『雨滴は続く』 西村賢太 1
「文學界」で連載され、最終回執筆中に著者が急逝したために未完となった、西村賢太さんの『雨滴は続く』(文藝春秋刊、488頁、定価2200円)が単行本にまとまりました。
後年の西村さんのキャラクターは広く知られていますが、本作に描かれているのは、それが確立される以前、小説家としてデビューする前後の北町貫多=西村賢太の姿。何者かになろうともがく貫多の、言わば”遅すぎた青春”篇です。
発売を記念して、1章から4章までを順に無料公開いたします。
一
このところの北町貫多は、甚だ