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『進化の時』感想

 ツイッターで呟こうとしてはみ出しただけなので短いです。
 まず『進化の時』が発表された直後、これまで手つかずだった『覚醒の時』を買いまして。
 というのも私は基本的に現在進行系のものを追うのが好きなので、あまり過去に興味がなかった。けれど折角続きもののような過去作があるのなら、事前に見ておこうと思い購入。
 結果、とてもよかった。幼い推し、みずみずしい推し、若さが弾けておりました。きのこちゃん→美少年→美少女(なぜ)→美青年の歴史をしみじみ楽しみました。
 まだ体力がなくて終わった後ハアハア言って唇紫にして氷に倒れ込まんばかりの推し……萌える。逞しくなったんだなあ。でもその体力のない極限のところで阿修羅パワーを爆発させているのがエモーショナルでとてもよかったです。打ち上げ花火みたいで。
 当時は頑張って背伸びしちゃってる感じがしてさほど好きではなかったパリ散も、今見てみるとなかなかいい。この子鹿ちゃん、自分の魅力を知り抜いているわ……恐ろしい子……という気持ちになる。要するに背伸びしちゃってる少年のよさがわかる年齢になってしまっtやめろやめるんだ。
 ともあれ、年齢によって受ける印象がまるで違うので、過去作も見直してみると面白いということがわかった。感性は歳とともに変形するのです。

 そして『進化の時』。
 いやぁ、世界記録更新を連発したSEIMEIを久しぶりに見たけれども、体のキレ具合が凄まじかった。ゾーンに入っているというよりも、持て余したパワーを爆発させている感じがした。
 紛れもなくあの瞬間は若い力のピークだったんだなぁと思う。動きのひとつひとつにあふれるほどの自信と力がみなぎっていた。
 対して、その後更に記録更新をしたホプレガは、無駄な力みがまるでなく水中を泳ぐ魚のようだ。たった一年の違いでこれだけ演技に円みが出るのかと思うような変化。曲調もあると思うけれど続けて見るとあまりに違う。
  若い力が暴れて研ぎ澄まされていたSEIMEIに比べて、練れた美しさというか、円熟みというか。え、一年しか経ってませんよね?
 変化といえば、16〜17年シーズンになって羽生くんの体は急に大人になった(妖精比)。体格がまるで違う。随分と鍛えたのだろうか。そう、それで私は彼が男性であったことに気づいたのだ(『なんか書いてみた』参照)。
 ヘルシンキワールドのホプレガは完全にゾーンに入っていたらしい。改めて見てみても、結果はわかっているにもかかわらず、その奇跡のような演技を固唾を呑んで見守ってしまう。
 紛れもないマスターピースだ。羽生くんの演技を見て初めて泣いたのを思い出す。完成度もさることながら、SP5位の状況からのこの逆転劇にしゅごいよぉと驚愕しての涙だった。何なの、ドラマ力というの? もうだめ、こんなの神様じゃん。入信しよ。
 それにしても、写真一枚の出演だったクレイジーちゃん……この綺麗な映像で見たかったなぁ。沼落ちしたシーズンはやっぱり特別。SPがないせいかあっさり通り過ぎた感でしたが私のいちばん好きなシーズンでした。

 最後は平昌オリンピックで連覇しての〆。
   NHK杯前の怪我をしないために云々というインタビューがじわじわ心を締め上げてくる。
   返す返すも、優勝できてよかった。
   なぜ金メダルが決まった瞬間の泣き顔がないのかと文句を言う母(好きなのね)。
 覚醒の時から続けて見ていると長年のファンというわけでもないのに、感慨深いものがある。
 ソチ後の次も必ず勝ちますという雰囲気とは違い、北京は出るか出ないかわからないというゆるふわ状態で終わった。
 どうなるのかなぁ。形としてはもうひとつこういった『極みの時』みたいなものが出て完結! という流れがカッコイイ気がする。カッコイイの好きな人だし。顔から体から遺伝子の時点で自己プロデュース完璧な人だし。
 何しろ波乱万丈で漫画のような人なので、これからもこちらの想像を超えて何かしら驚かせてくれるに違いない。

 こんなにすごい人のファンになれてよかったなぁと噛みしめられる内容だった。ただひたすら駆け上がっている道の途中だった『覚醒の時』とは違い、若くして頂点を極めてしまったがゆえの苦悩からのさらなる絶頂、そして大きな怪我からカムバックし二度目の勝利を手にしたところで終わっているので、漫画だと普通ならこれが最終回だ。
 けれど人気漫画は更に強い敵を出して連載を引っ張るのが常套手段なので、ゆづる強火担である神様はまだ物語を終わらせる気がないらしい。オラわくわくすっぞ!
『進化の時』堪能させていただきました。これを大河ドラマにしよう。