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『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』を読んでのメモ

TL;DR
 当時流行ったアニメであり、周りでも話題になっていた。その原作者(岡田さん)の過去を書いた本が出版されることを最近知り、いつか読もうとして(Aamazonのほしいものリストに入れていた)いた本。有名になった人がなぜ有名になったのかを知りたくなる。まさにアニメや漫画にできそうで面白かったし、一瞬(二時間くらい?)で読めてしまったので気になったところをピックアップしてます。

一章〜七章

省略。タイトルの通り、「学校へ行けなかった」経緯が書かれています。小学校から高校生までひたすらその理由が書かれています。いじめのことや、家庭内の事情などが色濃く書かれています。(6割くらい)

八章 トンネルを抜けて東京へ

 「私、やりたいことがあるんです。ゲーム学校に入りたいんです」 自分で口にしておいて、びっくりした。 パンフレットの学校案内を見た中で、服を選ぶように「ここかな」と思ったのがゲーム学校だった。

 高校まで学校に行けず、進路に迷っていましたが、自分も驚くほど唐突に発言し、進路を決めてしまいます。もちろん何度も周囲に反対されます。「東京の学校なんて、それも一人暮らしなんて絶対に無理だ」と。

 胸が痛んだけれど、でも、私は決めてしまった。このときの気持は、自分のことだというのに完全に理解することができない。

 自分のことを理解出来ないが、「やりたいこと」は誰しもが本能的にあるということでしょうか。ただ興味があるから、面白そうだからといった理由で進路を決めるのと同じで。

九章 シナリオライターになりたい

 ゲーム学校を通いきり、卒業があっさりとできました。理由は様々ですが、周りの環境が大きかったようです。

 中には、親しくなってくると「不登校だったんだよね」とカミングアウトを始める子が何人かいた。これは本当に嬉しかった。外の世界にも、自分と同じような人は多くいるのだと。
 上京してからの私は、どこか夢の中を生きているような気分だった。 田舎では徒歩二十分はかかったコンビニも近くにあり、夜中でも明け方でも好きなときに買い物することができる。大したことのない日常の些細な出来事が、この頃の私には奇跡だった。

 高校まで実家通いで、そのせいか、遠くに行くことはすごく稀で、自分の知っている世界が狭いことに誰しも気付かず、憂鬱になってしまうのも少なくはではないと思います。何気ない日常が、「奇跡」というほどに今までとは一変して人生が楽しくなっていると感じました。

「何かに必死になる」という状況に飢えていた私は、とにかくひたすらシナリオを書き続けた。 アウトプットが一切できずに悶々としていたあの秩父での日々。 インプットしていたはずの知識も、シャバ(外)に出てからの期間が短いため、現実とはかなりの隔たりがあった。けれど、そんな状況で書いたシナリオを先生に認めてもらえ、在学中にいくつかの小さな仕事を手伝わせてもらった。

 『「何かに必死になる」に飢える』と感じることってなかなか無い感情だと思いました。

 仕事であった若い子に「脚本家になりたいんです」と相談されることがある。「なら、書いて来て。」と言うと、そこでぴたりと連絡が途絶える。彼らは、やる気がないわけではない。
 当時私がこのハードルをなんとか越えられたのは、二年半に渡る読書感想文のやりとりが、人に批判されることの恐怖心を和らげてくれた。

『二年半に渡る読書感想文のやりとり』というのは、高校時代に読書感想文のをすることで単位が免除されるという稀なケースのこと。(実話)なかなか信じがたい。

 誰もが「興味がある。やりたい」はあるけれど「実際にやる」人はほんの一握りで、その「恐怖心」を和らげるのは至難の業。もちろん『やる気がないわけではない』をどうやって乗り越えるかが何事においても必要なんだと思います。

第十二章 書くあれかしと思う母親を主人公にする

 シナリオライターとしてひたすら仕事をしていく中で、自身の過去を隠していましたが、自身の過去のシナリオ、『外の世界』を書くことで少しずつ喋れるようになりました。

 一日の殆どを、仕事しかしていない。飲みに行くこともあまりなければ、遊びに行くことも二ヶ月に一度くらい。仕事以外の時間は、ゲームをして本を読んで寝て。昔と対して変わらない。人間関係は、仕事絡み以外の人とはほぼ皆無。

 認めてくれる人達は皆多忙の中で、仕事以外は当時不登校だった自分と同じなんだと気づいたとき、自分の過去をカミングアウトしても問題がないという気付きになりました。

第十四章 心が叫びたがっているんだ

 私は、今はもうないはずの過去にとらわれて、過去を持ち出して書いてみようと思い、そして秩父の山中で転んで泣きわめいていた。けれど、彼女の姿に女装して走り回ったことで、自分のことを理解してくれる人達に出会えたのだ。

 あるインタビューで「岡田さんはゆきあつ」と言われたとき、だれもにも過去を分かってもらえない状況で、自分のことを理解して欲しいということを「ゆきあつ」という人物を通して表現しました。


おわりに

 原作「あの花」、「ここさけ」の内容についてと言うよりも、歩んできた人生が書かれています。また新たな発見をしました。😚

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