夏はあっという間に過ぎ去った
文芸批評時評・9月 中沢忠之 「「事件」は文芸誌で起きるんじゃないSNSで起きる」という名言をぶちあげた栗原裕一郎が、みずからSNSで「事件」を巻き起こしている。
トランスジェンダー差別をめぐってである。結論からいえば、栗原の論点は2つある。まず、昨今のトランス活動家の差別批判に、行き過ぎた暴力があると批判している点(①)。さらに、その暴力を文壇に持ち込んだとして文芸誌『文藝』および水上文を批判している点(②)である。トランス差別批判一般の話と個別文壇内の話とまとめられる。