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ポエムはみんな生きている(第七回)

Let's go!フェミニズムパーティ!(part1) ni_ka

お久しぶりです、忘れられたころに『文学+』WEB版にしれっとやってくるni_kaです。今回は、フェミニズムパーティへのお誘いです。どちらさまもふるってご参加ください。

⭐⭐⭐

「ジェンダーギャップ指数2023」の指針では、日本はなんと世界164カ国中、125位ですって(https://www.asahi.com/sdgs/article/14936739)。毎年低いとはいえ、今年は過去最低ランクでした。それにしても、低っっっっっっっっっっ!!!

日本は、GDP世界3位の経済大国だし、国家ブランド指数ランキング2位(https://yamatogokoro.jp/inbound_data/48766/)だし、世界平和度指数ランキング9位(https://eleminist.com/article/2794)で、なんと旅行・観光開発指数は映えある世界1位(https://www.tourism.jp/tourism-database/figures/2022/06/travel-and-tourism-development-index/)なのです。意外と上位。ちなみにこのランキングを発表しているのは、ジェンダーギャップ指数の統計を発表した世界経済フォーラム(WEF)なのだ。ジェンダーギャップ指数だけが桁違いにめちゃんこ低いわがJapan。

日本は、外食を含むお食事は非常に美味しくコスパも良いし、コンビニは神便利、小説やアニメや漫画などの娯楽も超豊富、大谷翔平さんや井上尚弥さんや八村塁さんや大坂なおみさんら、世界で活躍する、若いスーパーキラキラスポーツ選手もたくさんいる。だから、政治不信やマスメディア不信や経済停滞などありつつも、それなりのシャイニング国家のはず。
それなのに、ジェンダーギャップは125位ですか!?
う、う、うそーん、嘘だよね? シャイニング国家どころか性差別に関しては暗黒国家じゃあないですか。日本以上に性差別が根強いと勝手に日本人が思い込んでいる、アジアやアラブやアフリカ諸国よりもぐんと下位だなんて。勝手に諸外国を性差別が日本より強いと思いこんでいてすみませんでしたー!
この指標が絶対的に正しいのかは分からないけれど、ただ、一側面からとはいえ、客観的評価が垣間見えるわけだし、きちんと受け止めないとね、とは思う。

WEFは、このジェンダーギャップ指数を、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つのカテゴリーで判断してるらしい。
なので、まず「経済」面と「政治」面を考えてゆこうかと。

日本人の平均年収は、男性:545万円 ・女性:302万円(https://news.yahoo.co.jp/articles/2fffb826fb9a5b518fe50a5ec6a728b56aea32b2)と、男性が女性より175万円も当たり前に多いので(当たり前じゃいけないのだけど)、経済面で、日本では男女平等とはほど遠い。これにはさまざまな理由があるのだけど、大企業の取締役や重役に女性は数えるほどしか存在しないし、官僚の世界でも女性事務次官はほぼいない。国会議員も女性の割合はめちゃんこ少ない。要は日本で女性は社会的に権力がある地位に全然いないのだ。

権力のある地位が男性に集中しているというのは、もちろん収入にも差が歴然とあるということ。政党は、選挙で元アイドルや元女優や元アナウンサーなどの華やかで知名度がある女性をかつぐことはあるけども、内閣総理大臣や財務大臣(旧大蔵大臣)や内閣官房長官やといった、政治経済で真の国家のトップofトップの地位に女性が就任することは我が国ではない。ちょっと言葉はよくないけれども、いわゆるお飾り的な大臣に、「ワシらは女性差別はしていないからね」という永田町のアリバイづくりで女性が登用されることはある。まぁ、その数もすっごく少ないですけれども。

日本の為政者の最高峰と言える内閣総理大臣は、故・伊藤博文元総理から岸田文雄現総理まで、実に101代だが、全員男性で、女性の総理大臣は0人である。繰り返すけど、女性は0。明治時代から0人。

日本国の税制やお金を取り仕切る財務大臣は、旧憲法下の大蔵大臣時代も含めれば、実に129代の大臣がいたわけだけれど、これまた全員男性の大臣で、女性の大臣はやはり1人もいない。またまた0だ。ゼロ。日本の経済は、男性が常にトップであり続け、男性が仕切ってきたわけだ。
経済繋がりで多大な権力をもつ日本銀行総裁は、歴代で32代だが、全員が男性だ。日銀総裁も、女性0人。ゼーロ!女性は透明なのだ。

