見出し画像

文房具の新しい教科書(鉛筆編)


社会人も長くやってきて、すでに販売するためのもの、になっている鉛筆。筆記具のカテゴリの中では新しいものが出にくい分野ではあります。でも小学生に上がるとまずは「鉛筆」。私のころはまだナイフで芯を削っていて、電動鉛筆削りは教室や一部の友人の家にしかないアイテムでした。
短くなった鉛筆は銀色のホルダーに入れて使い、その思わぬカッコよさに惚れて、長い鉛筆もホルダーに入れて使ったり、なんだかんだと書くこと以外の思い出が出てきます。そんな思い出は置いといて、そもそも鉛筆ってどんなもの?芯はどうなってるの?など紐解いていこうと思います。


鉛筆とは?
芯について
 芯の柔らかさ=濃さ
 硬度とは。
 なぜ書ける?なぜ消せる?
芯ホルダー
色鉛筆

鉛筆


木材の板に、黒鉛と粘土を焼成して固めた芯を挟み込み、芯を中心にして棒状に切り分けた筆記具。ナイフや鉛筆削りで芯を頂点とした円錐形に切り出して使用する。木材にはインセンスシダーが一般的に使われるが、木粉を樹脂で固めたものもある。(ステッドラー・ウォペックス)。
鉛筆は芯の素材で別のものになるので、やや乱暴な分類ではありますが、整理しやすくするために「消せる」「消せない」に大きくわけて解説していきます。

消せる


つまりは消しゴムで消せる、ということ。
消せることの説明の前に、そもそもなぜ書けるのか、鉛筆で紙に書くということはどういうことかを説明しないと片手落ちになってしまうので、回りくどいですがそこから入っていきます。
消しゴムについては別の記事で説明します。

紙に粒子がくっついている
鉛筆が紙にかけるのは、紙表面の凹凸に芯の粒子が入り込むことによるものです。書く時により多くの粒子が紙に付けば濃く「見える」。逆に少なければ薄く「見える」。
芯が柔らかいほど減りが早いと言え、それは摩擦によって柔らかいほど多く削れます。つまり多くの粒子が紙に残るから減りが早い、つまり濃い、ということです。禅問答みたいですが。

※消しゴムで「消す」というのは紙表面にある芯の粒子を消しゴム本体に吸着させることで「取り除く」ことを指します。この件についてはまた別の機会に…

雑談ですが理論的に鉛筆の筆記距離は一本で50Kmだそうです。工業的な話になりますがHBで芯をとがらせず、一定の圧力をかけて筆記すれば、という前提です。

○ 硬度とは
鉛筆の種類を表すために「B・H」に数字を組み合わせた単位および「F」を用いています。
これを芯の硬度といい、一般的には日本産業規格(JIS)で定められている17硬度で表します。

硬度について(JIS規格)

硬9H→8H→7H→6H→5H→4H→3H→2H→H→F→HB→B→2B→3B→4B→5B→6B 柔


ちょっと説明・・・本来は硬いか柔らかいかなのですが、書く側としては濃いか薄いかなのでそっちを優先させました。
・Hは「HARD」の略字。鉛筆の硬さを表す。Hに付く数字が大きいほど薄い(硬い)
・Bは「BLACK」の略字。鉛筆の黒さ(濃さ)を表す。Bに付く数字が大きいほど濃い(柔らかい)
・Fは「FIRM」の略字。「ひきしまった・しっかりとした」という意味。HとHBの中間の濃さ・硬さの芯である。

硬度の参考です。
三菱鉛筆は10H~10Bまでの全22硬度。
ステッドラーは10H~12Bの全24硬度。

芯ホルダー

2mm芯や3mm芯をホルダー内に収納して、後端部を押すと芯が出てきます。機構としてはシャープペンに近いのですが、ノック後に芯を保持しない(ノックしたら芯がストンと落ちてくる)ものもあり、思わぬ動きに最初はびっくりするかもしれません。書き味が鉛筆に近いことから、私は鉛筆に分類しています。芯は硬度別に用意されています。先端が丸くなり芯を削るときは専用の削り器を使うようになっています。ちなみにステッドラーはノック部分が簡易削り器になっているものもあります。

芯ホルダーは三菱、ステッドラー、コヒノール、北星鉛筆など多数のメーカーが販売しています。

消せない、つまり
ここからは一般的な消しゴムでは消せない鉛筆をご案内します。


〇色鉛筆
顔料・ロウ、ワックスを混ぜて乾燥させて作る。紙に筆記したときは油分が紙にしみこんでしまうため、普通の消しゴムでは消すことができません。鉛筆に比べて芯が柔らかいため、芯と軸の距離を一定に保てる円柱形を主に採用しているというのが前提でしたが、最近はそうでもないようです。

消すには色鉛筆専用消しゴムを用います。専用消しゴムには特殊な油分が配合されていますので、色鉛筆の油分を吸着しやすくしています。ちなみに普通の消しゴムでこすると摩擦熱で色鉛筆の油分が溶け、広がってしまうのでご注意を。

○ クーピー
色鉛筆と違って顔料と合成樹脂で作られる、すべてが芯でできた色鉛筆。合成樹脂のため紙の繊維にしみこみません。そのため比較的消しゴムで消すことができますが、できれば専用のクーピー消しゴムを使ったほうがいいでしょう。棚割りで鉛筆と並ぶことも少ないですが、色鉛筆と類するためこちらで表記。
※今後文房具の棚割りについても語るつもりでいますので私の意気込みととらえてください。

○ 水彩色鉛筆
顔料に界面活性剤を加え、水に溶けやすくしたもの。そのまま描けば色鉛筆同様に使用できる、つまり色鉛筆同様の風合いが出せるということ。水を含ませた筆などでなぞると顔料がとけ、水彩絵の具のような風合いを出すことができます。成分によって「硬質」と「軟質」にわけられます。これはあまり売り場では聞いたことがありません。でも調べていくと大きな違いが。

硬質…芯を固める成分が多く、より色鉛筆に近い線を生かした表現ができる。
軟質…水に溶ける成分が多く、より水彩絵の具のような風合いを出せる。

おそらくたくさん書かれている方にとって、こう言ったタッチの違いは重要なものになるはずです。問い合わせの際に知っておきたい内容ですね。

いかがでしたか?鉛筆については本当に調べれば調べるほど深さがあって、人に話したくなる内容が詰まっている気がします。
歴史があるということはその良さが伝わっている、ということだと感じながら、鉛筆の回を終わりにしたいと思います。
まだまだnoteの機能を使い切れていないので、見にくいところも多いと思いますが、覚えたことは過去記事もちょこちょこ修正しています。不定期にご紹介していきますので、またよろしくお願いいたします。
これちがうやーん、みたいなツッコミも歓迎です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?