、野鳥の美しさを伝えられるようにこだわりました。憧れの鳥のメインの写真は大きめに掲載し、生態や識別の説明ではわかりやすい写真を選んでいます。印刷は立ち会いで行い、印刷所でも腕利きのオペレーターさんに色調をしっかりと整えてもらいました。

腕利きのプリンティング・オペレーター、Wさん
いつも以上に写真の美しさにこだわりました
表紙や誌面には石田さんの似顔絵も

雪の妖精とも称されるシマエナガ、幻の存在になりつつあるチゴモズ、炎の鳥アカショウビン。声はすれども姿は見せないホトトギスに、憧れのヒタキであるムギマキ。本書を虎の巻にして、いつかは見たいと憧れている鳥たちとの出会いを楽しんでいただければ幸いです。

石田光史さんの講演を開催

本書の出版を記念して、11月4〜5日に我孫子で開催されるジャパン・バード・フェスティバル2023で石田さんが講演します。いつかは見てみたいと願う憧れの鳥は、いつごろ、どこへいって、どうやって探せばよいのか、くわしく解説。講演では本書の販売とサイン会も行います。発売前の新刊を著者のサイン入りでいち早く手に入れるチャンスです!
講師:石田光史(プロバードガイド/アルパインツアーサービス
司会:髙野丈(文一総合出版)
参加費:無料/事前申込み不要
日時:2023年11月5日 13:00〜14:00
場所:水の館3F 研修室 
詳細は以下のリンク先を参照


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