内閣官房長官は、歴代83代のうち、故・森山眞弓元議員が、女性で唯一就任している。女性が1名いただけでもましなのかも、とちょっと感覚がおかしくなる。他の82代は男性の官房長官だ。しかも、森山元議員は、当時前任だった男性の某官房長官が女性スキャンダルで辞任する事態になったので、その女性スキャンダルのイメージを払拭するために急遽後任に起用されたといった経緯があった。ちなみに、故・森山眞弓元議員は、世襲議員ではなく、女性として初めて東京帝国大学法学部法律学科を卒業し、堅実なキャリアを積み重ねた大変優秀な人だった。

ちょっと例外的な省庁の大臣のお話しをしようと思います。
死刑執行の命令書に署名をする、法務大臣という、ストレスマックスの大臣には、最近は実は女性が比較的頻繁に就任している。あくまで最近ですが。
特に、上川陽子議員は、安倍政権下で第94代・95代・98代・99代を、菅政権下で第103代を、と、実に5代も法相をつとめている。
上川元法相は、東京大学卒業、三菱地所の研究員などを経て、ハーバード大学ケネディスクールで政治行政学修士号を取得している。また、米国の国会議員(オバマ元大統領が在中国大使に指名したマックス・ボーカス議員)の政策スタッフも経験している。米国の主要議員の政策ブレーン経験者なんて、永田町の議員たちにもあまりいないのではないかな。しかも上川議員も故・森山元議員同様、世襲議員ではない。
日本の男性国会議員たちと比べても、いや、歴代の総理大臣経験者たちと比べても、「学歴、語学力、米国政治の現場の知見と経験」などにおいて、遜色がないどころか、どの元総理大臣よりも華麗なキャリアと国際経験と堅実な実力があると言えるのではないだろうか。
とにかく、上川陽子議員は、めちゃんこ超絶優秀な人材だ。人柄とか細かい根回しの手腕などは分からないが、それは男性議員たちも同じだ。女性議員というと、杉田水脈議員や三原じゅん子議員や今井絵理子議員など、いろいろな意味で目立つ人ばかりが俎上にあげられ、「女性に投票したいし、総理も女性がなってもいいけど、女性は政治の人材がいないんだよね〜」なんて戯言を言う人がいるけれど、上川陽子議員のような女性議員には敢えて着目しない傾向すらある。実情は、人材不足なのではなく、女性議員を色ものとして面白がる世間があるだけなのだ。

ni_kaは個人的に、岸田首相ではなく、上川議員が総理大臣になれば良かったのに、せめて官房長官になればなぁと常々思っている。しかし、上川議員は、自身より、学歴やキャリアがしょぼい男性総理のもとで、法務大臣ばかりやらされている印象だ。

上川陽子元法相と言えば、オウム真理教の元教祖を含む死刑囚の13人に、一斉死刑執行の命令を出したという異例の判断をしたのが記憶に新しい。
平成元年に弁護士一家殺害事件を起こしたオウム真理教は、国家転覆をもくろみ、罪のない市民を多く殺傷した地下鉄サリン事件を平成7年に起こした。要は平成時代の悪いシンボルとなったのだ。化学兵器を用いて国家権力への敵意をあらわにしていたため、平成時代、捜査機関も立法府も総力をあげ元オウム信者たちの検挙等を重ねた。
そして、天皇陛下が代替わりする直前の平成のしめくくりとして、平成30年に、国家の威信をかけ、一斉死刑執行が上川元法相の命令のもと行われた。これはおそらく、上川元法相の単独決断ではなく、時の総理の故・安倍元首相や国家権力の中枢を担っている人たち、自民党の全体的な判断だったのだろう。だから、上川元法相は、法務大臣に任命された時から、この異例の任務を遂行することを想定されて、そしてその任務をまっとうした、ということになるのだと思う。大臣はほとんどが男性なのに、心の負担が大きく、一気に13人に死を命じなければならない辛い“責務“には、女性大臣をあえて選任した自民党と当時の安倍総理に、私は悲しい気持ちになる。男性ばかりの議員や大臣なのに、こんな責任や苦痛だけは、優秀な頭脳と決断力と実行力のある女性に押し付けたのだ。

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