『決戦は日曜日』鑑賞🎦の感想〜ネタバレなし〜

昨日公開の映画『決戦は日曜日』公開初日に行ってきた。

赤楚くん出演ということで、前々からチェックしておりまして、映画の広告動画がとにかく面白そうだったので、翌日からの3連休を待たずして、タイトなスケジュールになっても初日に鑑賞をと仕事終わってから映画館へ。

2時間の上映があっという間に感じられて、面白かった〜。もっとコメディで風刺的な作品かと思っていましたが。宮沢りえさん扮する川島由美が一見めちゃくちゃなんだけどすごく真っ当で、一方で議員事務所界の中で淡々と業務をこなす秘書たちの熱量の違いが、コントラストとなってシニカルな笑いを漂わせる。

何がいいって、窪田さん、宮沢さんの滑舌の良さがいい。早口で台詞多めの掛け合いが耳にスルスルと入ってきて大量の情報がストンと入ってくる。選挙事務所なんて今まで縁がなくて興味もなかった世界だけど、無駄な説明がない割にどういう世界なのかわかったような気になれる。明快なのでストレスフリーで鑑賞できる。

そして宮沢さんの愛されキャラといったら。いえ、作品内の川島由美(宮沢さん)は終始厄介者なんですけどね、好き勝手してるし。でも、宮沢さんがすると何故か叫んでてもヒステリックに見えないし、大人気ない行動も優しい気持ちで笑って見られる。真面目に一生懸命すればするほど滑稽に見える。川島由美の動に対応する秘書たちの静がバランス良くて疲れない。左右対称の車輪で、決して交わることも離れることもなく同じ目的に向かって前に進むとはこのことか。

窪田さんのお芝居も本当に面白い。思えば朝ドラの『ゲゲゲの女房』から好きな役者さんだったな。私は台詞の聞き取りが下手なので、滑舌がよくて耳障りのいい俳優さんが好き。窪田さんの台詞は本当に聞き取りやすいし、独特な表情がどんな役にもマッチして安心して作品を楽しめる。

作品の内容の感想はネタバレになるので触れられませんが、宮沢さんと窪田さんのコンビが私の好みすぎて鑑賞後の心地よさったらもう。

そして赤楚くん。

エンディングのクレジットで、窪田さん、宮沢さんに続いて3番目に❗️

オーディションで勝ち得た役でしたが、撮影時はチェリまほが地上波で盛り上がっている頃で、当時、映画公開時にこんなに人気爆上がりするとは、坂下監督も予想してなかったのでは?

話は少しそれますが、チェリまほの風間監督が『チア男子』撮影後、横浜流星さんが『はじこい」でブレイクして映画の注目度を上げたのを思い出します。坂下監督も才能とともに何か持ってそうで、今後も注目したいなと。

私生活から役作りに入る赤楚くんですが、現代っ子秘書男子の岩渕の役作りは「何も考えないように演じた」ことだそう。赤楚くんのインタビュー記事からの岩渕の印象はもっと感情もやる気もない青年かと思っておりましたが、これが意外となかなかちゃんとしている。受け止める能力に長けているというか、温度こそ低めだけどすごく素直な岩渕くん。議員らしくないけど実は政治家に向いている川島由美に対比して、理不尽なこともそれはそれと受け流せる岩渕の秘書スキルが…今後谷村(窪田さん)の支えになる予感しかない。

チェリまほの安達といい、『妖怪大戦争』の天邪鬼の時もそうですが、役に埋もれて赤楚臭を完全に封印する赤楚くん。岩渕も本当に地味ながら岩渕の主張が見え隠れしてて本当によかった。

作品全体に溶け込む芝居、赤楚くんだけでなくこの作品の出演者すべての方々が本当に長けてて、他の秘書さんたちの主張しないのにそれぞれの色がしっかり出てるお芝居がさすがベテランな役者さん。後援会のじじ様たちや地方議員の圧もすごくて、役者さんたちの玄人ぶりに圧倒された。

ストーリーの詳細は言えませんが、テンポがよくて飽きない内容。後半の谷村と川島由美の反撃が、微妙にせこくて(笑)。でもそれがよけいにリアルでちゃんと闘ってて、未来に前進していくラストがよかった。

常日頃、政治家のおじさまたちにはうんざりする。昭和の物差し振り回して上から目線で、本当に国民見てる?実際に労働力の駒である私ら世代には反映されてないようにみえて、唯一の政治への参加である選挙すらいろいろ諦めてて投票しなかったり。こんなに身近な問題なのに、会社で話題にするのはタブーだし。そんなモヤモヤの元凶となるものの本質がこの作品の中で主張する。選挙権をもらっている私ら1人1人に突き刺さるものが確かにある。新たな年の幕開けに、開かなければならない扉があることに気づかされた作品にもなった。

新年早々、良質な映画でスタートをきれたことが私得だったし、多くの人に受け止められる作品だし観て欲しいって、強くて思った。