エナガウォッチャーが語る、エナガの「かわいさ・おもしろさ」
Author:松原卓二
《↑写真》
エナガは枝に止まっていろいろなところをじっと見るので、まるで「小首をかしげている」ような写真がよく撮れます。あざとい。かわいい(©松原卓二)
エナガファンのバイブル!
こんにちは!写真集『エナガのねぐら(東京書籍)』著者の松原卓二と申します。このたび文一さんから出る『とことんエナガ、シマエナガ』はすばらしい本ですね。エナガとシマエナガについてあらゆる情報が詰まっており、エナガファン必携の一冊といっても過言ではありません。かわいい写真を満喫したい人にも、生態や分布を知りたい人にも、エナガを探しに出かけたい人にもオススメです。まだエナガを知らない人へのプレゼント(“布教”ともいう)にも最高のアイテムでしょう。
自慢になってしまいますが、かくいう私も「エナガが育む一年」として8ページの記事を寄稿しました。エナガは一年サイクルで群れの離合集散をくり返すユニークな生態をもっており、それを知ることで季節ごとのエナガの行動原理が理解でき、観察の楽しさが何倍にもふくれあがります。ぜひこの本を手に取って,読んでいただければと思います。
さてそれでは、『とことんエナガ・シマエナガ』の刊行を記念して、過去に私が撮影したエナガのかわいい写真、おもしろい写真を何枚か紹介します。
1羽でも群れでも、かわいくおもしろいエナガの暮らし
エナガの群れの移動方向にムラサキシキブの実(エナガの大好物)を見つけたので、そこでひっそりと待ち伏せして撮影した写真。息を潜めて動かないように気をつけていたので、ほんの数メートルまで近づいてきてくれました。こうしてみると本当にめちゃめちゃキレイでかわいくて清潔そうに見えますね
エナガは一日中、群れの仲間と行動をともにします。これはシラカバの実についたちっちゃい虫を食べているシーン
群れのみんなで樹液をなめているところ。真冬の山中では水が凍結し、雪の重みで折れた枝や、アカゲラが空けた穴などからしたたる樹液はまことに貴重な水場となります。わいわいがやがやと集まっており、たいへんにぎやかでかわいらしいですね
これもムラサキシキブを食べているエナガの群れです。よく見ると2羽とも、片手で枝をつかんでぶらさがり、もう片手で木の実をむんずとつかんでいます。この「ぶらさがり手づかみ食べ」もエナガの得意技
真冬のエナガはふっくらモフモフしております。モフモフは彼らが「かわいらしさを追求している」のでは決してなく、体温維持のための仕組み(空気を含んだ羽毛)ではあるのですが、モフモフはやっぱりかわいいですよね。つまり、エナガ観察に最高のシーズンは、厳冬期です
ほかの小鳥同様、エナガもよく水浴びをします。水浴びの後はこんなふうに羽毛を爆発したみたいにふくらませた状態で、羽毛を手入れします。お腹の真ん中あたりにあるくっきりした線は、嘴を差し込んで身づくろいしたあとですね
エナガは飛んでいるところを撮っても、おなかがポヨンとしていたり、タユンとしていたりして、なかなか味わい深い姿を見せてくれます
たかーい木の枝の上に、エナガのひな団子ができています。見つかりましたか?
エナガのひな団子。中心にこうしてバッサーと割り込んでくる子がよくいます。踏みつけにされた子が「ムギュー」ってなっていますが、まあそんな怒るでもなく、全員がズルズルっとスライドして、うまくまとまります
Author Profile
松原卓二(まつばら・たくじ)
1965年兵庫県生まれ、富士山ろく在住の写真家。「かわいさ」と「おもしろさ」をテーマに、動物たちの顔や体、しぐさなどをつぶさに観察する独自のスタイルで写真集を発表している。既刊に『動物オメガ図鑑(マガジンハウス)』『エナガのねぐら(東京書籍)』など多数。http://mofumofu.info
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