2015.9.12のごあいさつ(天久聖一)

せっかくなので。


このたび「文芸ヌー」を立ち上げた理由を述べると、このひと言につきる。

書き出し小説の連載がDPZではじまって、早いものでもう三年が経つ。
その間にイベントや、単行本発売、さまざまな出来事があったけれど、なによりうれしいのはこの企画を通じて、書き出し作家のみなさんがお互いに交流を深めていることである。
言い出しっぺとしてこれ以上の幸せはない。

ところが三年経ったいまでも、公式な発表の場と言えば隔週の連載しかない。
せっかく、こんなに面白い人たちが集まったのに、
これではちょっともったいなくない?
せっかく、これだけ交流があるなら、もっと面白いことができるんじゃない?

そう、せっかくなので。理由はやはりそのひと言に尽きる。

ついでにせっかくなので、敢えて告白させてもらうなら、そこにはちょっとした個人的理由もある。
それは正直「こんな面白いヤツらなら、搾ればもっとなにか出てくるんじゃないか」という、私個人としての「欲」だ。
これからまた新しい遊びをはじめるにあたって、みなさんとは常にフェアでありたい。フェアであるために、敢えて黒い欲もここに記しておく。

さて、では具体的に「文芸ヌー」でなにをはじめるか?

それはまだ決まっていない。いまから考える。

そもそも「ヌー」という名前も「ヌーっと現れるなにか」という無責任な意味しかない。
ただ冠に「文芸」とつけたのには、多少の期待がある。
文芸などというと堅苦しいけれど、私たちの出会いは書き出し小説という素人文芸にあった。
ならばその素人芸の可能性をさらに探ることで、またなにか面白いことができるのではないだろうか。
背負う責任がないこと、守るルールがないこと、それが私たちにとって一番の強みだ。

各自が発案した新しい芸を披露するもよし、コーナーをつくって募集するもよし。
ただ普段思ってることをエッセイにしたい。前から考えている小説を発表したいでも全然オッケー。
原則として「ヌー」は書き出し小説を母体とする、テキストを中心としたみなさんの交流の場にしたい。

とりあえずは書き出し作家の常連諸君には、なにかしら執筆賜りたいと思っています。
もちろん僕も書きます。

今回の発刊にあたり、素敵なロゴは大伴くんが、管理はxissaさんが引き受けてくれました。感謝!

それでは「ヌー」はじまります。

天久聖一

文芸ヌーは無料で読めるよ!でもお賽銭感覚でサポートしてくださると、地下ではたらくヌーたちが恩返しにあなたのしあわせを50秒間祈るよ。