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2022年6・7月の記事

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①【評論】中動態にとって「怒り」とは何か?――近藤恒夫氏の自伝『薬物依存』から―― 小峰ひず二み ②【連載】フィクションの感触を求めて(第三回) 勝田悠紀 ③【文芸時評7月】干さ…
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#三島由紀夫

想像力の死角とギミック的フィクション——フィクションを「ケア」することは可能か(2)

フィクションの感触を求めて(第三回) 勝田悠紀 1. 『ドライブ・マイ・カー』と異化  濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』を観た。村上春樹の短編小説集『女のいない男たち』を原作とし、その中心にチェーホフの戯曲を据えるこの作品は、小説と演劇という二つの文学ジャンルをふんだんに取り込んだ映画だった。  原作を踏まえて見ると、そもそも登場人物も内容もまったく異なる六つの短編を組み合わせてひとつの物語に仕立てた構成力に感心する。しかし村上とチェーホフは、単にプロットの素材を