マガジンのカバー画像

2022年6・7月の記事

6
①【評論】中動態にとって「怒り」とは何か?――近藤恒夫氏の自伝『薬物依存』から―― 小峰ひず二み ②【連載】フィクションの感触を求めて(第三回) 勝田悠紀 ③【文芸時評7月】干さ…
¥500
運営しているクリエイター

#アサノタカオ

地方文学賞の賞金で文芸同人誌をつくる(最終回)

『巣』が連れていってくれたところ  なかむら あゆみ 5月中旬、年賀状が届きました。いや、「書き損じの年賀ハガキ」と言った方がいいかもしれません。差出人は糖尿病の治療を受けながら施設で暮らす義母。年賀状は出さない人だから「誰にこのハガキ貰ったんやろ?」と思いながら裏返すと、(誰かが書いた)「あけましておめでとうございます」の上にためらうことなく引かれた三重線。その横に丸い先の鉛筆で書いた義母の字がありました。「りんご、乳ぼーろ、ぎゅうにゅう、うぐいすボール、みっくちゅじゅーち