書き出し自選・たこフェリーの5作品(たこフェリー)

書き出し小説というからには、やはり「小説」なわけでございます。
日頃から詩や小説などに慣れ親しんでいる方たちが(何せこのホームページが「文芸ヌー」って言うくらいですから!!)、己を表現したいという欲求に従って、各々が研鑽を重ねたテクニックを駆使して言葉を紡ぎ、無限の広がりを持った短い文章に昇華させるという、ひとつの特殊な「文学」としてのスタイルを屹立しているわけです!!
そこ行くと、アタクシなんかは所詮「バカはサイレンで泣く」(通称「バカサイ」。ご存知ですよね!!)のしがない一投稿者…無意味な駄文や模倣に関しては少しばかりの覚えはあれども、天久先生もバカサイとは異なる趣を目指していたことは明らかでして…(汗)。そういう意味で未だに王道を逸れた「はぐれ書き出し者」という疎外感があるわけよ(被害妄想かい?)。
今回の自選にあたり、送っていただいたアタクシの採用作一覧を見ましたが(文芸ヌーさんアリガトウ!!)…どれも箸休め、刺身のツマみたいな作品が並ぶばかりでぇ…主食がないんじゃ!!(急に千鳥ノブ風)
単行本はもちろん、賞やイベント等でもアタシの作品は選ばれたこともなく(泣)それもむべなるかなと思った次第でございます(べ、別に寂しくなんてないんだからねっ!!)。

……やめよう。『週刊文春』で桑田佳祐がやってる連載の文体で書くのしんどくなってきたんでやめます(誰が分かるんだよ!!)。
改めまして、こんにちは。ビールおかわりさんからバトンを頂きました、たこフェリーと申します。
ビールおかわりさんとはバカサイ忘年会でお互い初参加のときにお会いしてから、毎年「私も書き出し文壇に参加したいんですよォ!」という一方的な話を聞いて頂いている仲です。今後ともよろしくお願いします。
自選と言っても先ほど書きました通り、ホントに我ながら傑作らしきものが見当たらないんですよね。なのでコメントしやすいものを選んでみました。

落書きの被害は同情されたが、落書きの内容には共感された。
(第64回 規定部門「2014年」)
今となっては伝わらないかもしれない、長嶋一茂邸の壁に「バカ息子」などと落書きされた事件をもとにしたネタです。その当時でもワイドショーとか見ないタイプの人は分からなかったのかもしれません。
これが私の初採用作でしたので、自分の書き出しキャリアが2014年の終わりから始まっていることが一目瞭然です。ちょうど直前に会社をクビになり、年賀状の仕分けバイトの休憩中に採用を確認した記憶と一緒に刻まれている、そういう作品。

いつもと違う変なおじさんは、ぎこちなく踊り、最後に「やれやれ」と言った。
(第69回 規定部門「村上春樹」)
自分の中では比較的ウケたような気がする作品ですが、ここで告白しなければいけないことがあります。これが選ばれた少し後、バカサイの「イマジン」のコーナーで以前、次のネタが採用されていたことに気づきました。
完全に殺すつもりで追いかけてるのがわかる、いつもと違う変なおじさん。(長崎県・糞だるま)
そう、バカサイ常連の糞だるまさんのネタから「いつもと違う変なおじさん」というフレーズを知らずに引用しまっていたのです。無意識に私の中の安倍なつみが「素敵だな」と思っていたのかもしれませんが、要はパクっている訳ですから誠に申し訳ありませんでした。ですので、この書き出しに関しては半分くらいしか自分の手柄という気がしておりません。八神純子にとっての『パープルタウン』もこんな感じなんですかね(たとえが古いよ!!)。

これは、君自身がベッキーとなって再び人気タレントに返り咲いていく物語だ。
(第93回 規定部門「二人称」)
「二人称」という変則的お題のときの採用作。昭和の終わりごろ「ゲームブック」というジャンルのブームがありまして、小説やマンガの途中で選択肢が出てきて、その選択したページに進むことでストーリーが枝分かれしていく「読むRPG」みたいな本だった(ドラマの『if もしも』とかもこれの影響だったのか?)のですが、この作品は完全にそれの「ベッキー再ブレイク伝説」みたいなイメージで書きました。
しかしこのネタが2016年、もう二度と表舞台に戻ってこれないような気がしていたベッキーもCMや映画に復帰し、結婚もされた訳ですから、今のコロナ禍による先行きが見えない状況も、きっと時が経てば乗り越えた先の未来が待っているはずです!と、あんまりそうは思ってないのですが景気づけに書いてみました。

縄跳びを捨てよ、変顔で踊ろう。
(第137回 規定部門「2017年」)
寺山修司ミーツにゃんこスター、それ以上でもそれ以下でもない作品。2017年末に交際宣言していたにゃんこスターの現在を考えると、時の流れは残酷なものでもあります(これも別にそんなに思ってない)。
書き出し作家の方々は基本的に、時の流れに耐えうる普遍的、エバーグリーンな作品を目指されているかと思います。そうすると時勢との結びつきが強い時事ネタ、芸能ネタが好まれないのは必然。「ひょうきん族はいま見ると全然面白くないけど、ドリフは今でも笑える」なんてことを皆さんよく仰いますが、「それでもひょうきん族のほうが面白い時期も確実にあっただろう!」と思っている身としては「風化上等、時代の仇花としてのネタを書いてやんよ」という謎の逆張り精神でもってやっているようなところもあります。ただ、それは書き出し小説でやることではないだろう、というのも存じております。

加護ちゃんが幸せならば、令和はいい時代だよ。
(第168回 規定部門「スージー菅原の誰も得しない名言集」)
スージーさんの名言ですが私が考えました。他人の幸せを願うことが社会全体の幸せにつながる、そういう視点があれば岡村さんも炎上することはなかったのかもしれませんね、これも例によってそんなに思っていませんが(無理に時事ネタ入れなくてもいいんだよ!!)。

以上、書き出し自選・私の5作品でした。
さて次回、小者の次はビッグネーム、大伴さんに2度目のご登場いただきます。
バカサイ的には「鈴木雅之のサングラスネタ」ブームを巻き起こした伝説の投稿者ですが、いまや「ワンシーン画」で広く知られ、Twitterのフォロワー7千人を超える鬼バズり大先生でございます。書き出し小説でも質・量ともに兼ね備えた方でいらっしゃいますので、お楽しみいただけること間違いなしです。

では長々と失礼いたしました。どうもありがとうございました。

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