見出し画像

#8_新年の宴に想う

新年明けて、先日1月4日 の夕方、12月の初旬に予約していたとあるオードブルを吹雪の中車を走らせて、地元のとある料亭に 受け取りに行きました。

その料亭に伺ったのはその料亭に伺ったのはある考えがあったからです。

私の父は調理師です 。もともと機械工をしていましたが、妹が生まれた時に、生活のために調理師免許を取り、医療機関の 調理師に転職しました。

しばらくすると、父は「5年間の修行」と言って、昼間は職場で仕事、夜は1年で1箇所ずつ街のホテル料亭 、飲食頂くことにしました店等に皿洗いをしながら、料理の勉強をしに行き、ほとんど家には帰って来なくなりました 。

そのため、私は小学生の頃ほとんど父にあった記憶がありません。1度だけ 夕方小学校から帰ると、家の廊下で父とすれ違って 顔を見かけたくらいです。

頭では分かっているけれど
「どうして小学生の私と妹を残して5年間も家を空けていたんだろう。」
と どこか心の中で思っていました。

その5年間に5箇所父が修行に行ったところを一箇所がその日訪れた街でも有数の 高級料亭でした。

普段だったら とても 伺う機会もなく、ましてや私たち家族はとてもそちらに伺える身分ではないのですが、今回のコロナ禍の影響で 、飲食店応援の割引クーポンが出されて、こちらでも利用できるということで 、せっかくの機会なのでテイクアウトのオードブルを一つ 頂く事にしました。


ちょうど家を出て 料亭へ向かおうとした頃、雪が降り始めて、次第に吹雪になってきました 。途中道を間違えながらも、ようやく料亭たどり着きました。

新年早々 、新雪が積もる中、私は車を降りて、おもむろに一歩一歩料亭の玄関向かいました。

画像2

画像2

玄関の扉を開けて、中に入ると、若い女性が出てこられて既に用意してあった 予約したオードブルを渡してくれました。

「30年以上昔の話ですが、私の父は調理師で、こちらの調理場で皿洗いの修行させて頂きました。」
と、 先の話をすると、驚かれながらも大変喜んでいらっしゃいました。

家に持ち帰り、夕食にとそのオードブルを開けてみて衝撃を受けました。


画像4

それは、普段父が作る料理にそっくりだったからです。
(もちろん、街有数の高級料亭で、しかもミシュラン掲載店なので素材から調理場の板前さんの技術から全く雲泥の差だとは思いますが)

「父はこういうことがしたくて『5年間の修業』に出たのかな…。」

普段父が言っていたことを思い出しました。
「病院の給食を食べる患者さんの唯一の楽しみが食事だけなんだ。」
「作る人によって味が違うなんて絶対おかしい。」

その後ふともう1つで父がよく言っていた事を 思い出しました。
「そういう勉強は、結婚する前独身の時、子供が生まれる前にしなくちゃだめだ。(苦笑)」

いろんなことを思い出し思いを巡らせながら、新年の宴は終わって行きました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?