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MARE展にお邪魔しました。

文芸社×毎日新聞社 第2回人生十人十色大賞 長編部門の最優秀賞受賞作『マレタイム』。 『マレタイム』は、ダウン症を持って生まれた息子との普通で幸せな毎日を綴った家族の記録です。その著作者である佐々木真紀さんのお子さん、希(まれ)君の作品展が先日、開催されました。



希君の作品の数々が、空間いっぱいに展示されていました。また、ご両親(真紀さん・海さん)共作の絵本や、海さんによる遊び心いっぱいの作品なども並んでいました。カラフルに彩られた作品、身近なものを素材にした立体的な作品、心地よい手触りを想像させる作品、チャーミングな作品。好きなものを、好きなときに、好きなように、楽しみながら作っていることが伝わってきて、とても大らかで、風通しのよい展示空間になっていました。作品が壁一面に並ぶなか、一際目立つ赤色で力強く塗られているところがありました。展示の準備が一段落してから希君が即興的に描いたそうです。希君にとって大事な色(字義どおり画竜点睛)なのかもしれないなと思いながら観ていました。

その赤色は、私にはハートに見えました。

希君のお母様の佐々木真紀さんは、『マレタイム』の出版を機に、スペシャルニーズがある子どもを持つ親に向けてさまざまな活動を続けています。「マレタイム」とは、希君が希君のペースで、希君らしく生きる時間。そんな時間に対して社会はまだまだ、不寛容で不親切な側面を持っています。今回の展示には、真紀さんの活動の根本にある「誰にでも平等に優しく愛のある世界になりますように」との願いも込められているのでしょう。そして私には、その願いと、希君の彩った赤色がどこかリンクしているように映りました。

MARE展が開催された場所は、仙川駅近くの「POSTO」です。「誰でも理由がなくても滞在できる場所」を基本コンセプトとして、クラウドファンディングで資金を集めてオープンしたそうです。「さまざまなコミュニケーションが生まれ、これまでに街中で経験したことのないようなゆったりとした時間を楽しんでもらえたらうれしい」と店主はいいます。MARE展にとてもマッチした場所だと思いました。

真紀さん(@mare.time)と海さん(@mask.kai)のInstagramからも伝わってくる朗らかな雰囲気が、MARE展を満たしていました。訪れる方々の快活な人柄を思わせる笑顔も印象的で、親愛感のあふれる空間を形づくっていました。それはきっと「マレスペース」という言葉がふさわしい「誰にでも平等に優しく愛のある」場所でした。

素敵な場所にお招きいただき、ありがとうございました。
希君、楽しかったよ!


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