書き出し自選・菅原 aka $.U.Z.Y.の5作品(菅原 aka $.U.Z.Y.)

 私事で恐縮ですが、2019年は色々な事がありました。新年早々、元セクシー女優Rioさんのインスタ(フォロワー数34万)に写り込むという正月を迎え、5月には書き出し小説大賞の第168回に於いて規定部門のテーマになるという偉業もしくは異業を成し遂げた私、菅原 aka $.U.Z.Y.(すがわら えいけいえい すーじー)と申します。どうぞ、よろしく。色々な事があったと言っておいてふたつしかない。

 そして、ろっさんさん。リクエストありがとうございます。連載バトンを受け継ぐプレッシャーから私、腰痛 aka ギックリ腰になって3日間仕事を休んで寝込むという超ヘヴィ(腰だけに)な年の瀬になってしまいました。決してろっさんさんのせいではありません。誰のせい?それはアレだ、ヌーのせい。

 ところで先日私、天久聖一先生にお会いする機会があったのですが、その際天久先生から直々に「実はスージー・アイドル化計画を考えてて、その第一弾としての名言集だったのに、なんの反響も無かったのでこの企画はもう終わり〜」という衝撃のお言葉をいただきました。アイドルになりたかった。満員の新国立競技場で誰も得しない名言を読み上げてみたかった。あと、濃いお茶がこわい。

 そろそろいいですか。そんな私が第一回目から参加していながらも未だ、5,6本くらいしか採用されていない作品の中から、選りすぐりの5本を紹介したいと思います。

団体名が連なる、歓迎看板の白い文字は水性ペンキで書かれており、その文字を水で綺麗に洗い流すのが現在の私の仕事である。

〈第1回 自由 11月林賞受賞〉

 これは私小説である。本当にその時の私の仕事だったのだ。文字を書く人は他にいた。その文字を洗い流すのが私の仕事だった。この仕事を2年ほど続けた後、私は離婚を経験する事になる。

「これ食べ終わったら、ホントにさよならだね、最後の晩餐だね」と彼女は笑った。伸びろ、うどん。
〈第51回 規定:私小説〉

 1冊目の書き出し小説単行本には自分の作品が複数掲載され大層喜び浮かれたものでしたが、2冊目に掲載されたのはこれ1本だけでした。ですがある日ツイッターで見ず知らずの方が「この書き出しが(掲載作品の中で)1番好き」とつぶやいてくれていてとても嬉しかった記憶があります。それが現在の私の再婚相手です。

「おかめインコ工場に勤めてたんですよ」

「え?工場?」

「ええ、工場」

〈第36回 自由〉

 多分にシティボーイズのコントから影響を受けています。「おかめインコ工場」というワードを思いついた時点で「これは、イける」と思いました。他にも言葉のインパクトありきの書き出しだと、

和久井映美裁判の一部始終を此処に書き記す。

〈第96回 自由〉

2浪してテンガロン大学に入った。

〈第99回 規定:バカ〉

 の2本が自分でも好きです。どこにあるんだよテンガロン大学。何だよ、和久井映美裁判て。あ、この2本は自選5本からはノーカウントでお願いします。なので4本目が、

「いいのよ、好きにして…」そう囁くとアケミは、ボクを見つめたまま動かなくなった。

〈第64回 規定:2014年〉

 これはその年に流行った「ダメよ〜ダメダメ!」のパロディとして書き出しました。もう5年前なんですね、エレキテル連合。元ネタと共に色褪せてゆく書き出し、ちょっとだけ愛おしいです(自愛)。それでは最後の書き出し。

戦争から帰ると、駅前に停めておいた原付が盗まれていた。

〈第68回 規定:戦争〉

 戦争は嫌だ、怖い。戦争反対!というメッセージをどれだけマヌケなカタチで伝えられるかに挑戦してみましたよ。私は。

 どうでしたか、私の書き出し小説は。感想などありましたら何らかの方法で私に伝えてみて下さい。それにしても、もう7年も続いている書き出し小説大賞。この企画の存在のおかげで、何者でもない私がほんの少しだけ輝いた気になれたりしたりもして、本当に、書き出しが、無かったら、出会えていなかったであろう人々とも、沢山…(嗚咽)…失礼しました、感情のバランスが。お腹も空きました。そんな訳で、おわり。

 次回の書き出し自選は、マークパン助くんにお願いしました。パン助くん、現在病気療養中の身ですのでいつ原稿が出来るやもわかりませんが、ひとつ長い目で見てやって下さい。もしかしたらこのリレー連載、ここで終了してしまうかもしれませんが、それはそれでいいんじゃないでしょうか。なんちゃって、無責任な事を書いたりしていますが同郷の後輩的パン助くん、実は義理堅い男であったりするのでまあそれは無いと思います。各自ポマトでも育てながら、楽しみに待っていて下さい。以上、長々と私の駄文(aka だっぶんだ!あるいは、だいじょうぶだぁ!※ひらがなの濁点部分は全て目のイラスト)にお付き合い頂きありがとうございました、それではまた。いつか、どこかで。

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